彩夏(元カノ)編
家出
翌日の昼休み俺は教室で水野と昼食を食べていた。
こうして食べるのは小学生ぶりだろうか?
と言うか友達と食べるのもそれぐらいぶりな気がする。
何を隠そう人から避けられてるのでねハハハ...
鬼畜のぼっちをなめてもらっちゃー困る。
あっ?でもよくよく考えたら中学はエレンたん(教科書)といちゃラブしながら飯を食べていたので友人と食べるのは1年ぶりだろう。
まあ、エレンたんの場合は嫁なのだが。
なんてくだらない事を考えていると水野がチラチラとこちらを見てくる。
「...」
「...」
無言...
何を話せば良いかわからない...
と言うか男友達はおろか、女友達も織音くらいしかいなかったのでそう言った経験値が全くないのだ。
様子を見る限り向こうも同じだろう。
「...私たち、昔は何を喋ってたっけ?」
...昔はただバカみたいに走り回っていただけな気がする。
「覚えてないな...水野は友達とどういう事話してるんだ?」
そもそも何がセオリーなのかわからない。
歴戦の猛者ぼっちを舐めないでほしいものである。
「あー、学校の人の話とか?」
「なるほど、つまりは俺の悪口か!確かに滑稽で面白いよなハハハ」
「相変わらずの自虐キャラなんだ!?」
自虐ではなく正当な自己評価である。
ぴえん。
「『俺はその倍、お前にやり返す』とか言ってたからドSにジョブチェンジしたのかと思ってた~」
水野はあの時の俺の口調に寄せて呟いた。
...死にたい。
あの頃の俺...何、陰キャの癖にイキってるの!?
...死にたい。
なんて俺が病んでると鈴...何とかが俺の椅子によし掛かってきた。
思わず後ろに倒れそうになる。
まあ、踏ん張ったら安定したので大丈夫ではあったのだが。
...危ない...こいつが爽やかイケメンじゃなきゃ椅子の足でぶっ叩いている所だった...
「凄い組み合わせだな!?」
す...何とかは困惑した様子で俺と水野を交互に見ていた。
「幼馴染だからな」
「水野が幼馴染ってお前...前世で何したの!?まあ...良かったな」
す...何とかはジト目で俺の肩をグリグリと押してくる。
「なるほど、要するに『俺は幼馴染じゃない女とでも飯食えるけどお前も一応は女と飯食えて良かったな』ってことか!」
す...何とかは少し悲しそうな顔をして、俺の手を握ってきた!?
「お前、やっぱりなんか悩みあるのか?」
手は汗をかいているのかびしょ濡れだ...
「あるけどそうすると、俺が初めて悩みを持ち始めた頃だから、全て話すまでに9年...つまりは3285日かかるけど良いか?」
「...」
なんて和気藹々?とした様子で昼食を食べているとLINEの通知オンがした。
...織音からだ。
「ごめん、お姉ちゃん昨日から家に帰って来てないらしくて何か知らない?」
こうして俺の騒々しい日々が始まったのだった。
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