第9話 約束の
「ちょっと、司の所行ってくるわ。」
4限目前の休み時間に立ち上がりながら、雫と信に告げながら、巾着袋を手に持って立ち上がる。
「天羽さんの所?届け物か?蓮。」
「そそ、昨日の負け分のお願い品。届けてくるよ、今日は司はクラスの子達と食べる日だし、昼に持っていくと遅くなるしな。」
昨日の帰りに司とゲーセンに行って、色々と勝負して総合で負けたのだ。
「お弁当を蓮が作ったの?って言うか料理できたの?!」
雫が怖いものを見たとでも言いたそうな顔で突っ込んでくる。
「そら、一人暮らしなんだから少し位は出来るに決まってんだろ、つーか行ってくるわ。」
「蓮の飯美味いからなー、「はぁ?!私知らないんだけど?!」あれ?食ったこと無いっけ?」
ぎゃーぎゃー騒いでる雫を放置して司の所に向かった。
「えっと、確かこのクラスだったはずだけど、姿見えないな。」
教室を覗いてみても司の姿は見えず困ったなと思って居たら「あのっ!神代先輩ですよね?誰か探してるんですか?」
入り口の席の子が赤面しながら話しかけてきた。
「あぁ、えっとな、司・・・天羽を探してるんだけどこのクラスだよな?」
「はいっ!天羽さんならあそこの人集りです。呼んできましょうか?」
「大丈夫、ちっとお邪魔するねー?」
言いながら人集りに向かって堂々と闊歩していく。
「相変わらずモテるねー司。約束の品届けに来たぞー。」
集団の外側から司に声をかけた。
「蓮先輩?!何でここに?!」
(神代先輩だ、かっこいいー、天羽さんを呼び捨てとか、付き合ってるのかな?)
(天羽さんも顔が・・・・恋する乙女になってるし、嬉しそうー。)
(て言うか本当にどんな関係なの・・・?)
「何でって、昨日自分から弁当食べたいっておねだりしたじゃねーか、今日は俺等と食べる日じゃ無いだろ?だから持ってきたんだよ。」
「あっ!早速作ってくれたんですか?教えてくれれば取りにいきましたよーっ。」
「それだと、昼休憩の時間減るだろ?だから持ってきた。クラスメイトとの時間も大切だからな。」
「ぁ・・・ありがとうございます・・・・。」
「放課後にでも箱は取りに来る。んじゃ戻るから皆も司と仲良くしてやってな。」
「もうっ!髪型崩れますってばー!」
ガシガシっと司の頭を撫でながら周りの子達に笑いかけ司の文句を背に自分の教室に戻った。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・
「じとー・・・・・。」
「えっと・・・雫はなんで神代君をにらんでるの?」
「さぁ?俺にはさっぱり。司に弁当持って行って戻ってきてからずっとこんな感じなんだよね。」
司に渡して戻って来てから雫が授業中もずっと睨んできていて何処となく居心地が悪いまま昼休憩になったのだ。
「「ぇ・・・・司(ちゃん)にお弁当?神代君の手作り?なんで?!ずるい!!!!」」
陵と小野坂が声を揃えて詰め寄ってきた。
「いや・・・ずるいって言われても・・・?昨日の帰りにゲーセンいって色々勝負して負けたら頼まれたからとしか?」
「それよ!司と放課後デートしてたとか聞いてないし!お弁当もずるいし!私もまだ蓮の手作り食べた事ないのに間島君は食べた事あるみたいだし!兎に角ずるい!」
「へー・・・放課後デートしてたんだー。ほーん、ふーーーーーん。」
「マテ。別にデートじゃないだろ?普通に後輩と寄り道しただけじゃねーか。」
「男女で遊んだらそれはデートって言うとおもいまーす。」
「まー確かに、小野坂さんも言う通りだな。蓮も隅に置けないねー。」
「ちょ?!信が裏切った?!」「なんでだよ!」
「ちゅーか、陵も小野坂も雫も何かこえーんだけど・・・・。すっげー威圧感感じる。単に後輩の面倒見ただけだってのに。」
何故か言い訳みたいになってる事に頭ひねりながらゴゴゴゴゴってSEが付きそうな素敵な笑顔の陵と感情コロコロした無表情の小野坂とジト目で睨みつけてくる雫の三人からの視線からどうしても顔をそらしてしまう。
「って事で、有希那も美織も土曜日は暇?」
「「え?うん、特に予定無いけど」ないよ。」
「よろしい、蓮の家に押しかけてお昼ご飯作ってもらいましょ!」
「「さんせーーーーーい!」」「マテマテ!なんでそうなる?!俺の意思は?!」
「「「え?あると思ってるの?司(ちゃん)だけずるいから決定事項よ!(だよ!)(です!)」」」
「ぇぇぇ・・・・。はぁ・・・・分かった分かった。その代わり材料は持参しろよ?流石に全員分のを俺だけで負担はきつい。」
「俺も久しぶりに食いたいし参加するわっ」
「信もかよ・・・もう好きにしてくれ・・・・。」
げんなりと突っ伏しながら、何でこうなったと頭をかかえた・・・・。
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SIDE 天羽 司
「ふっふーんっ。先輩のごっはーんっ。」
お昼になって直ぐに仲の良い女子達と机をくっつけて先輩のお弁当を広げた。
「4限の間もずっと嬉しそうにしてたけど、そんなに先輩のお弁当が嬉しいの?」
「え?!授業中も嬉しそうにしてた?私。」
「気付いてないんかいっ!!ずっと嬉しそうにニコニコしてたのに、無意識だったんかい(笑)」
「神代先輩って料理出来るんだね、全部美味しそうだし、自信無くすなーこれ。」
どうやら私は、無意識でニコニコしながら授業を受けていたみたい。
「先輩のご飯美味しいから仕方ないんです。一回でも食べれば分かるよー、あげないけどね(笑)」
「そこをなんとかっ!せめて卵焼きをっっ!」「だーーーめっ」
クラスの女子の羨ましそうな視線を受けながら先輩のご飯を堪能したのですっ!
「はぁ・・・天羽さんのケチ・・・って言うか神代先輩とどんな関係なの?先輩も司って呼び捨てで呼んでたしさー。」
「やっぱり、付き合ってるの?」
「んー、付き合ってる訳じゃないけど私は先輩の事好きだよ、中学の時からずっとね、学校だって先輩が通ってるから追いかける為に本気で勉強したくらいだもん。」
「うひゃー好きな人を追いかける為に頑張ってしかも叶えるとかっっ。」
「中学から仲が良いからお互いに名前で呼んでるんだね。」
「うん、と言っても私から呼んでってお願いしたんだけどね~っ!それに他にも色々とあるんですよ。秘密だけどっ。」
「なるほどーそれなら私たちも、司って呼んでも良い?」
「え?勿論良いよ!その方が友達って感じで嬉しいからねっ♪」
そんな他愛もない会話をしながら少しずつ馴染めてるってのを実感しながらクラスメイトとの時間を過ごしたのです。
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