計画

「さてさてで、具体的にどういう復讐をするんだ?」

 あれから俺たちは復讐?の計画を立てていた。

「...いきなり人任せ~...?」

「だって織音喧嘩慣れしてそうだし」

 中3でぱつきんにしてて喧嘩慣れしていない訳がないだろう。

 というか俺の場合あまり人を貶めたいという感情が湧いてこないのでどうもいい案が思い浮かばない。

 搾取するより搾取されてきた者の悲しき定めである。

「喧嘩なんてしたことある訳ないじゃん。こういうファションなの~」

「嘘つけ。お前結構同じクラスのヤツ論破したったwとか言ってたろ」

「...さっきのがファーストキスだったくせに生意気...」

 元カノからの愛はほぼアイアンクローだったので確かにしたことがなかったのだがどうしてこいつが知っているのだろうか...

 深くは追及しない方が良いだろう。

 知らぬが花という言葉もあるし。

「話は戻るが多分多少俺が酷い事したってあいつら満足しないぞ」

「だろうね。じゃなきゃここまで拗れない訳だし...だから結構酷い事するはめになると思うけど大丈夫?」

 あの時からもうその覚悟は出来ている。

 人を信じるとか喜怒哀楽諸々を感じ取れないがもう一度信じてみようとあの時思えた。

 それが例え表面上だけの偽物だとしても何か変わる気がした。

「当たり前だ」

「...よかった」

 織音は安心したのか顔を強張らせていた先程とは一転して軽く微笑んできた。

「それで私的にはやるなら幼馴染さんからだと思う。義妹ちゃんの場合は家族の問題になってくるからより拗れるだろうし」

 100%と言ってもよいくらいの確率で義母が介入してくるだろう。

 よるはともかく義母はよると父に依存しているように思える。

「具体的にどうしたら良いかわかる?」

「委員長を不快に思わせるんだろ?だから悪口とかじゃないか?」

 感情がぶっ壊れた今人は何で喜び何で悲しむのかわからない。

「まあ、近いかもね。幼馴染さんがすがっている言わばアイデンティティーの根幹を揺るがすんだよ」

「アイデンティティーな。でもそういうのって簡単にはわからなくないか?俺メンタリストとは対極にいる存在だぞ」

 空気読めない、顔色を窺えない、鬼畜これらやばいヤツ3要素が全て揃っているのがこの俺光希である。

「...本気で言ってる?どう考えても先輩じゃん」

「そんなわけないだろ。俺だぞ。道端の糞と同等の価値しかないことで有名な...」

 俺が非常に論理的かつ整合性のある発言をし終える前に織音が近づいてきた。

「いたっ!デコピンやめろ」

「そうやってすぐ悲観的になるのは先輩の悪い所だよ?」

「とりあえず先輩自身を使って幼馴染さんに復讐するってことで」

「他に決めないのか?」

「こういうのは柔軟に動けた方が良いでしょ~とりあえず今はこれだけね」

 ということで最初のターゲットは委員長に決まったのだった。

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