欠損

 あれから俺は取り合えず水野との件が落ち着いた事を伝える為、織音の家へと向かっていた。

 それにあと、もう一つハッキリさせなければいけない事がある...

 なんて考えているうちにもう織音の家の前まで来ていた。

 事前にLINEをして、勝手に入って良いとの許可が出たので遠慮なく入ることにした。

「お邪魔します」

「お疲れです~」

 なんて織音の部屋から返事が帰ってくる。

 俺はそのまま奥へと進み重い扉を開いた。

 扉の先で織音はベットに横たわっている。

「それで~...どうだった?」

「お陰様で上手く行ったよ。ありがと」

 今回の件は織音の協力なくして解決出来なかっただろう。

 と言うか俺...今回ただ織音の言う通りにしただけじゃね?

「それは良かった~!...まあ、私としてはライバルを助けた事になるから少し複雑なんだけどね...」

 織音は唇を尖らせ不満げにこちらを見つめてきた。

「...」

「...どうしたの?」

 もう、ハッキリさせなければいけない。

 これはお互いの為、水野やよるとのように拗れない為、今最もしなければいけないことだ。

 俺は深呼吸をし、織音を強く見つめた。

「織音は俺の事が好きと言う事で良いんだよな?」

「当たり前じゃん...!」

 織音はえへへとはにかんで見せた。

「...そうか」

 それはそうか...

 そうでなくてはあそこまでの労力をかけないだろう。

「...それは、俺でなければいけないのか?」

 恋は盲目なんて言葉もあるくらいで後々、後悔するなんて事もあるだろう。

 もし、他に選択に余地があるのならば俺みたいな不良品ではなくまともな男を選ぶべきだ。

「うん...他の人になんて興味ないよ...?」

 織音は多大な犠牲を払って俺の為に動いてくれた。

 きっと、学校の友達とも最近は遊べていないだろう。

 俺のしょうもない過ちのせいで多くの時間も費やしてくれている。

 それにファーストキスもだ...

 俺は織音の手を握った。

「...つきあっ...」

 何を言おうとしたのか察したのか織音は俺の口を人差し指で塞いできた。

「どうして...?」

 意味がわからない。

 なぜ、告白を防いだのだろうか。

「...先輩、私の事女の子として別に...好きじゃないでしょ?」

「...」

「...そういうのは嫌だな」

「...ごめん」

 逆の立場でも確かにモヤモヤするだろう。

 なぜ、俺はこんな事にも気づかなったのか。

「あ~...もう、そんなに顔、しかめないでよ~。先輩が...今は恋愛出来ないって言うのもわかるから...」

「...だからさ...私の魅力でメロメロしてやるから...その時にまた言ってよ」

 織音が握る手を強めてくる。

「...先輩の事ふっちゃった!」

 織音が少し意地悪げな表情を浮かべながら微笑んできた。

「...ごめん」

 俺が頭を下げると頭を織音に軽く叩かれた。

「もう~...ここは笑い所がでしょ?」

 俺は頬を叩き、微笑み返したのだった。



 作者から~

 これで幼馴染編完結です(パチパチ)

 と言うことで次回からは新章!

 織音はよりデレるし、よるとその両親、元カノも突如として現れて...!?

 お楽しみに!

 あと、新作も自信作なのでよろしくです~

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