決意
私と光希はあの女に促され例の公園に来ていた。
でも、私はどうして良いか分からなかった。
私みたいなヤツがまた近づいたら光希が傷つくに決まっている。
私にはそれが耐えられない。
これはエゴだ。
でも、でも、彼には幸せでいて欲しい...
これだけは私の本心だ。
「私、クズだからさ...もう君が酷い目にあってほしくないの...君の為じゃない...私は自分自身の為にもう関わってほしくないの!」
光希は顔を強張らせた後に唇を強く噛んでいた。
「本当に変わらないな」
彼の発言に今度は私が顔をしかめた。
まさかこんな事を言われると思わなかった。
昔だったら有り得ただろう。
でも、今の彼にはそういった感情はない。
私は胸の内から少しの恐怖感と多幸感が押し押せてきた。
まだ...光希は怒る事が出来るかもしれない。
それな堪らなく嬉しかった。
「お前は安全圏で綺麗事をほざく割に自分の身に危険が及びそうになったら平気で人を切り捨てる」
それから光希はため息を吐きこちらを強い眼光で見つめてきた。
彼の言う通りだ。
私はどこまでも独裁的で独善的で最低最悪な女だ。
「それで悲劇のヒロインぶって自分を肯定するんだ。自分が多少傷つけば良心は痛まないもんな?」
いつも傷つける側なのにその癖勝手に傷ついて塞ぎ込む。
こんな女誰が好きなのだろうか。
「つまり俺や母さんとも思い出もお前からしたらただのゴミって事だ」
「...違うの...!あれは本当に怖くて...!本当に違うの...」
あの日々はだけは...あの日々に対する私の思いだけは本物だ。
でも、私は直接その思いを伝える事もなく胡散臭い弁解を続けている。
本当に最低だ。
私は本当にこんな自分が憎い。
「何が違うんだよ。結局はお前にとって俺は幼馴染でも何でもなく頭のおかしい関わりたくないヤツだろ?」
「違う...!」
それだけは違う。
光希はいつでも私の心の隙間を埋めてをくれる...一番好きなの人だ。
「どうだかな。本人の前ではそう言ったって第三者にはああ言ってる訳だし」
「自分が狂わせてしまったと言う罪悪感から構っていただけだ。それで少々面倒くさくなってきたから切ることにした。こんな所だろ?」
「...違うの...!あれは本当に怖くて...!本当に違うの...」
私は思わず光希に抱きついていた。
きっと言葉じゃ私は最低だから伝わらないそう思ったからだ。
それからは私は深く深呼吸をした。
「...嫌なのよ...!あんなに酷い事したのに君に馴れ馴れしく接したいと思ってしまう自分が...!」
「君が他の女の子と親しげにしてるのに嫉妬する自分も嫌!」
「君なら許してくれるかもって心の中で少し期待してるのも!」
「こうやって少し下心を持って君に抱きつく自分も!」
「そして何より、また君を傷つけてしまいそうな自分が一番嫌...!」
声は少し枯れている。
でも、この言葉は...この思いは本物だ。
「...なら、逃げるなよ!!!お前、そうやって残されたヤツの気持ち考えた事あるのか?」
光希は声を枯らしながらそう叫んだ。
何故彼はこんな私を求めてくれるのだろうか。
本当に理解出来ない。
だが、何よりそれで喜んでいる自分の神経が一番理解出来なかった。
「俺はお前と仲良くしたいの!!お前がそれでどう思おうが関係ない!お前が傷つこうがそれは自業自得だ!」
「ならさ、せめてケジメはつけろよ!!!!!!」
私は本当にいつも自分の事しか考えていない。
私がこうやって距離を取る事も彼を傷つけていたのだ。
...いや、本当は気づいていなのかもしれない。
でも、傷つくかもしれないからその事実から目を背けていた。
「...本当に良いの?私、また君に迷惑かけちゃうかもよ?」
「構わない。俺はその倍、お前にやり返す」
でも、そういうのはもう終わりだ。
今度こそ...今度こそは彼を笑顔にして見せる。
「なら、私にもう一度だけチャンスを下さい...もう、絶対に君を裏切らないから」
最低最悪な私はやっと遅すぎる一歩を踏み出したのだった。
作者から~
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