元カノの罪

「...実はね...」

 内容はあまりに酷い物だった。

 最初の方は互いを尊重し合い上手くいっていたと。

 でもだんだん姉の思いが強くなっていくうちに先輩の一緒に住んでいる義妹に嫉妬するようになっていったらしい。

 年頃の男女が屋根の下で日々を共にする。

 彼女としてそれを不安に思うのは分かる。

 きっと私が姉の立場でも多少はヤキモキしただろう。

 だが、それからの姉の対応が問題だった。

「最初は私だけを見てほしいだけだったの」

 初めは首に痕が残る程にキスした所から始まったらしい。

 それからだんだんとエスカレートしていったそうだ...

 時には殴り蹴ったり時には酷い罵声も浴びせたそうだ。

「...意味がわかんない...なんでそんなことすんの?」

 私が最初に沸いた感情は怒りでも恐怖でもなく圧倒的な困惑だった。

 意味がわからない。

 なぜ好きなのにわざわざ傷付けるのか。

 でもそんな理解不能なDV加害者がこの世には数十万いや数百万といるのだから驚きだ。

「...この時だけは光希が私の物って実感出来るから...」

 そんなよくわからない感情の為に。

 歪んだ恋心の為に。

 確認作業の為に先輩は傷付いたのか...そう思うと私は体の奥深くからどす黒い何かが溢れだしてくる気がした。

「...ふざ...けんなよ...!」

私は姉に飛び付き全力で握り絞めた右手で姉を殴り付けた。

「...やめ!...て」

抵抗する姉と揉み合いになる。

「どうして...!先輩ばっかり...」

姉は目尻に涙を浮かべている。

だが、そんな表情も醜いとしか思えなくなっていた。

でもこれは私のせいでもある。

先輩と姉に一番近い私なら気づけたはずた。

でも私は初めての友達に浮き足だって何も気づけなかった。

今が幸せの絶頂だと思っていた。

だが、蓋を開けてみればこれだ。

結局、私も先輩の事を愛せてはなく友達がいる自分を愛してたに過ぎない。

本当に情けない。

こうして私と姉の関係は完全に切れた。



~作者から~

新作公開しました~

ぜひとも読んでくださると嬉しいですううう


https://kakuyomu.jp/works/16816927861018683075

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