元カノの妹

 あれから俺たちは無言で夜道を歩き帰路に着いた。

「はーい、それじゃー復習しとけよ~」

 なんて教師の声と共にチャイムの音が教室内に響き渡る。

「それじゃー!帰ろっか~」

 よるはいつも通りの笑みを浮かべながらこちらへ近寄ってくる。

「ああ、そうだな」

 一度水野の方を見たが水野は何事もなかったかのようにいつも通り笑っていた。

 なぜか胸がズキリと痛んだがおそらく気のせいなので放置しておくことにした。

 もしかして恋っ!?(あせあせ)と思ったがそんな感情など遥か昔に消え去ってしまったのでそれはないだろう。



 いつも通りよると学校を出ると何やら他生徒がざわざわと騒いでいた。

「あの子めちゃくちゃ美人じゃない!?」「お前、声かけろよ~」

学校の皆から指を指されて嘲笑われる俺とは大違いだ。

ちなみに最近、鬼畜なぼっちが定着し過ぎでテストの氏名記入欄に鬼畜なぼっちと書いたら生物教師にめちゃくちゃキレられた。

おいおい兄弟。酒とヤニだけでDHAが足りてないじゃないかい?

まあ、そんなことは置いておいて皆の視線の先には俺とよるが卒業した中学校の制服を着た少女がいた。

 1個下とは思えない程に育っている豊かな胸に凛として見る者全てを魅了するような大きいく美しい青い瞳。

 少女がこちらへ駆け寄ってきた。

「よっ!せ~んぱいっ!」

「おー織音~おひさ」

 彼女は水瀬織音。

 俺の元カノの実の妹で昔はよく遊んだものだ。

 まあ、元カノと別れてからは全てがどうでも良くなって家で一人犬とわが嫁エレン共に戯れていたのだが。

「それでどうしてまた我校へ?」

 俺のこの発言が癪にさわったのか織音はジト目で見つめながら軽く足を踏みつけてきた。

 あら、やだ。

 新しい世界の扉が開かれそう。

「先輩に会うために決まってるっしょ?」

「進学先、黙ってどっか行っちゃうし~...姉貴の暴走止めながら先輩のこと探したこっちの身にもなってよ~」

 織音は金髪に染めた髪を弄りながら肩を震わせている。

 見た目は立派なヤンキー娘。

 でも表情は柔らかく、身嗜みや姿勢も整っている。

こいつみたいな真人間が俺みたいなクズと関わったら傷つくだけである。

「...だからさ、前みたいに遊ぼーよ」

「別に良いけど」

 織音自身俺が想定しているデメリットを加味した上で近づいて来ているのだろう。

 なら、そこで俺が否定する意味もない。

「やたぜ!...ならさ、今からゲーセン行こーよ!」

「よるも来るか?」

「い、いいよ...二人で行ってきたら?」

 よるは昨日の夜から少し覇気がない。

「せんぱぁーい!私のケン・マスターズが火を吹くよ」

「お前の場合ただ強技連打してるだけだけどな」

そんなこんなあり俺は織音と再会を果たしたのだった。



あとがき

この18話を機に主人公の心情、周囲に大きな変化が起きると思うのでお楽しみに。

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