水野 視点

 私には幼少期から付き合いのある幼馴染西上光希がいる。

 その光希は母の夏目さんに顔立ちから要領の良さ、明るさと何から何まで似ていた。

 春は家族ぐるみで花見をし夏は海でスイカ割り、秋は落ち葉で焼き芋を冬は雪合戦をし汗を流したものだ。

 光希も夏目さんにべったりだった。

 当たり前だろう。

 美人で物知りで料理上手でとまさに完全無欠な人だった。

 その反面夏目さんが亡くなった時の光希の落ち込みようといったら見ていられないくらいのものだった。

 それから光希の笑顔はぎこちなく痛々しいものになっていった。

 だが、確か小学校3年生くらいからまた以前のような爽やかでかっこいい笑顔を見せてくれるようになってくれた。

 そんな笑顔を汚したのは私だ。

 中学校に入学したての今からちょうど3年程前。

 学校中で光希が一方的に人を殺したという噂が広まった。

 人を本当に殺したのならばそれが正当なものだとしてもすぐ学校に通えるはずないし、ましてあんな涼しい顔は出来ないだろう。

 それに光希はこの一見があってから表情が全く変わらなくなってしまった。

 それにも関わらず私は自分が陰で悪く言われるのが怖くて光希に歩み寄れなかった。

 後になって後悔して話し掛けようとしても、『今更話し掛けて良いのかな』なんて思い躊躇してしまって今に至る。



「そう思ってくれるだけありがたいよ。委員長、ありがとう」

『委員長』なんて他人行儀に言い放ち立ち去る彼を背中を見ながら私も帰る用意をするのだった。




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