春の国の話終章2「Calling for Destiny」~エピローグ「未来へ」

しいなが封印を解いた遺跡から光の玉がシダレカに向けて進む

光の玉なのだからその速度は速い。5人の玉がシダレカへ向かう

アユミ「ねえ、もうすぐ轢沙子さんに会えますね!」

アユ「…そうね。やっとだわ」

トウコ「そうだな…後は遺跡に誘導して私達が出向くまでだ!」

サヤカ「ここまで長かったな。まあ、いいだろう」

ミホ「轢沙子待ってろよ!」

光の玉は遺跡と向かっていた

轢沙子が住んでいる一室…

轢沙子は天界へ向かうために準備をしていた。荷物整理。それであった

ある程度済んだのだろうか。轢沙子はほとんど終わっていた

轢沙子「これで…良し。後はみんなにお別れのメールをしないとね」

轢沙子の決心は誰にも止められなかった。轢沙子はリリ、カイ、由美子、そしてデュラハンにメールを送った

一方通行のメールなので、返事は返さなかった。何か言われそうだが、ほとんど無視した

ふと、窓を見るとぼんやりだが光の玉が見えた。わかっている。巫女達だ

轢沙子が窓に近づくと、発言する

轢沙子「みんな、よね?」

そう言うと光の玉は答える

トウコ「ああそうだ!轢沙子、私達はこの国の海岸の遺跡に向かう!そこで会おう!」

轢沙子「ご丁寧に。ありがとう。じゃ、早速向かうわね」

そう言うと光の玉は再び空へ上がり、その場所へと向かった

轢沙子「さあ、行きましょう。私の決心が揺らぐ前に…」

轢沙子は住んでいた一室から離れた


轢沙子が出ていったアパートの一室に4人が近寄る。リリ、ネネ、カイ、由美子であった

お別れメールが届き、返事を返さず、慌てて4人は轢沙子の住む場所へ行っていた

だが、インターホンを鳴らしても決して出ない。ますます慌てる。どこへ向かったのか

リリ「ねえねえ轢沙子ぉ!いたら返事してよぉ!!」

リリは大声で叫びながらドアをどんどんと叩く。しかし返事は一切ない

ネネ「轢沙子さん…どこにいるんですか…!」

カイ「あんなメール届いてカイ達を残すつもりなの!」

由美子「ここにはいない…どこにいるんだ…」

4人は悩んだ。どこにいる?そんなことを考えたらまた新たな人物が来た

デュラハン「みんな!僕だ!」

リリ「デュラハン!」

デュラハンとバフォメットが来た。ところでなんでこの場所を知ってるのだろうか

由美子「お、お前達!轢沙子の住所わかってたんだな?」

デュラハン「実は轢沙子と連絡先交換したらプロフィールに住所が載っててね。それでわかったんだ」

ネネ「律儀ですね轢沙子さん…」

バフォメット「それよりもみんな!轢沙子ちゃんを追いましょう!」

リリ「そうねぇ!」

6人は急いで向かうことになった

駐車場に車があった。ワゴン車だろうか。誰が運転を?

由美子「おいおい、ワゴン車じゃないか。誰だ?」

デュラハン「僕の物だよ。僕が運転する。急いで乗ってくれ!」

カイ「デュラハン運転免許証持ってるの!?意外!」

デュラハン「そんなこと今はどうでもいいだろう!行くぞ!」

6人が車に乗り込む。運転はデュラハン。助手席にバフォメット、そして後部座席に4人が乗る

リリ「でもぉ!轢沙子がどこ行ったかわからないじゃないのぉ!」

そう言うとデュラハンは冷静に答える

デュラハン「いや、多分だがそこに行きそうな場所がわかるんだよね。バフォメット?」

バフォメットはそもそもこの国の生まれなのである程度の地理はわかっていた

バフォメット「そうよ!海岸線沿いの遺跡…!あそこは巫女を祀る遺跡だからもしかしたらそこかなって!」

由美子「おそらくそこだろうな」

デュラハン「突っ走って行くよ!」

6人を乗せた車は急発進し、その遺跡へ向かうことになった


海岸線の遺跡…そこに轢沙子はいた。轢沙子は何も動じずに待っていた。

ワクワクした。でもどこか悲しかった。だが、そんなことを考えたら、ある物が飛んでやってきた

…光の玉である。光の玉はその遺跡をくるくる回転してた。やっと来たか。轢沙子は上を見上げていた

そして回転が終わると、巫女達の姿になった。巫女達は笑顔で轢沙子を見下ろしていた

トウコ「轢沙子!私達だ!」

轢沙子「トウコ達、くるくる回転する意味、あるの?」

サヤカ「いやいや、雰囲気だそうかなと思っただけだ!」

轢沙子「雰囲気ねえ…」

そう言うと後ろから大声がとんだ

リリ「轢沙子ぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーー!!」

その声に振り向くと、リリ、ネネ、カイ、由美子、そしてデュラハンとバフォメットがいた

轢沙子「み、みんな…どうしてここがわかったの?」

バフォメット「アタイ、地理に詳しいから!轢沙子ちゃん、こっちへおいで!」

バフォメットが悲痛な声を言っても、轢沙子は何も表情を変えなかった

轢沙子「…ごめんね。みんな。もう、私は止められない。待ってるのよ。私の友人…巫女達が」

由美子「そんなこと言ってもアタシ達だって友人じゃないか!止めろ!」

轢沙子「でも。私は巫女達が好きだから。だからこそ、よ」

カイ「轢沙子!絶対駄目よ!すぐに戻ってお願い!」

轢沙子「もう、いいの。私は、これから天界へ行かないと駄目なの」

ネネ「お願いします!轢沙子さん!行かないでよ!」

ネネは大粒の涙を流しながら叫んだ

デュラハン「バフォメット!瞬間移動して轢沙子を止めてくれ!」

バフォメット「駄目よデュラハンくん!バリア貼られていて行けないわよ!」

デュラハン「じゃあ、どうすればいいんだ!」

リリ「轢沙子ぉ!!お願い!!嫌よ!私嫌よ!だから…これからも、ずっと居て!!」

リリも涙を流し、悲痛な叫びをしていた

轢沙子「…みんな、優しいのね。貴女達に会えて、心から感謝するわ。だから、私は行かないと。本当の私に戻らないと駄目なの。

だって、天界の人だから。私はね。今までありがとう」

デュラハン「轢沙子、頼む!止めてくれ!」

轢沙子「デュラハン。変に女の子をナンパしちゃ駄目よ」

バフォメット「轢沙子ちゃん!」

轢沙子「バフォメット、その可愛い雰囲気、ずっと保ってね」

由美子「お前、今何をしようかわかってるのか!」

轢沙子「由美子、カイと喧嘩せずに幸せにね」

カイ「もう嫌よ!轢沙子、止まって!」

轢沙子「カイ。いつも海産物を送ってくれてありがとう。美味しかったわよ」

ネネ「駄目!お願いします!轢沙子さん!!」

轢沙子「ネネ。貴女なら絶対リリの身長超えるほど大きくてたくましい子になるわ」

リリ「轢沙子!!」

轢沙子「リリ、貴女とは親友でいれてとても嬉しかったわ。この友情は永遠よ」

轢沙子がひとりひとりの言葉を投げかけ、上を見上げる


轢沙子「運命を求めて…私は、運命をもらうわ」


そう言うと光になってる巫女達が轢沙子の手を掴み、空へと上がる

そして、光が眩しいほど明るくなり、そして止まった。

6人が見たものは、もう光もない、轢沙子もいない、ただ、遺跡だけが残っていた

6人全員が絶望した。轢沙子がいなくなってしまったことを。そして、天界へ上がってしまったことを

リリ「ひ、轢沙子…」

リリは身体が崩れる。そして、泣いた

デュラハン「そ、そんな…悲しい結末だなんて…」

デュラハンも泣いていた。やはり、言わないほうが正解だったのだろうか?デュラハンは自分のやったことを心から後悔した

バフォメット「デュラハンくん…アタイ…う、ううう…」

バフォメットは手を覆いながら泣いた

ネネ、カイ、由美子は上を見ながら、ポロポロと涙を流していた

カイ「轢沙子…」

カイは泣きながら空を見上げた。由美子はそんなカイを肩を抱く。だが、由美子も泣いていた

由美子「カイ、悲しむなよ…これが…あいつの運命だったとおもえば…ううう…」

ネネ「本当に轢沙子さん、消えたの?もっと、学びたいこと、あったのに…」

6人はそう言うとリリが叫ぶ

リリ「轢沙子ぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

その叫びは、轢沙子には伝わらなかった。ただ、あるのは静寂に包まれた遺跡と、空だけであった




轢沙子と巫女達は空へ浮遊していた。巫女達は喜んでいた

トウコ「やっとだな!正直記憶喪失が長く続いて私達、ちょっとあせってたぞ」

轢沙子「その事に関してはほんとごめんね。思ったほど、思い出せなかったわ」

サヤカ「ま、こうして天界へ行けるとなると嬉しいもんだ」

轢沙子「で、これからどうするの?」

アユミ「天界へ行く前に、ちょっと3つの国、見て回ってみませんか?」

轢沙子「お、いいわねえ」

アユ「新婚旅行よ」

ミホ「だからお前はすぐに愛に結びつけんな」

轢沙子「ふふふ!じゃ、行きましょう」

6人の光の玉はアマリリスへと向かった


アマリリス高校…

あいり「おや?光、何見てんだ」

光「悪魔協会へ就職っていうのは無かったけど、支援会社の会社説明のパンフレットもらったんだよ」

こうみ「…何それ?」

光「話によると、悪魔協会と天使協会を支援する会社らしくて…そこに就職したいんだ!」

あいり「おー!いいとこだな!頑張れよ!」

こうみ「…羨ましいわね。もう将来の夢決まって。私はどうしようかしら」

あいり「アタシもどうすっかね。はぁ~大学は行く気しないし高校から就職活動してもな~」


轢沙子「…光ちゃん、ね」

トウコ「おや?知り合いか?」

轢沙子「ネット仲間よ。でも、もうできなくてごめんね」

サヤカ「お次は…悪魔協会か」


悪魔協会総本山…

ロード「ねーねー!アークちゃん!」

アーク「なんだ騒々しい。で、その紙はなんだ」

ロード「見てわかるでしょ?結婚式のパンフレット!」

アーク「…」

ロード「えー!そんな顔しないでよ!愛してるって言ってくれたじゃん!」

アーク「…いや、悪くないな」

ロード「ほんと!?わーい!近々見て回りましょうよ!」

アーク「そうだな」


轢沙子「…この悪魔達脳内お花畑かしら」

トウコ「ま、まあそういう愛もあるんじゃねえか?」

ミホ「じゃあ、次は冬の国へ行くか」

轢沙子「ええ、ちょっと遠いわね」


天使協会総本山…

天使1「…ミカエル様、1週間で退院したのはいいけど…なんだか真面目になったね」

天使2「そうだね。自分から説法するようになったし、部下の扱いもすごい良くなった気がする」

天使1「やっぱり…娘様を追放して、変わったのかなあ」

ガブリエル「いえいえ。ミカエル様は何も変わってませんよ」

天使1「あ、ガブリエル様

天使2「それは…どういう意味ですか?」

ガブリエル「ミカエル様は、少しだけ真面目になって、法と秩序を見直した。ただそれだけですよ」

天使1「なるほど。娘様を追放したのが大きいのかと思いましたが」

ガブリエル「…娘様の事は忘れましょう。ミカエル様の前で言ってはいけませんよ」

天使2「は、はい」


轢沙子「100%何かあったっぽいわね」

サヤカ「天使って大変だよなあ」

轢沙子「結局現世であまり天使に会わなかったわ」

ミホ「天界に行けば腐るほどいるぞ」

轢沙子「あ、そうか」

トウコ「次、行こうぜ。ヒダンゲだ」


ヒダンゲ天使協会…

ラファエル「…娘様の追放…ミカエル様の入院…色々ありすぎて胸が痛いです…」

ニケ「…?どうしました?ラファエル様?」

ラファエル「…貴女も聞いたでしょう?」

ニケ「…わかります。でも!私は、絶対ラファエルの事を嫌にはなりません!」

ラファエル「…ニケ」

ニケ「私が生涯着いていくのはラファエル様!貴女一人のみです!」

ラファエル「…ありがとうニケ。改めて…これからもよろしくね」

ニケ「はい!ラファエル様!」


轢沙子「これも愛の一種なのかしら?」

アユ「…そうね。愛、かもね」

サヤカ「おや、トウコ。お前が夢を介入した子がいるぞ」

トウコ「お?どれどれ…」


ゲッカシティ中学校玄関口…

しいな「いやあ、表彰状なんてもらって嬉しい!」

マーガレット「なんだかんだ言ってお前は凄いヤツだってわかったよ」

シャニオン「しいな先輩はウチの誇りです」

りな「あれ?牧さんとレニさんとタツジさんがいますよ?」

しいな「あ!おーい」

牧「しいなちゃん表彰、心からおめでとう」

レニ「わたくしとは違う、本当に素晴らしい人間ですね」

タツジ「君は凄い人だってことがわかるよ」

しいな「ふっふー!ま、これからも遺跡部は続くけどね」

牧「その調子よ。ねえ、お煎餅屋に行って夕日、見ない?」

シャニオン「お、いいですねえ」

しいな「やったー!行こうよ~」

タツジ「…おや?男の私も着いて行っていいのかい?」

マーガレット「何言ってんだよタツジさん。タツジさんも仲間に決まってるだろ」

タツジ「おおー。嬉しいな。じゃあ、行こうか」


轢沙子「なんだかのんびりな感じね」

トウコ「あの子を使用…げふげふあの子のおかげだな!」

アユ「…さあ、もう見終わったし、天界へ行きましょう?」

轢沙子「…待って、もうひとつ、行きたいとこがあるの」

サヤカ「…わかってる。友人達だろ?」

轢沙子「ええ…」


リリの家…

6人はリビングにいた。轢沙子を失ったこと…そのことが喪失感で、誰も口を開けなかった

もう、涙は枯れたのか。誰も泣いてはいなかった。すると、リリははっとする。リリは聞こえた。かすかに何かが聞こえた

リリ「…轢沙子」

ネネ「え?どうしたのお母さん?」

リリ「今…轢沙子の声がしたわ…はっきりとした口調で…『ありがとう…』って」

由美子「そうなのか?」

デュラハン「…僕にも聞こえた。轢沙子の声が」

カイ「え、本当に?」

バフォメット「アタイには聞こえなかったけど…」


リリ「あれ…涙がまた…止まらない…どうして…なの?」


ネネ「お母さん…」



巫女達と轢沙子一方はようやく天界へと着いた。巫女達は轢沙子を取り囲むようにして喋っていた

トウコ「ようやく着いた。じゃ、これからもよろしくな!轢沙子!」

轢沙子「ええ。今度は天界生活に慣れないとね」

そう言うとアユが轢沙子の腕を組んだ

アユ「…もう、私を忘れちゃ駄目よ」

轢沙子「ごめんねアユ」

サヤカ「だが、これで轢沙子が来たから神に何言われても大丈夫だな」

アユミ「轢沙子さんはすっごい強いですからね!」

轢沙子「ちょ、ちょっと何を期待されてるのよ私!?」

そう言うと後ろから声が飛ぶ

ウリエル「おー!轢沙子!久しぶりだな!」

轢沙子「あら、ウリエルじゃない?ここで長話はしないでね」

ウリエル「しないぞ。だが、こうやって戻ってきてくれると天界全員が嬉しくなると思うぞ」

轢沙子「まあ、みんなといられることが1番だと思うからね…あら?ウリエルの後ろにいる子は?」

そう言うとウリエルの後ろから少女がひょこっと顔を出した

ウリエル「そうそう。この子はつい最近地獄から上がってきた子だ。ほら、挨拶しろ」

そう言うとその子が姿を現し、言う

デス「はじめまして轢沙子さん。デスと申します。これから天界に住むことになりました。よろしくおねがいします」

轢沙子「デスって言うのね。よろしくね」

轢沙子が言うとウリエルが言う

ウリエル「さあ!轢沙子、まずは神に会おう!神は待ちくたびれてるぞ!」

巫女達とデスとウリエルは神殿へと向かおうとしてた

轢沙子も向かおうとして、後ろに振り向く

轢沙子「みんな…ありがとう…さようなら!」




シダレカ、アマリリス、ユキノウエ、ヒダンゲ…

4つの国の物語は今、終わりを迎えようとしていた




<CAST>

・春の国

人見轢沙子

リリ・ポテプ

ネネ・ポテプ

海野カイ

岸由美子

デュラハン

バフォメット

日向ラツナ

安藤ヌクギ

・夏の国

塩谷光

ピットフィーンド

シェリル・アイボ

山城あいり

山城こうみ

アークデーモン

ヴァンパイアロード

・冬の国

河合冬美

ディバイス・アルエル

彼方ギン子

ミサゲ・フィール

コーク・レイク

ミカエル

ガブリエル

荒木ユウ

・秋の国

板崎しいな

マーガレット・バーバーコートニー

シャニオン

桜田りな

紺田牧

レニ・ウォーリー

ラファエル

ニケ

ハマタツジ





THE END


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