何味?
あれから俺は少し早めの午前4時に目が覚めた。
「...全く眠った気がしない」
まあ人生柄、安眠とは程遠い生活を送ってきたので普段とさして変わりはないんだけどね。
ははは。
それから俺は少しというかだいぶ早いが身支度を済ませ家を出ることにした。
今まで通り心は死んでいる。
だが、あの夢を見て以来胸の中のアクはより大きくなりどう振る舞えば良いかわからなくなった。
「せんぱぁーい!メロブいこーよ」
今日も今日とてよるは覇気がないし委員長は相変わらずなので織音とヲタ活だ。
「メロブ限定のタペストリーがかわかわ過ぎるんだよね~」
タペストリーとはおそらくラノベの付録の事だろう。
付録と侮るなかれ、普通に15000円くらいするやつもある。
ラノベ自体が約1000円として対比やく1000対14000である。
もうどちらが付録かわかんねーな。
「いいけど、お前俺とばっかりつるんでて良いのか?前に友達出来たって言ってたじゃん」
「先輩と遊んでたいからいいの!ってか友達いない先輩に言われてもね~」
「まあ、俺学校で大人気なんだけどな」
「えっ...?マヂ?」
舐めるなよ。
我こそはエレンタンの旦那にして人の子からは鬼畜なぼっちと言われ嘲笑われる者ぞ。
「学校のみんなは俺の事を頭のおかしいぼっちとか言いながら指指して嘲笑ってくるぞ。えっへん」
「...先輩、これからも一緒に遊ぼうね」
織音はまるで赤ん坊をみるような眼差しでこちらを見つめてきた。
「それやめろ。一番心にクリティカルヒットだわ」
俺は罵詈雑言や暴力よりも哀れみが一番の刃だと思っている。
どうも。世界哀れ選手権一位の光希です。
それからも俺たちは約1ヶ月に続いて放課後遊び歩いていた。
そして今何故か俺は織音の家の部屋にいる。
???????????????????
どうしてこうなったかと言うと自分でもわからない。
一ピコミリもわからない。
ただ今日は「うちに来て」と招かれたのでなし崩し的に来ることになった、それだけだ。
「ほら、先輩。コーヒーあまあまなヤツっしょ?」
「おう、ありがとな。」
お互いコーヒーを一口飲み終えると織音がテーブルにカップを置きこちらを向いてきた。
ちなみに小さい丸テーブルの隣に座っているのでめちゃくちゃ距離が近い。
「先輩、なんか悩んでるでしょ?」
「お前は何でもお見通しだな。やっぱ顔に出てた?」
「なわけないじゃん。女の子の感ってヤツかな?」
織音は俺の右手を握ってきた。
織音のそれは男の物よりやはり小さく柔らかかった。
「何、欲求不満?」
「...先輩にはそう見えたんだ?」
織音はさらに肩と肩が触れる程の距離に近づくる。
それから優しげな表情を浮かべ微笑んできた。
「先輩はどうしたら良いかわからないだよね?」
「...」
「義妹ちゃんや幼馴染さんこの前から何かおかしいもんね」
本当にこいつはよく周りを見ている。
「ああ」
「...私なら先輩を一番に選ぶのに」
「...?」
俺は織音が何を考えているか分からなかったか。
これが男女による考え方の差による物なのか俺が壊れているからかはわからない。
「いっそさ...全部捨てて私に身を任せちゃわない?」
何が織音にここまで言わせているのだろうか。
「...冗談だよ。そんな顔しかめないでよ~」
「先輩があの人達が大好きなのは知ってるから...先輩にとってはお母さんとの思い出と私があげられないような物がつまってるもんね」
織音は俺の腰を掴み抱きついてきた。
織音の胸の豊かさが実感出来る程には強く抱き締めてくる。
「...私とさ...復讐しようよ」
「復讐?」
「そう。復讐するの。あいつらにも先輩と同じ気持ちを味会わせてやるの...そうしたらまた仲良くなれるかもよ?」
織音は俺も同じようによるや委員長も傷つけ、あいつらが感じている罪悪感や罪を帳消しにしようと言っているのだろう。
「...どうして、お前はそこまでするんだ?」
織音は俺の問に答えることなく両手で俺の首をホールドし顔を近づけてきた。
唇に柔らかな感触が伝わってくる。
「...これでもわからない...?」
流石の俺でも分かった。
つまりはそういうことだろう。
「...どう?...恋の味した?」
「コーヒーの味だな」
「...ばか」
ということで俺たちの復讐が始まったのだった。
作者から
また長くなってごめんね(///ω///)♪
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