第14話 デート1
「そろそろ、行くかなー。陵よりも遅くなるわけにもいかないしな。」
今日は、少し前に陵に誘われた買い物に出掛ける為に朝から準備していた。
「流石に、陵の隣を歩くのに適当な恰好は出来ないし、これで大丈夫かな?大丈夫だと思いたい・・・。あと1時間ちょっとか、待ってればすぐだしもう出るか~。」
今から出れば1時間程度の待ち時間だなーっと考えながら待ち合わせ場所に向かった。
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SIDE 有希那
「さっ・・・・流石に早く来過ぎた・・・・・。」
男の子とのお出かけ、しかも二人きりで気になってる人と、なんて初めての経験で誘ったのは自分にも関わらず緊張しすぎて2時間も早く来てしまった。
「蓮夜君、可愛いって思ってくれるかな・・・・?」
一番のお気に入りの服装で軽くだけどメイクもして待ち合わせ場所で待ちながら昨日の集まりから帰った後に送られてきた司ちゃんのメッセージを見返していた。
「本当に好きなのか、恋愛感情なのか、確かめて来てか・・・・。」
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「有希那先輩の気持ちは恋愛感情ですか?単純につり橋効果を勘違いしてるんじゃないですか?」
「えっと?どう言う事?」
「蓮先輩に聞きましたけど、有希那先輩が助けられた時の相手ってかなりやばい人だったんですよね?」
「う・・・うん、何か拉致るとか、薬でーとか言ってたかな・・・。」
「そんな相手から助けられてつり橋効果で蓮先輩を好きだって勘違いしてるんじゃないですか?」
「そっ・・それは・・・。確かに無いとは言えないかも知れないけど、私だって自分の気持ちくらいは理解できるよ?」
「それなら良いんですけど、この際なのでハッキリ言いますね。有希那先輩は、彩先輩に色々似てるんです、そんな人から好意を向けられて、蓮先輩がそれに気付いて、有希那先輩を本気で好きになった後に、有希那先輩が恋愛感情では無かったと気付いて、蓮先輩を傷つけるのは許せません。」
「彩先輩って、もしかしてあのリングの?」
「そうです、つい言ってしまったので、もう彩先輩って言いますけど、私は今でも彩先輩に憧れてるし、目標でもあります。そして何より蓮先輩が大好きです。一人の人間としても、先輩としても、男としても心から大好きです。だからこそ蓮先輩が傷つくのは嫌だし、傷つける人は絶対に許しません。たとえ、自分の手が血に汚れてもそんな相手は叩き潰します。」
「・・・・・・・」
「そして何より蓮先輩の幸せを願っています。だからこそ、誰よりも早く行動に移した有希那先輩に聞きました。」
「うん、司ちゃんの思いも考えも分かった、でも何で態々言ってきたの?嫌な言い方になるけど、私がつり橋効果で好きだって勘違いしてたとして、それに気付いて蓮夜君を傷つけて嫌われたとしても、司ちゃんには関係ない話じゃない?ってよりもチャンスなんじゃないの?」
「そうですね、傷つけて嫌われて私に潰されてってなってもそれは、自業自得です。でも、まだ少しの付き合いですけど、有希那先輩も、美織先輩も、雫先輩も私は皆さんが好きです、ちゃんと先輩だと思ってますし、同じ人を好きになったライバルだと思ってます。だからこそ、明日は邪魔はしません、なので確りと自分の気持ちを確認してください。そしてライバルになってください。ライバルだと思ってください。」
「司ちゃん・・・・。」
「彩先輩に似ている貴女に勝てれば私も自信を持てますし何より目標に近づいたって思えます。だから、確りと確認してください。」
「うん、分かった。言われて考えたけど確かにそういう部分もあるのは間違いないと思う、でもね?始まりはそうかもしれないけど沢山話して色んな顔を少ないとはいえ見て、それで好きだって思ってるから確認する必要もないよ?」
「さぁ~?どうでしょーねー。兎に角明日は頑張ってくださいね。あぁそだそだ、先輩は絶対領域好きですよ~。それと下品な露出は嫌いですからね?」
「おし!司ちゃん!!!その辺色々詳しくっっっっ!」
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「まぁ、最後は関係ない話になってるけども・・・・。助かったけどもっ。」
見返しながら笑顔になって(なぁ、あの子可愛すぎじゃね?)(アイドルも逃げるぞあれ、声かけてみるか?)(いや、流石に無理だろ・・・・。多分待ち合わせだろうしさ。)(あんなレベルの子と待ち合わせとかどんなレベルの男だよ。)周りから色々と声が聞こえて来て、一応恰好は大丈夫だと認識した。
「あれ?もしかしてあれって蓮夜君・・・?かっこいい・・・・・。」
こっちに向かって歩いてくる蓮夜君を見て見惚れてしまった・・・・。
でも・・・でもね・・・・?後ろの女の子達は何?!いや!後ろの子達の気持ちも分からなくもないけどもっっ!!!これは私が声かけないとだよね!?
「よしっ!おーーーい!蓮夜君ーー!おはよっ!随分早いね?!」
私は最大級の笑顔で本日の待ち人に声をかけて走り寄った。
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「駅前の広場の滝の前だったか?待ち合わせ場所。」
まさかもう来てないよなー?っと思いながら周りをきょろきょろと見渡しながら歩いていた。
「それにしても・・・後ろの如何しよう・・・。こうなると、陵が既に居てくれると助かるけど、まだ1時間以上あるし流石にあり得ないか・・・。」
バスを降りて駅前に近づくにつれて大変な事になったのだ(ねね?お兄さんお暇ー?どこかに行くの?私も一緒しても良い?)(それよりも良い事しないー?今日なら明日の朝までイケちゃうよー?)等など・・・。
「こっちの用事に付き合うならまだ兎も角にしても、いきなり良い事ってのは流石に気持ち悪いわな、何とかかんとか断ってここまで来たけど、その結果がこれは困る。っと・・・え・・・?彩音・・・・?」
待ち合わせ場所には居たのはどう見ても彩音にしか見えない、陵だった。
「おはよっ!蓮夜くん!ん?ぼーっとしてどうしたの?」
確りしろ!俺!目の前に居るのは、陵 有希那だろ、柊 彩音じゃない。
「えっと、いや、うん。陵に見惚れてただけだよ、おはよう。」
「見惚れてたって・・・もうっ!!でも、服装は気に入って貰えたって事?」
「ぁ・・あぁうん、凄い似合ってて可愛いよ。俺の為にだよな、ありがとな。」
「ぅん・・はぃ・・・////」
大勢の前で何やってるんだろう俺等・・・(((((チッ!!!!!)))))
「えーっと、買い物だったよな、うん。早速だけどいこっか?」
「うん!あ、でも!男の子とお出掛け何て初めてなので、エスコートお願いしてもいい?」
「くくっ。分かりました、お嬢様、お手をどうぞ。」
真っ赤な顔でエスコートなんて言ってくる陵を可愛いと笑いを我慢しながら、恭しく手を取って、歩き始めた。
「むぅ・・・・。やっぱり蓮夜君慣れてる・・・。」
「いや、これでも緊張してるよ?陵みたいな可愛い子と手を繋いで歩いてるんだから、緊張もしてるし照れくさいのもあるし、陵のファンに見られたら死ぬなって思ってるさ。」
「ファンって・・・。そんなの居ませんよーっだ、それよりも蓮夜君のファンクラブの方が凄いんだからね?」
「え?!何それ・・・無いでしょそんなん?」
「残念ーほんとにあるんだよーこれが。私も最近知ったんだけど、蓮夜君って去年から結構色々やってたでしょ?人の手伝いしたり、部活の助っ人したり。」
「あーうん、先輩とか同級生とか後は助っ人とか色々してたわ、雫とか信也とかの絡みだけどさ。」
「そう言うのもあって、今年になってイケメンモードにして学校に来始めたでしょ?元々人気の下地はあったみたいだけど見た目も良くなって表立ってファンクラブできたみたいだよ?本人非公認だけどっ。」
「そりゃ流石に・・・作っていいよ!っとは言えないでしょ、自分から言ったらどんだけど気持ち悪いの俺。」
「あはは、確かにそだねっ。まぁそんな訳で出来たらしいですよー。司ちゃんが言ってましたっ!」
「司情報なら間違いなさそうだな・・・・。変な事しないなら別に気にしないけど、困るっちゃ困るな~・・・・。」
二人でそんな事や昨日の集まりの事等を話しながらモールまで歩いて何を買うのか等を聞き始めた。
「そういや、何を買いに来たんだ?別に見て回るだったとしても構わないんだけどさ。」
「えーっとね、服とか小物とかその時に気に入ったのをーって思ってたの。それとエプロンも追加かな~・・・。」
「エプロン?元々予定してなかったの?」
「うん、昨日、ごちそうになって思ったの、真面目に練習してみようかなーって。」
「なんでまた?別に出来ない訳じゃないんでしょ?」
「蓮夜君のせいですー。私より上手とか女のプライドが・・・・・。」
「えっと・・・ごめん?「謝らないで!惨めになるからっっ。」ぉぉぅ、がんばれ?」
「もうっ!そんな訳で蓮夜君には付き合ってもらいますー!分かりましたか?!」
「あっ・・・はいっ。お付き合いさせて戴きます、お嬢様。」「えぇ、よしなに。」
恭しく態と執事みたいに頭を下げながら言った俺に合わせて陵もご令嬢みたいな反応をしてきて、二人で笑い合った。
「ん~~~。これとか似合うかな?でもこっちも可愛いし・・・・。蓮夜君!どっちがいいかな!!??」
「どっちも、似合うと思うけど、っていうか陵なら何着ても似合うと思う。」
「うっ・・嬉しいけど、蓮夜君が可愛いって思うほうがいいの!」
上目遣いでそんな事言ってくる陵に照れながら「それならこっちの方が好きかな」っとこれから暑くなるのも考慮してワンピースを選んだ。
「はーいっ♪それじゃこっち買っちゃおっと♪」
「待った、それならこのジャケットも合わせて後はこのインナーと帽子、それからブーツはこれかな、んーーー、小物はどうするかな、陵には何でも似合うとは思うけど服が服だし派手過ぎても地味すぎてもダメだしな・・・これらなら良いか「えっと・・・蓮夜君・・・?」おしっ!陵!これらをセットで着替えてみてくれ。」
「えっ?!あっ、はいっ!それじゃ・・・着替えてみる・・・ね?」「おうっ!絶対似合うぞ!」
「えっと・・・・着替えてみたけど・・・どうかな?」
「・・・・・・・。」「蓮夜君・・・・何とか言って欲しいかも・・・?」
「あぁうん、ごめん。自分で選んでおいて何なんだけど思ってた以上に似合ってて驚いた、凄い綺麗だよ。」
「ぁぅ・・・。ぁりがとぅ・・・/////」
二人で真っ赤になりながら視線が合えば逸らしてを何度か繰り返していたら「うっわっ!すっごい似合ってますね!彼女さん綺麗すぎて彼氏さんのセンス良すぎですよー。」っと側で見て居た店員が言ってきた事で時間が動き始めた。
「べっ・・別に私は彼女j「店員さん、このまま着ていくので会計お願いしますね?」・・・って蓮夜君?!全部買うお金無いよ?!」
「畏まりました、それではレジにどうぞ~。」「陵は待っててな?」「蓮夜君?!」
反論させない様に移動して、会計を済ませてお店の袋だけ貰って来た。
「お待たせ、着替えたのはこれにいれてな。さっきの服装も可愛かったけど折角だし今日はその恰好でこのままいこう!」
「あ、うん、ありがと・・・。ってそうじゃなくて流石にこんな一式は悪いよ・・・。そういうつもりで来た訳じゃないし。」
「うん、それは分かってるさ、俺がそうしたかったんだ。迷惑だったらごめん。」
「うぅぅん!!迷惑じゃないよ!!嬉しい・・・・。」
「なら良かった、今日の記念ってのも変な話だけどそのまま受け取ってくれ。」
「うんっ!蓮夜君!本当にありがとね!」
陵の心からの綺麗な笑顔で周りに居た人たちも俺も見惚れて周りに甚大な影響を及ぼした。
「ふぅ・・・。何か柄にも無くはしゃぎ過ぎた・・・・。」
「えへへ~。ふふ~。」
その後、エプロンも買って俺たちは今、休憩とお昼ご飯の為にお店に入って休んでいたが、陵がさっきからニヤニヤしっぱなしで色々台無しである。
「えっとな?可愛いのは可愛いんだけど色々と陵が残念になってる件。」
「残念って酷いよー、蓮夜君のプレゼント嬉しくて引き締めようと思っても自然と顔がにやけちゃうんだもん。」
「いやまー、喜んでくれたなら嬉しいけどさ・・・。っとごめん、ちょっとトイレ行ってくる。」
「はーい、行ってらっしゃいっ。」
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SIDE 有希那
私は今どう頑張っても顔のにやけを止められないで居る。まさかのプレゼント貰ってしまったのです。
蓮夜君からしたら何でもない事なんだろうけど、私には物凄く嬉しい事実なのだ。
でも、合流したときの蓮夜君の様子は、少し気になるかな・・・・。見惚れてくれたのは事実なんだろうけどそれだけじゃ無いような・・・?
少し引っかかるっと思いながらも褒められたのは間違いないよね!っと自分で自分を納得させた。
一人で待ちながら色々と話したこと等を思い出しながら待っていた。
「おっとー!物凄い綺麗なお嬢さん発見ーーー!!!今ってお時間あるかなーー?」
「え・・・?どなたですか・・・?」
テンションの高い声と肩を叩かれた事で自分の事だと認識し、振り返ったらそこには、どことなく蓮夜君の雰囲気がある、とんでもない美人が綺麗な笑顔で立っていた。
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