夏の国の話終章1

ピットフィーンドの館の地下室…

ここは以前祭壇を利用して地獄へ行くゲートを開いたり蘇らせることができる場所

シェリルが地下室へと向かった。この地下室は鍵が無いため勝手に開けられるのである

ガチャ…ドアを開く。そしてちょっとした明かりと付けて周りを見渡した

シェリル「…ピットフィーンド様、あまり片付けをしないタイプですから…私がやるしかないんですよね」

ちょうど今日は片付けの日にしたのかシェリルは館全体を掃除しようとしていた

祭壇に近づき、周りを見渡す。しかし、ちょっと変なところがあった。ゲートである

シェリル「あれ?ピットフィーンド様、ゲートを片付けてなかったのですか?不始末ですねえ」

ちょっとした主への不満を言った。だが、変なとこである。ゲートを片付けないのは

ゲートをしまっておかないとゲートから地獄に住むモンスターがこちらまで通ってくるからだ

だが幸いにもゲートを通ってモンスターが現れてないみたいだ。そこは少しほっとした

シェリルは不思議に思いながらもゲートを自分で片付けようとする。するとゲート入口に紙があった

シェリル「ん?紙?これはなんでしょうか」

紙を拾い、見てみる。そしたら…

シェリル「…ええ!?ちょっとどころかこれまずいことになってますよ!急いでピットフィーンド様に言わないと!」

慌ててシェリルは携帯電話から最近ようやく携帯電話を持ち出したピットフィーンドに連絡しようとする

シェリル「…出ない!もしかして電源切ってるんですか!?」

その焦った内容というのが…


シェリル「デス様が無闇地獄へと行ったとは…!あの地獄は魂を消す地獄…!なんとしても止めないと!」


常夏の国、アマリリス

そろそろ春の陽気だが、ここは夏の国なのですっかり暖かいどころか暑い気温になっている

そんな中。高位悪魔ピットフィーンドはとある遺跡で待ち合わせしていた。光とのデートである

前にピットフィーンドは携帯電話を持ち出したので、光と連絡先を交換して今に至る

毎日、2人は仲良く連絡したりメールでやり取りしたりして幸せな日々を送っている

そして今日はデートしようと決めて待ち合わせていた。ちなみにピットフィーンドは邪魔されたくないからか電源を切ってた

ピット「今日は光とのデートってやつ。悪魔の私がこんなにウキウキするとはな。ヒューマンの心を持ったんだなあ」

そう思うと笑顔を絶やさなかった。するとどこからか声が届いた。見知った顔であった

光「ピットちゃーん!」

彼女が来た。もちろん光である。光がピットフィーンドの近くへ行く

ピット「光!ようやく来たな」

光「うん!ちょっと遅れちゃったかな…?」

光がもじもじした。だがピットフィーンドは決して表情を変えることなく言う

ピット「大丈夫だ。さあ、行こうか!」

ピットフィーンドはさっさと行こうとした。しかし光は発言する

光「ねえねえピットちゃん。…手、繋がない?」

そう言うとピットフィーンドは言う

ピット「お。そうだな。じゃあ手を繋ごう」

ピットフィーンドが光の腕を巻き付くように腕を組み、手を繋ぐ

光「あれ、ピットちゃんからそういうことになるの?」

ピット「光のほうが身長あるだろうが。私はちびだからさ」

あえてネガティブなことを言っても何も思わなくなったのか。光は少しだけ驚いた

光「そっかあ。んじゃ、いこ!」

2人は手を繋ぎながら、移動しようとしてた


2人は仲良く歩く。その間でも2人は会話が途切れなかった

ピットフィーンドは思ったが、ここまで相性のある人間と仲良くなれたとは思わなかった

あの時、救ったことはこれは運命ではないかと。悪魔にも運命という言葉があるんだな、と

なるほど。これが、愛か。そう思いつつ、ピットフィーンドは光という存在を好きになった

しばらく歩くと、とある路地へとたどり着いた。ここは…

光「あ。ここ…ピットちゃんに助けられたとこだ」

そう。過去にちょうど光がここへ来たら変質者に捕まったとこである

ピット「ここか。私もちょうどここに来ていて、光が変態に捕まってたんだよな」

光「あの時を思い出すと、ちょっと怖いね」

ピット「まだトラウマ、あるのか?」

そう言うと光は無理してない笑顔で答える

光「ううん。もうほとんど忘れてる。だってピットちゃん、あの変態にグーパンチで倒したもんね」

ピット「そうだな。ちなみに、私は変態に半分本気のパンチをしたからな。あの野郎、骨折したかもしれんな!」

光「うわあ…やっぱりピットちゃんは高位悪魔だよ。手加減をしないのは」

そう言うとピットフィーンドは笑う

ピット「ハハハ!だが、その後で光との出会いが始まったからな。ま、結果オーライだな」

光「ほんとあの時のピットちゃんが天使に思えた。悪魔なのに、素敵な人だと思ったよ」

ピット「あの時言ったろ?弱い者いじめは大嫌いだって」

改めて2人は出会ったこの路地を見ていた。あの時、2人の出会いが始まったから今こうして恋人同士になれたんだと

光「…そろそろ別のとこ行こっか」

ピット「お、そうだな」

2人は路地を後にして、別の場所へと向かった


2人が次に向かった先は、チョコレート専門店だった

前にピットフィーンドとアークデーモンと共に出向いた場所だった。光はその場所に着くと不思議な感じになる

光「あれ。ピットちゃんまたここに着いたけど?」

ピット「フッフッフッ。実はまた期間限定品が売ってあるんだよな」

光「…もしかしてピットちゃんって期間限定品という言葉に弱いの?」

ピット「半分正解だ。残り半分はチョコレートが好きなだけだ。さあ入るぞ」

2人は店に入る。店は相変わらずというか人がいた。そして店の真ん中で期間限定品があった

ピット「今日はミルクを多く使ったミルク板チョコレートだ。こんなの美味しいに決まっている」

ピットフィーンドはそのチョコに手をとった。光も同じく手にとった

光「でもどこで食べるの?」

ピット「光、今デート中だ。外で食べるに決まっているだろ」

光「そうなんだ。てっきり悪魔協会に向かうかと思った…」

光が店内を見渡すととある物を発見した

光「あ!ピットちゃん!前に発売した濃厚ミルクバフチョコレートが再販されてる!買う?」

ピット「マジか!これも買うぞ!」

2人は仲良く前に発売されたチョコを買おうとしてた

チョコレート専門店でお目当ての物を買った2人。後で外で食べよう。そう思った


買ったチョコレートをかばんに入れて2人が次に向かった先は…

光「普通にデートしてるね私達」

ピット「ああ。光の手は暖かいな。ここは暑い国だが、光の体温のほうが私は好きだ」

光「んもう、そんなこと言わないでよ。照れてしまうよ」

2人は最初と変わらず手を繋いで歩いていた

その姿を他の人は決して珍しいとは思うわず、普通の恋人同士。みたいな感じだからだ

しかし、ピットフィーンドはあるものを見かけたらすっと恋人繋ぎを止めた

光「ん?どうしたのピットちゃん?」

そう言うとピットフィーンドは前に歩く人を発見した。悪魔協会関係者だった

ピット「よう。レブナントにサイデル。不死2人がパトロールか?」

ピットフィーンドが言うとその関係者は笑顔で答える

レブナントはゾンビの一種であり、サイデルは骨だけの存在だった。光がそれらを見るとちょっと怖い気持ちになった

いくら悪魔協会に出向いてるからと言えどやっぱり怖い種族は怖い。ピットフィーンドだからこそ明るく対応できるからだ

レブナント「ピットフィーンドさんじゃないですか!はい。この昼下りで警備ですよ」

レブナントが言う。そして一方の骨だけサイデルは無言だった

レブナント「おや、もしかしてその人は代表と副代表に気に入られてるヒューマンですか?」

ピット「そうだぞ。光、挨拶しよう。大丈夫。怖くない。あと臭くはない」

そう言うとレブナントのほうは否定する

レブナント「腐ったゾンビなんて昔ですよ昔!今は全然大丈夫です!」

光「あ、はい…はじめまして…光と言います」

光とレブナントは握手する。光はおもったがとても暖かく、匂いなどは無かった。少しだけほっとした

ピット「おい、サイデル。お前も返事したらどうだ?」

サイデル「…」

無言である。光は思ったがこのアンデッドっぽいのは普段から無口なのだろうか

光「ど、どうも。サイデルさん?光です」

光はこの不死に手を伸ばす。ちょっとの間が空いたが、サイデルは利き手だろうか光に刃となってるほうに手を伸ばした

サイデル「…光さん。どうも。ヒューマンに握手を求められるなんて、初めてです」

光はあ、ちゃんと喋るんだ…と思いつつ握手を終える

レブナント「ところでピットフィーンドさん、今何をしてるんですか?」

ピット「いやあ、ちょっとな。ヒューマンと一緒にいるだけだぞ」

レブナント「そうですか~。じゃ、私たちは警備に戻るので!それでは!」

サイデル「失礼いたします…」

2人の不死は去った。光の胸はまだドキドキしてた

光「…意外と不死ってこ太陽が出てるときでも普通に活動するんだねえ」

そう言うとピットフィーンドは答える

ピット「今の不死はどんな時間でも活動的だぞ。もちろん、悪魔と亡霊もだ。今の時代に合わせて、活動してるんだぞ」

光「あ、そっか…。そう言えばシェリルさんも不死だし…」

ピット「つまりはそういうことだ。さ、デートの続きしようぜ」


デートの続きをした。また2人は手を繋いで歩く

今日は気温がやや高めだが、2人の手に汗が軽くにじんでも決して暑いからという理由では離れなかった

いつの間にか、海のほうに着いた。相当歩いたんだな、と光は思った

海に備え付けられてるベンチに座る。2人はが座ると、ピットフィーンドは声を出す

ピット「そろそろ買ってきたチョコ食べようぜ」

光「そうだねえ。溶けてないかな」

2人は買ったチョコを取り出す。幸い溶けてはいなかった。濃厚ミルクバフチョコレートとミルク板チョコを食べる

光「美味しい!前に食べたけどこれは凄い美味しいと思うよ!」

ピット「だな。シェリルはもうちょっと甘味に関して理解してくれればいいんだけどな」

ピットフィーンドはちょっとした愚痴を言いつつ2人は食べていた

チョコを食べ終えた。あまりに美味しくあっという間だった。2人は海を見ながら間を空く

ピット「…なあ、光」

光「うん?何?」

ピット「…目、つぶってくれないか」

光「うん」

光が目をつぶった。すると光の唇に柔らかいものが接触した。キスである。ピットフィーンドは光の唇にキスをした

光「んっ…」

光はわかっていた。目をつぶってくれというのを。キスを終えると、目を開ける

ピットフィーンドの表情がなにか艶やかな顔になっていた。顔もちょっと赤い。光は感じるとピットフィーンドが言う

ピット「光…今な。キスをしたんだ。ただのキスじゃない。術も軽く取り入れたキスなんだ」

光「…呪術?」

そう言うとピットフィーンドは答える

ピット「これはな。悪魔のキッスと言って…その…永遠を誓うキスなんだ…それでな…もう、光がいないと駄目なんだ…

私は、長いあいだを生きた悪魔だから…かといってぼーっと生きていたわけじゃない。いつか好きになる人がいれば…

そしてこの悪魔のキッスを初めて使った。もう、光…だから…その…」

喋ってるうちにピットフィーンドはうつむいてしまう。とても恥ずかしいのか、初めて使った緊張かはわからないが…

光は黙ってしまったピットフィーンドに対して言葉を言う

光「ピットちゃん、顔を上げて」

ピット「うん…んっ!」

今度は光からキスをした。長いキスだった。太陽の下で明るく照らし、2人を太陽は見ていた

唇が離れると、光は潤んだ瞳でピットフィーンドを見ていた。ピットフィーンドも、わずかに潤んでいた

光「ピットちゃん。この愛、一生忘れないよ。そして、これからも、ずっとピットちゃんっていう人と居たい」


光「だからね…ピットちゃん…愛してる」


そこまで言うとピットフィーンドはつーっと、涙を流していた。悪魔が泣いた。光も潤んだ瞳から涙を流していた

ピット「…光ーーーー!!」

ピットフィーンドは初めて感情を爆発させた。愛してる。と言われて人生で1番嬉しい気持ちになった

2人は抱き合った。この常夏の太陽の下で、完全な愛が成立した。ただ、それだけだった。それ以外の何物でもない。愛だった


2人が海を出るとそろそろピットフィーンドの館に行こうと歩んでいた

ピット「…さて、そろそろ電源を押してと…」

光「あれ。ピットちゃん電源切ってたの?」

ピット「当たり前じゃないか。私と光の邪魔するのは嫌だからな」

ピットフィーンドが携帯電話の電源をオンにすると、まず目に飛び込んできたのはシェリルからの不在通知だらけだった

ピット「…?なんでこんなシェリルからの通知ばかり?」

光「え、それやばくない?電話したほうがいいよ」

ピットフィーンドはなんとなく、シェリルに電話した。するとすぐにシェリルが出た

シェリル「あ!ピットフィーンド様!」

ピット「シェリル。どうしたんだよ」

シェリル「大変です!地獄にいるデス様が…!無闇地獄へ向かってるそうなんです!」

ピット「な…!なんだって!?無闇地獄だと!?」

光「む、無闇地獄??」

ピット「無闇地獄と言ったら現世で相当な罪を犯したヤツしかいかない地獄だぞ!」

シェリル「そうなんです!だから…!すぐに来てください!」

ピット「わ、わかった。すぐに帰る!」

ピットフィーンドは通話ボタンを押し、光の顔を見た

ピット「…大変なことになった。光、すぐに戻るぞ」

光「無闇地獄って、そんなヤバいの?」

ピット「魂が消え去り、二度と再生されない地獄だ!」

光「なっ…!?急いで戻ろう!」

2人は手を繋がず、館へ戻った


アマリリス、今日は温度の高い日

2人は館へと戻る


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