第13話 帰り道
SIDE 信也
俺たちは今、蓮の家から皆で帰っている。片付けを手伝おうとしたんだが(こっちは良いから女性陣を送ってやってくれ、信。)って言われたのだ。まぁ確かにこの4人だけで歩いていたら馬鹿共が沸きまくるだろう。
「楽しかったねぇ~。特に特別な事した訳じゃ無いけどこのメンバーだと何しても楽しい♪」
神薙がかなりご機嫌な様子で話し始めた。神薙の言葉に、陵さんも、小野坂さんもうんうんっと頷きながら楽しそうに歩いている。
「天羽さんどうかしたの?今日楽しくなかった?」
3人とは違って微妙な顔をしながら俺の隣を歩いてる天羽さんが気になって聞いてみた。
「ん?司どうかしたの?つまらなかったの?今日。」
「あ・・・いえ、凄い楽しかったですよ、唯、先輩に片付けとか任せて帰って来てしまった事と先輩に泣いた姿を見られたのが今になってちょっと・・・。」
あぁ、あれか、蓮の家に入った時に蓮に抱きしめられながら大泣きしてる天羽さんにはビビったのを思い出した。
あの時は3人が怖くてあえて俺は突っ込まなかったけど・・・・。
「司ちゃんはごまかしてたけど流石に気になるし教えてよ。抱きしめられてたのは今は置いておいてさ。」
「それと、帰りに何を貰ったのかも教えてよ?司。」
「雫先輩は目聡過ぎですー。有希那先輩のに答えるとですね、私が皆さんよりも早く先輩の家に行った事と関係あります。」
「お片付けでしょ?蓮夜君に聞いたら教えてくれたよー、アルバム見て泣いちゃったて。」
「なぁ、気になってたんだけど、陵さんは蓮を名前で呼ぶようにしたんか?二人でコーヒー淹れに行った後からだよね?何でまた急に。」
「あー・・・間島君も良く見てるね・・・。簡単に言うと司ちゃんに負けたくないからかなー、抱きしめられてるのを見てその理由を聞いて凄く負けたくないって思ったの、だから変えちゃった。」
「むぅ・・・有希那先輩は危険・・・・。っとそれは兎も角、先輩と蓮先輩と私と、写真とかそう言うのを隠すために皆さんよりも早く行きました、流石に見たら皆さんも気になると思いますし聞きますよね?」
あぁ、それは確かにこの3人は我慢できずに聞くだろうなっと聞きながら確信した、そうすると前に(必要なら話すって言っただろ)っと蓮がキレるのが想像出来た。それに3人共、図星の様で目を逸らしてる。
「はぁ・・・。その反応で私の予想が正しかったっとわかりました。踏み込むのは勝手ですがそれで切り捨てられても泣かないで下さいね?その場合自業自得なので。と言う訳で色々と隠す為に早く行ったんですよ、その過程でアルバムを見付けて見てる内に色々と思い出してしまって我慢できなくなったって感じです。」
「なるほど・・・確かに天羽さんがそう言うの見たらあぁなるのも納得だな。ひいら「間島先輩!」っと・・・ごめん。ひぃぃ。」
ぐりんっ!って感じで3人がおれに視線を向けて来て余りの怖さに悲鳴をあげてしまった。
「「「ねぇ・・・間島君?もしかして抜け駆けしたのかな?」」」
「いや・・・抜け駆けって、確かに聞いたけどさ。いざってなったら手伝える事もあるだろうしって事で聞いたら悩んでたけど教えてくれた、勿論漏らさないって約束してな。」
「「「むぅぅぅぅ・・・・。」」」
「蓮夜先輩が話したんですか・・・、間島先輩凄いですね、それだけ信頼されたなんて。」
「あぁ、俺もそこまで信頼してもらえてるって分かってすげー嬉しかった。だから裏切る事は絶対にしない。どんだけ睨まれてもご練られても教えないから諦めてくれ3人共。」
3人からめっちゃ睨まれて居心地は悪いが教えるつもりは無いとはっきりと伝えた。
「何で、間島君だけ・・・私も同じ付き合い期間なのに・・・・。」
「別に、神薙を信用してない訳じゃないって、聞いて分かったけど確かに女性には言いづらいなってのと「言えば、雫は気にするだろ?あいつ優しいしさ、変な心配とかかけたくない」って蓮のやつ言ってたぞ。」
「蓮が・・?そっか・・・そっかぁ♪」
「だから落ち込むことないよ。あいつはちゃんと神薙の事も信頼してる。っていうか、陵さんも、小野坂さんも信用はされてるよ間違いなく。」
「そーですね、信用もされてないなら家にも入れて貰えませんから信用されてるのは間違いないですね。」
俺の言葉に、天羽さんが援護をくれたお陰で(あれ?私たちは???)って空気が消えてくれた。
「信用されてるなら良かったっ!それで?司は何を神代君に貰ったの?」
「ぅっ・・・。忘れてなかったんですね?美織先輩。」
「そりゃ忘れないでしょっ。ほらほらっ!諦めて白状しなさいっ!」
「まぁ、別に良いですけど・・・。写真ですよ、最後に3人揃って撮った写真です。貰った写真は当時貰ってなかったので、思い出して先輩にお願いしたら印刷してくれたんです。」
「成る程ー。司と神代君とイニシャルの人の3人?」
「ふーん、中学生の蓮夜君とか司ちゃんとか興味あるけど見せては貰えないよね?」
「そうですね、申し訳無いですけど見せる気はありません。少なくても蓮先輩が雫先輩や有希那先輩や美織先輩にお話しするまでは見せられません。」
「「「デスヨネー。」」」
------------------------------------------------------------
「それじゃ、私たちはこっちだから!またねー!」
俺と天羽さんの二人を残してそれぞれの家の方へ2対3で別れて岐路に就いた。
ナンパの心配はあるが神薙が居るし余程の事じゃ無ければ問題はないだろうと判断したのもある。
「さて、それじゃ家の近くまで送るね、天羽さん。」
「ありがとうございます、間島先輩。」
特に会話も無くゆったりと歩きながら天羽さんの家の近くを目指して歩いていた。
「間島先輩、これ見ますか?」
そう言って取り出したのはさっき言ってた写真だった。
「え?俺が見ても良いの?態々貰うくらいだから大事な写真でしょ?」
「そうなんですけど、間島先輩は、蓮先輩から彩音先輩の事を聞いたみたいですし、どんな見た目の人か気になりますよね?」
「まーね。あの蓮がって思えば気になるけ「では、どうぞ。」ぉぅ・・・さんきゅ。」
受け取った写真には今よりも幼い天羽さんと蓮と柊 彩音さんが映っていた、それを見て思ったのは、綺麗な子だった。
「二人が今よりも幼くて可愛い感じなのは勿論にしても・・・柊さんは何て言うか凄い綺麗な子だね。」
茶色がかった綺麗なストレートロングの髪、大きくはっきりとした目とすっとした鼻筋、スタイルも良くてこれぞ美少女って感じの目を引く子が映っていた。
「その人が彩音先輩です、蓮先輩の元彼女で私の憧れで目標でもある今でも大好きな人です。」
うん、これは言っちゃなんだが、誰も勝てないと思う、柊さんの幸せそうな顔もそうだけど何よりも・・・蓮だ。
蓮の顔が見た事のない、優しさと愛しさが一つになったような顔をしている。
「これさ・・・いや、これは・・・・。」
「ふふっ。言いたいことは分かりますよ?誰も勝てないって思ってますよね。蓮先輩のそんな顔見た事無いですよね?」
「あぁ、見たこと無い、いやま、誰とも付き合ってないしそう言う顔する相手が居なかったってのもあるんだろうけど、それでも蓮がこんな顔をするなんて信じられない。」
「もしも、蓮先輩にこの顔をさせることが出来る人が居るなら私は素直に応援します、勿論ですけど私が彩音先輩の位置に成れたらそれに越したことはないですけど、雫先輩、美織先輩、有希那先輩の3人の誰かが彩音先輩の位置に入っても私は応援します。そして何より、一番の問題を受け入れられるならですけどね。」
「蓮の1番には誰も成れない、成れても柊さんと同率1位にしか成れない事か。」
俺のその答えに、天羽さんは良く出来ました!とでも言いたげな顔で頷いた。
「さて・・・ここまでで大丈夫ですっ!間島先輩、ありがとうございましたっ。」
何時の間にか天羽さんの家の近くに来ていたようで足を止めてお礼を言ってきた。
「あぁいや、蓮にも頼まれてたし俺も話せたのは嬉しいから。一応、帰り着くまで気を付けてね?」
俺の言葉に「ありがとうございますー!」っと手を振りながら自宅の方へ天羽さんは走って行った。
それを見送りながら俺も自宅へ歩き始めて、楽しかった今日の事、天羽さんから聞いた、柊 彩音さんの事、蓮の事、他の三人の事を考えながら少し暗くなってきた道を歩いていた。
「蓮さー、モテすぎだわ。天羽さんは兎も角にしても、神薙も陵も小野坂もきっと受け入れてくれる、一緒に乗り越えてくれる、お前を支えてくれる。だから信じて、前に進め、必要なら俺も手を貸すからよ、親友。」
そんな言葉を独り言ちながら帰った・・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます