第8話 その後の女性陣

SIDE 神薙 雫


私こと、神薙雫は焦っている、それと言うのも今日の昼に一気に思い人に対するライバルが増えたからである。

去年、神代蓮夜と同じクラスになって、一人でいる彼が気になって中学から仲の良い間島信也と一緒に話しかけて仲良くなったのである、最初はただのおせっかいだった、でも一緒に過ごして彼の人となりを知っていくうちにどんどん好きになってしまったのである。


「はぁ・・・・まさかここに来てライバルが増えるとか聞いてないよ・・・・。」


信にはさっさと告白してしまえって言われてるけど、今の関係が心地よくてどうしても一歩を踏み出せずに、ゆっくりとしていたのがあだになった。


「一番危険なのは天女様よね・・・あれ意識してるか分からないけど絶対好きになってるでしょーし、蓮の反応も何か違うのよね・・・・。」


知り合った?再会した?お昼の蓮の感じは見た事が無かった、知らない女性にはどこか壁を作って対応するのが何時もの蓮のスタイルなのに、彼女に対してはそれがなかった。


「そして、ダークホースの天羽 司、彼の後輩でハッキリとは言わなかったけど多分っていうか間違いなくあのリングの秘密を知ってる、美織に問答無用で食って掛かったものね・・・・。」


放課後に遊びに行った時点で小野坂さんには、美織と名前で呼んで欲しいと言われた天女様にも、有希那と、天羽さんには、司とそれぞれ名前で呼んで良いと言われるくらいには仲良くなれたのは間違いないからそこは良いと思うけど、やっぱり秘密を知ってる彼女が一番リードしてる気がする・・・・。


「蓮も司には甘かったものね・・・・。」


後輩で可愛いっていうのが一番に来てると見えたけど、司は遠慮なくアピールしていた。

でも、同じ人を好きになってるから私にはわかった、あれは牽制だ。

彼の秘密も私は知っている、それでも側に居ることが出来る、気持ちを伝えられるとはっきりと牽制してきたのである。


「1年、一緒に過ごしてもリングの事は教えて貰えてないし、私も関係が壊れるのが怖くて聞けなかったのもあるけど・・・・。でも教えてくれてもいいじゃないの・・・蓮のばか。」


どうしようもない憤りを呟きながら過ごしてた。


SIDE 陵 有希那


「今日は良い日だったなぁ~・・・・。」


お友達も増えて、拾い物も返せて、昨日のお礼も出来た・・・。


「それに、神代 蓮夜君・・・・。やっぱり不思議な人だな~、でもなんだろ・・・不思議ってだけじゃないんだよね、話してるだけで落ち着くし何も言わなくても通じるって言うか・・・こっちの事を分かってくれてるって言うか、神代君の雰囲気がそうさせるのかな?」


雰囲気もやさしくて、容姿もかっこよくて、自然と気を回してくれていて、うん、カッコいい人、今は見た目だけで人気が出てるけどどういう人か分かってくればもっと人気が出るのは間違いないと思う。

実際、教室に戻ってから私も美織も問い詰められた・・・・。

クラスの女子からどうやって知り合ったのか仲良くなったのか紹介してくれないか等々。


「まぁ・・・断りましたけどね。何となく嫌だったんだよね、紹介なんてしたら迷惑にしかならないし、知り合ったばかりだしね。」


それにモヤモヤしたのよね、自分以外に優しくしたり笑ってたりするって思ったら、嫌だった。


「美織は多分まだ気になるって程度よねきっと、雫は完全に惚れてるみたいだし、司ちゃんはもう最初から隠すこともしてなかったな~・・・。私はどうなんだろ・・・。」


うん、いい加減自覚しよう、私自身も気になってる、出会いが出会いだったと言う事は勿論ある。学園で天女だなんだと持てはやされてる私を普通の女の子として扱ってくれた。

間島君の冗談に本気で注意してくれた、雫や間島君になじむ様に気を使ってくれた、理由なんて幾つもある、私は神代 蓮夜君を気になって居る。


「まぁ・・・ライバルも多いけど・・・・・。一番のライバルは司ちゃんだよね間違いなく、雫すら知らない事を知ってるんだからね・・・・。」


それに何より美織が何時ものノリで聞こうとした時にはっきりと噛みついてた、確かに失礼だったけどあそこまで噛みつく必要は無かったはず。


「つまり、それだけの理由があのリングにはあると言う事。必要になったら話すとは言ってくれたけどきっと簡単じゃないのは間違いない。1年の時から付き合いのある雫すら知らなかったんだもんね。でも、信用されてないとかそう言う事じゃ無さそう。とりあえずはもっと仲良くなるところからだよねっ!」


「直ぐに再会出来て良かった、ネックレスもありがとね。」実に簡素な彼らしいメッセージを眺めて返事を考えながら私は過ごした。


SIDE 小野坂 美織


「神代君と仲良くなれてよかったなー、それに雫に間島君、司って友達も増えたしこれから楽しくなりそう。」


神代君は確かにカッコいいと思う、見た目は勿論にしても女の子の扱いに慣れてるし、多分これからもっと人気出てくると思う。


「それに何より、あの眼だよね、優しさは勿論だけど何かある気がするんだよなー。それにリングだよね、聞こうとしたら、司に怒られたし司はっていうか、あの中だと司だけ知ってるみたいよね。しかも問答無用で噛みついて来た所を考えると余程の理由だよねきっと。」


これから仲良くなったら教えて貰えるのかな?これからの毎日に期待しながら私は笑顔になるのを止められなかった。


SIDE 天羽 司


私は今凄いテンションが上がっているっ!だって先輩にまた会えた!しかも更にかっこよくなってるっ!でもでも、中身は変わらず優しいままの先輩っ!!!


「司!!うるさいわよ!!!」


「ごめんなさいお母さんっ!」


ベットの上でバタバタしてたらおこられてしまった。


「でもほんと頑張って先輩と同じ高校受けて受かってよかったな~。明日からも先輩に会えるしほんとに嬉しいっ!」


「でも、ライバル増えすぎぃぃ・・・・・。雫先輩は間違いなく蓮先輩の事好きだし、美織先輩と有希那先輩は気になってるって感じかなぁ~。」


今日仲良くなった先輩達を思い出すと見た目だけなら負けてないと思う、でも有希那先輩は不味い。あの人だけは不味すぎる、蓮夜先輩も気付いてるかどうか分からないけど、あの人と似たような対応をしていたのは間違いない。


「でも、あの事は誰も知らないみたいだから、まだ私がリードしてるはず・・・。先輩もまだ囚われてる。美織先輩を止めた時分かったけど雫先輩にすら話して無かったもんね。多分間島先輩も知らない感じだったし。」


中学からの付き合いのある私はあのリングが何なのかどういう意味を持ってるのか先輩の秘密は何なのかすべて知ってるし、先輩を見て来た。

だからこそ、私は先輩を支えたい。先輩に対する気持ちはあの人にも負けてないって自信を持って言える。


「ねぇ、先輩方は蓮夜先輩の一番になれないの知ってますか?先輩の一番は昔からずっと変わらずある人で埋まってるって事気付いてますか?仮に先輩に選ばれて、一番の席には座れないって分かっても離れずに側にいれますか?」


「私は、出来ますよ、蓮夜先輩の一番になれなくても、一番の席に座れなくてもそれでも支えて側に居る事出来ますよ。私には先輩が全てなんです、先輩の為なら何でも出来るししますよ。雫先輩、美織先輩、有希那先輩、私は負けませんからね。」


私はその日、決意を新たに先輩への気持ちを再確認したのだった。


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