第七話 探索
森、森、森森ー♪
SAN値を削ってく森、森〜♪
変わらない景色とぬかるんでいたり凸凹していたりする地面が、俺を精神的、身体的に疲労させる。
やぁ、時亜 迅だ。
今どこにいるかって?わすれたのかい?
森だよ。............ 薄暗い森だよ。
異様だよ?
だって、木が馬鹿たけぇんだよ?
軽く数十メートルは超えてると思う。
................こんなに育つのには理由があるのかね?
とりあえず俺は、無心にこの森の中を進んでいる。
そう、モンスターにエンカウントしないためである!
多分本来なら俺tsueeeeeeeeeeeeee!できたであろうあの剣を落っこちている間に手放すし、ついてねぇ。
パソコンヤローの目的もわからないままだ。
んーーーーー、だめだ、よくわからない。だがまぁ、とにかく進んでいくしかない。
そう、意気込んだはいいものを........
「異常に広いんだよなぁ、ここ。」
広すぎて気力がなくなる。
なかなか進んでも出れないし、それが普通だとしても、多分ここまで先が見えないのもないんじゃないかなぁと思った。
そういった考察から、この森はとにかくデカいという結論が出た。
あってるんだろうなぁ、と俺は思っていると、
サー
「ん?この音は.......もしかして!」
俺は音を聞き取った。
人の声でなければ、モンスターの鳴き声でもない。
風の音でもなければ、大地が崩れる音でもない。
俺が聞いたのは、水の流れる音だった。
音が聞こえる場所に向かって歩き出す。
足場が悪く、途中転びそうになる。
必死に耐えて止まることなく歩き続ける。
どれだけ歩いただろうか。
最初に聞いた時より音がとても大きくなっている。
近い!そう思った時に視界が開ける。
そこには........
「すっっっげぇ!」
そこには、琵琶湖すらも越えるだろう大きな湖が広がっていた。
「なんだぁここ!デカい湖だな。ていうかとてつもなく透き通っているぞ。」
この湖の水はとてつもないほどに透き通っているのだ。
何メートルかは分からないが、底が見えてしまっている。
..................................................
「飲んでみてもいいのか?」
透き通っているとはいえ水の中に何もないという保証はない。
水を濁らせるプランクトンやらミジンコなんかがいないだけで、細菌はいるかもしれない。
でも、それでも喉の渇きからくる疲労はこの先足枷になってしまうかもしれない。
なら、一か八かでも、
「飲んでみるしかないよな。」
俺は湖の水を手ですくい上げ、口元まで寄せる。ええい、ままよ!俺は勢いよくその水を飲む。
「!?....う...うまい!」
その水はとてつもなく美味かった。
味があるわけではないが、とにかく美味かった。
それどころか、
「今までの疲れが吹き飛ぶみてぇだ。」
足の痛みや疲労がとんでいった、ような気がした。俺はこの水を数回飲んでその場で立った。
「ご馳走様でした。」
この水に救われた。ここに湖がなければワンチャン死んでいたかもしれない。
誰かいるわけでもないが、俺は感謝を述べた。
「よし、そろそろ探索に戻りますか。」
少し名残惜しいが、俺はこの場を後にする。
水がうまい。
それは大変いいことなんだが、その分誰にでも気に入られやすいということだ。
そう、誰にでもだ。
ここにいたら、間違いなくモンスターとエンカウントする。そんなリスクを冒してまでここにいようとは思わない。
そして俺は、この広く、出口の見えない森に再び足を踏み入れた。
「ぬぅー....そう思ってたけどさー。」
やっぱり出口が見当たらない。
あの天空城?なのか分からないが、一番最初にいた場所と同じ感覚だ。
方向感覚は狂うし、進んでいるのか、戻っているのか、そもそも新しい場所に行けているのかと思うぐらい不安になる。
歩いても歩いても変わらない風景。
まるで1500メートル走や、シャトルランをしている気分だ。
シャトルランした後しばらくドレミファソラシド恐怖症になったりしたっけ。
そういや、俺ここに来たけど、向こうはどうなってんのかね?
俺のこと忘れてんのかな?それとも.......
「探してくれてるのかな。」
そう言葉をこぼす。
いやぁ、辛いわ。こう、なんというか、くるものがあるわ。でも、そう言ってはいられない。
弱音はく余裕があるなら先に進めってな。
「なぁ、じいちゃん。俺は、この後どうすりゃいい?」
空に向かって言う。
じいちゃんは俺のこと見てくれているだろうか。
でも、見てくれていると思うと、少し気分が楽になる。
「あぁーあやめやめ!俺は辛気臭いのは嫌いなんだよ。」
よし、行くか。
覚悟を決めて、俺は歩み始めた。
多分まだまだ探索は続くんだろう。
上を見ても、空はまだ青い。
夜までは十分時間があるだろう............ そう思いたい。
それまでに進んでおかなくてはならない。
そのうち何か建物でもなんでも見つかるだろう。
そう、俺はこの時そう思っていた。
そしてそれがすぐに現実になるのをこの時、俺は全く予想していなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます