第3話 見慣れた光景

「クソ手間取らせやがって、ローマンとガーマンは素材を剥ぎ取れ。死ぬ前に魔核まで一気に剥ぎ取れよ。灰にしたらその分だけ分け前が減ると思え。」


戦闘が終わったようだ。

思っていたより時間がかかった。


「俺は周囲の警戒を、、そこにいる奴!大人しく出てこい!」


出て行くタイミングを測っていると先に気づかれてしまったようだ。


「待ってくれ、おれは冒険者だ。この道が1番早い帰り道のために戦闘終了を待っていた。」


「なぜ、気配を消していた?」

「お前たちの気を散らせないためだ。」


戦闘の指揮をしていた大男が真意を探るように少年と視線を合わせる。


「仲間はどうした?」

「おれはソロだ。」


そしてまた視線が交わる。


「ソロだと?ありえんな。帰路きろと言いながら素材の一つも持っていないのも不自然だ。お前は何を//」

「兄者!こいつクレイボーイだっはっはっは!金になる素材の一つも持ち帰れね~、いっつもいっつも土塊つちくればっか持ち帰るへっぽこだっはっはっは!」


いかにも取り巻きのような子男が笑い出す。

笑われた少年の顔が下を向き、その瞳が暗くなる。


「お前が学者気取りかっひゃっはっはっは!さっさと帰って土塊つちくれの買取結果教えろよ~、俺たちの酒がうまくなるからよ~ひゃっはっはっは!」

「ハハッおれたちゃお前と違ってまだまだ狩りをして行くからよ。ガキは母ちゃんの乳でも吸ってな。」


少年は口を開くことなく、顔を下げたままその場を後にする。


胸元に光る明かりが離れて行く少年の顔を照らしていた。


その光に照らされた暗い瞳を戦闘を指揮していた一番体の大きい男だけが見ていた。



薄暗い通路を歩く少年の顔は先程と同じように下を向いている。


少年は荒ぶる感情を抑え込むように、表情一つ動かさない。


光に照らされた顔が少しづつ前を向き、影が差した目元で瞳が光る。


「なんなんっだアイツら!今度あったら速攻で俺が魔核潰して無駄に長い戦闘を無駄にしてやるかんな!」


少年はまだ15歳に満たない子供だった。

もうすぐで15歳になり成人を迎えるとは言え、まだまだ精神が出来上がっていないようだ。


その後も彼らに対する不満を漏らしながら遺跡を出て、街についた。

街に着いた少年はいつものように買取所に向かった。


今日の成果は親指と人差し指で作る輪にピッタリ収まるサイズの黄色の魔核が3個。

そして壁面と遺跡の地図のスケッチをした粘土板2枚だ。

相場は魔核が一個150ゴールド、地図は300ゴールドはするだろうが、果たしてどうなるか。


「おい!いくらなんでも魔核一個100ゴールドは安すぎだろ!」

「それが相場そうばっつってんだろ~あぁん、冒険者の数も質も安定して魔核は潤沢じゅんたく。値下がりは当然なんだよ~おぉん。」

「ふざけんな!こっちは命かけてんだぞ!」

「笑わせんな、こっちは金と生活かかってんぞ~おぉん!」


しばらくの間両者の間でギリギリと睨み合いが続く。


「またクレイボーイがゴミ持ち込んで騒いでら〜」

「騒ぐくれ〜なら遺跡から素材でも持ち帰れってんだよ、ハッハッハッ!」

「やめてやれよ。それができれば騒がね〜よ、ぎゃっはっはっはっ!」


周囲で買取を待っている遺跡帰りの冒険者が冷やかし始めた。

そして、真っ当な顧客を見定めた買取所の男が交渉まとめて視線をそらした。

結局、売却金額は350ゴールドで残りは地図の出来高となり、順当にいけば占めて550ゴールドとなるだろう。


太陽がすっかり傾き空がしゅに染まろうとする頃、ようやく街をを出て宿への一本道に差し掛かるとき、固い感触にぶつかった。


今日の冒険で見た壁面を想起そうきしながら足を進めていたためか、前方に意識が向いていなかった。


「すまない少年、ケガはないかい?」

「ありがとう、ございます。騎士?、、さま。」


優しい声音こわいろの青年の手を借りて立ち上がると、目に入るのはぴかぴかに磨かれた金属の鎧を全身に身に着けた騎士の姿であった。


ーーーーー

どうも赤城灯火です!この話を描くうえで一番悩んだのは魔核の価格かもしれないです。一番身近な燃料のガソリンを軸に考えました。頭は理系なので今後登場するであろう魔物の破壊規模から熱量を計算し、良い塩梅で冒険者が生活できる値段を決めれたかなと思います。詳しく書くかは微妙なところですが、さらば!





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