尽くしてきたギルドを追放された頑張り屋で優しい錬金術と仲間の旅

 物語全体がリズム良く、1話1話にイベントが盛り込まれていて常に先々が気になる楽しさをいただけました。
 また、即座に受ける妨害にも腹が立ち、読者の感情を刺激してくださる素晴らしい作品だなと感じました。
 特に、主人公が可愛くもコミカルで良い人なので、非常に好感が持てます。思わず応援したくなっちゃう魅力があります!
 ミステルさんも、普段のクールめな姿とのギャップが描かれていて、可愛さがひきたちますね!
 こういったキャラの魅力をより引き出す掛け合いや応援したくなるような物語の展開、勉強になります!
 錬金術師という支援職であり陽の目を見にくい裏方ではありますが、重要なポジションであります。そういった方が誰かに必要とされる物語の魅せ方、錬金術師ならではの戦い方や生き方が描かれており本当に楽しい物語です!



辛口レビューをご希望とのことなので、僭越ながら重箱の隅をつつくように書かせていただきます。まず、先に私ごときが偉そうに申し訳ありませんと謝罪しておきます。

①序盤、特に1話の時点で所属ギルド幹部4人の人物ともう1人が登場されます。しかし、1話に5名もの人物が登場してうち4名にはおそらく読者の『ふざけるな』という感情を引き出したいのだと思いました。
 であれば、この4名の人物像を数行の紹介ではなくて、もう少し印象の残るエピソードや実際の冒険での理不尽さなども交えて事前に見せていればより濃い悪として映ると思いました。少しあっさりし過ぎていて主人公が受けている3年間の努力に対する理不尽さへの同情と、幹部へ向けられる怒りが弱いかと。せっかく、個性のあるキャラ作りを4名の幹部の方々にもされているので勿体ないと感じました。
 あっさりした追放はテンポが良くなる利点がある反面、キャラが薄くなりがちなので重要エピソードならばキャラを熟知させてからの方がキャラにより感情移入移入できると思いました。

②文章構成としては、1人称視点でやや硬めのものだと思います。なので、あまり文章を加筆しすぎるのもどうかとは思うのですが……。
 空間と5感の表現を少し足してもいいかと思いました。『俺達は再び歩き始めた』だけだと、どういった場所でどういった天気や足場の中、2人はどういう距離感で歩いているのかが浮かんでこないので淡々とスラスラ読み進められる反面、構図が浮かばないので脳内にその場面が浮かびずらいです。
 コーヒーを飲んでいるだけだとどんな気持ちで飲んでいるのか伝わり難いです。あくまで例えばですが、『手汗を滲ませながら握るコーヒーカップの黒い水面には、切な気な俺の顔が映っている。ふわふわと簡単に揺れ動く水面に苦い香りを運んではすぐ見えなくなる湯気が俺達の不安定な先行きを現しているようだ』などと加筆したとすれば、その時の2人の状況や心情が5感を使って表現できたりするとおもいます。序盤の冒険から、2人は隣に並んで歩いているのか。それとも1〜2歩分離れているのか。それが徐々に狭まってくるかなど。(本当に、偉そうにすいません…!!)
 これも、どちらの利点を取りどんな作品を目指すかだと思いますので、ご参考程度になると幸いです。

重ね重ね、偉そうに申し訳ございませんでした!

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