外伝7話
常夏の国。アマリリス
今日は気温が高く、少しでも運動するなら汗ばむ温度だった。それゆえ、この時期からすでに人々は軽い服装を着ていた
アジサイ村の漁港…ここで1人の人が定期便の船から降りた。
その姿はどこか高貴な姿をして、ツインテールの髪、目は紫。そして一対の翼…
彼女はルシファー。今日はアマリリスに出張をしてこの国へと辿り着く。ルシファーが船を降りると空を見上げた
さんさんと照りつける太陽。そして気温の高い朝。ルシファーは青空を見ると、すぐに目的地へと向かおうとしていた
ルシファー「…アマリリス、相変わらず暑い国ねえ。ここまで来るのに厚着しないでよかったわ」
ルシファーはアマリリスは今の季節は暑いというのをわかっていたため軽い服装に着替えていた
さて、早速だが悪魔協会総本山へと向かおう。降りたアジサイ漁港から歩いてバス停へと向かう
このアマリリスは鉄道もあるがバスも多い。そして車も多いためそこまで不便ではない。どの国にも言える話だが
ルシファーは悪魔協会総本山に行けるバス停を調べる。悪魔協会総本山前のバス停はないが、近いバス停ならある
すぐに見つけた。ルシファーがここに来るのは初めてではないためある程度調べてはいる
ルシファー「見つけた。えーとバスの運賃は…え、120G?すごい安い…ってこれ初期費用ね」
この国のバスは遠くになると値上がりするタイプである。だがルシファーはお金をたくさん持ってるためあまり関係はなかった
待ってるとバスが来た。アマリリスを象徴するかのようなオレンジ色のバスだった。ルシファーは乗り込むことにする
バスに揺られながら目的地のバス停まで待つ。今日は平日なのか乗ってる人はあまりいなかった
今日は暑いためか冷房を入れていた。バス内が少し涼しい。涼しいのは好きなためルシファーは快適に過ごしていた
しばらくすると悪魔協会総本山に近いバス停へと辿り着く。ルシファーは停車ボタンを押し、降りた
アマリリス首都ビスカスシティ。ここに悪魔協会総本山がある
ここの首都は相変わらず車とバイクと自転車が多かった。久しぶりにその光景を見たルシファーは相変わらずと思った
ルシファー「ここもあまり変わってないわね…さて、総本山に向かいましょう」
ルシファーはここから歩くことにした。そう遠くはないはず
表通りを抜け、裏通りへと行く。悪魔協会総本山は裏通りにある場所なのでわかっている
そして歩いているとようやく悪魔協会総本山へと辿り着いた。その建物は黒く、威圧感のある雰囲気をしていた
ルシファー「やっと着いたわ。船から降りて約1時間?さーてアークデーモンさんいるかしらねえ…」
ルシファーは悪魔協会のドアの前まで行き、気づいた。そういえばインターホンはあっただろうか
ルシファー「えーと…呼び出しボタン…あった」
彼女がボタンを押すとかかりつけの人の声があった
「もしもし、ここへなんでしょうか」
ルシファー「すいません、支援会社アセルスのるしあです。代表はいらっしゃいませんか?」
「申し訳ありません。今日は代表はいないのですよ。代わりに副代表をお呼びしましょうか?」
ルシファー「あら…そうだったの…じゃあ副代表をお願いします」
「かしこまりました」
会話を終え玄関で少し待つとドアが開いた。その人は副代表、ヴァンパイアロードだった
ロード「あらあ!ルシファーちゃん!…えーとるしあちゃんかしら。よく来てくれたわね!」
ルシファー「久しぶり、ヴァンパイアロードさん。元気にしてたかしら?」
そう言うとヴァンパイアロードは笑顔で答える
ロード「全然変わりないわよ!ていうか、ユキノウエから来たんでしょ?何か用事あるの?」
ルシファーは本題へと移ろうとした
ルシファー「実はね、支援会社からの通達で悪魔協会総本山の支援をより強くするって話なの。
天使協会も当然なんだけど、悪魔協会は色々と大変なところだから…そういう言い伝えをしたのよ」
そう言われるとロードは嬉しいことだったがちょっとだけ疑問もあった
ロード「あら、ありがとう。そんなことなら電話で言ってくれればいいのに?」
ルシファー「そうしたかったんだけどね。でもこれユキノウエの会社からの支援らしいの
ユキノウエの悪魔協会ってあまりないから、もっと支援を広めようって話で総本山もそうすることにしたのよ」
ロード「へえ…わかったわ。いつも支援してくれてありがとう。るしあちゃんたちのおかげよ」
ルシファー「いいのよ。ところでアークデーモンさん今日はいないのね?」
ルシファーが言うとヴァンパイアロードは答える
ロード「アークちゃん今日ね、他の悪魔協会からのヘルプで出張しててね。朝からいなかったのよ」
ルシファー「そうだったの…そんな時もあるわね」
ロード「そうね…とりあえずこの話はアークちゃん帰ってきたら報告するわ」
ルシファー「そうしてね!じゃ、私はこれで!」
ルシファーは言うとヴァンパイアロードはもう?という顔になった
ロード「行っちゃうの?早いわね」
ルシファー「他の用事があるからね…アークデーモンさんによろしく伝えといて!」
ロード「わかったわ。今日来てくれてありがとう!」
悪魔協会総本山を離れて次はアマリリスにある支援会社へと向かった。ビスカスシティ大通りにある会社なのでそこまで迷う必要は無かった
支援会社へと向かい、上司と話をする。ある程度話をしたらルシファーは会社から出た
ルシファー「ふー…どうしてあの人悪魔なのにガチガチに頭が硬そうな人なのかしら…」
その上司は悪魔なのだが話す内容が色々とあってあまり冗談が言えないような雰囲気だった
そもそもそういう人は多いが今回ばかりはルシファーはちょっと嫌な気分である
ルシファー「…まあいいわ。次はお待ちかねのアザトースに会いに行きましょう!」
実はルシファー、悪魔協会より会社より1番楽しみにしてたアザトースに会いに行こうとしてた
電車乗り場へと向かう。ビスカスシティは電車が通ってないためまたバスで近場の駅まで行くことになった
なんで首都なのに電車通ってないんだというツッコミもあるが、土地柄しかたないことだろうと思うしかなかった
ルシファーは駅へ向かい、電車に乗る。アザトースの家は1番北にある村、コスモス村にいる
この前アザトースが悪魔協会総本山に来たときは総本山の手配で車に乗り、長い時間をかけて向かった
実際アザトースは旧魔王と邪神という肩書はあるが、よく知ってるのは総本山のスタッフぐらいだ
そんなこと思いながらルシファーはまた長い時間電車に揺られながら向かうことになる
アマリリスの鉄道は基本的に急行列車が無い。いわゆる各駅停車のみだ。急いでる人には難しい
1時間?経過しようやくほぼ終点のコスモス村駅へと辿り着く。ここまで来るともう田舎である
ルシファー「着いたー!さあ、アザトースの家に行きましょう!」
さっき嫌な気分になってたのはもう忘れて友人のアザトースに会うことだけを楽しみにしていた
コスモス村駅に着くと、もうそこは田舎そのものでありアスファルト舗装がほとんどない場所であった
ルシファー「あ…アザトースに何か土産を用意しておけばよかった。まあいいや仲がいいし大丈夫でしょ」
アザトースは一応魔王なので何か貢物でも…と思ったがすでに手ぶら当然なので言われたら謝ろうとしてた
アザトースの家は駅から外れた場所にいる。場所も当然わかっている。そこまで歩く
道から外れたところを歩くと平日なのか元々なのかわからないが人が少なくなってる
そして歩くとようやくアザトースの家に着いた。一軒家で、1階建ての家であった
標識にもちゃんとアザトースの名前があった。ルシファーは確認すると玄関へと向かう
インターホンがあったため押す。ピンポーン…
しかし返事が無い。もう一回押す。だが出ない。もしかすると外出中だろうか
ルシファー「あら…今日は仕事かしら…」
そう言えばアザトースは近くの悪魔協会の相談役をしてたんだった。そこにいるのだろうか?
そんなことを考えてたら後ろから声があった
「うん?そこにいるのは誰だ?」
ルシファーはその声に気づき、振り向く。そしたら見知った顔だった
ルシファー「アザトース!」
彼女がそう言うとアザトースは無表情ながらも友人だとわかり反応する
アザトース「なんだルシファーではないか。どうしたこんな遠い場所まで?」
ルシファー「今日はこの国まで出張してて、ある程度仕事終わったらアザトースに会いに行こうとしてここまで来たのよ」
そこまで言うとアザトースはようやく笑顔になる
アザトース「我を会いに来てくれたのか?ありがとう。今ちょうど仕事を終えて買い物に行ってたんだ」
ルシファー「そうだったの。元気そうでうれしいわ!」
アザトース「我はちっとも風邪なぞひかんぞ。今玄関のドアを開けてやろう」
アザトースは玄関のドアを開けて中に入る。室内はとても綺麗である
いつも掃除してるのかわからないが、魔王だからと言って汚い感じでは無かった。そこもしっかりしてる。さすが魔王で邪神
2人はリビングに居た。アザトースはちょうど買い物から帰ったときであり、袋をリビングに置く
アザトース「ルシファー。何も無いが、ゆっくりしてくれ」
ルシファー「うん!ごめんね何も貢物無くて」
彼女が言うとアザトースはなんとも言えない顔になった
アザトース「ルシファー…。我はもうただの邪神なのだからその貢物っていう言葉はやめてくれないか。生贄が必要じゃないぞ」
そもそも今のアザトースはほとんど無害である。黒いオーラで敵を死なせることはできるが、基本大丈夫である
ルシファー「ごめんね。でも何か買えばよかったわ」
アザトース「…そうだな。近くの酒屋にルシファーが好きそうな酒があるはずだ。そこに行ってみるか?」
アザトースがそう言うとルシファーは嬉しそうに反応する
ルシファー「え!?行きたい行きたい!酒飲みたーい!」
ルシファーとアザトースは近場の酒屋に来ていた。店の規模は小さいものの、アマリリス特有の酒が揃っており、ルシファーは喜んだ
ルシファー「うふふ…どれも美味しそうな酒だらけね…よだれ出そうだわ…」
アザトース「よだれをふけルシファー。なんでもいいぞ」
ルシファーは早速店内を見る。普通にある酒から特徴的な酒もあった。よりどりみどりだ。どれも美味しそうである
ルシファー「あ!このバナナ酒って何?甘くて美味しそうだわ!…あ、この野菜ジュースみたいな酒も気になるわね…。
この国で採れた麦を使用したビール…。へえ、ワインもあるじゃない。絶対美味しいものだわ!」
とりあえず気になる味を求めてルシファーはかごに入れる。その勢いに思わずアザトースは言う
アザトース「どこまで酒を買うつもりだルシファー」
ルシファー「えー!だってせっかくここまで来たんだから美味しい酒全部飲みたいわよ!」
アザトース「全く。酒豪だからってそこまで買う人は初めてだぞ」
果たして何本の酒を買っただろうか。ルシファーはご満悦な顔で酒屋から出た
ルシファー「今日の晩酌すごいあって嬉しいわ~」
アザトース「我には真似できん買い方だな…」
そんなルシファーに少し呆れつつ、自宅へと戻るのであった
夜…アザトースが食事を作り、2人は仲良く談笑していた
アザトースが食事を作ってるときにルシファーはすでに酒の瓶の蓋を開け、グビグビ飲んでいた
アザトースは酒が飲めないため、冷蔵庫に用意してたお茶で食事した
ルシファーが酒を飲んでる最中、アザトースは言う
アザトース「仕事のほうはどうだ?」
そう言うとルシファーは一杯酒を飲み、答える
ルシファー「全然大丈夫よ。今日は悪魔協会と支援会社へ訪問したけど、アザトースに会えたならもうそれで十分だわ!」
またルシファーは酒を飲む
アザトース「そうか。我もあまり仕事で手詰まったことはない。本当に平和な世の中になったな」
平和…そう感じるとルシファーは一旦飲む手を止める
ルシファー「私たちが生きている時代って、本当に大変だったのはダークロード戦争。そしてアザトースがいた天魔戦争ぐらいかしらね」
アザトース「だな。だが今はそんなことはない。総本山にいるアークデーモン殿がよく切り盛りしてくれてるぞ」
ルシファー「そうね。天使協会総本山のミカエルも元気にしてるわ。相変わらず適当な感じは変わらないけどさ」
ルシファーは一つの瓶を飲み干すとまた新しい瓶の蓋を開け、また飲む
アザトース「うん?お主天魔戦争の時はいなかったじゃないか」
ルシファー「あ、いや。ただ話として本で読んだ程度よ」
アザトースは思ったが酔ってるのか…?と
ルシファー「ほんと、優しい人がこうやってこの世界を作り上げたんだから、その喜びを受け止めないといけないわよね
アークデーモン…ミカエル…どっちも凄い人で私には足元も及ばないわ…」
アザトース「そのとおりだな。ルシファーはミカエルの支援してくれ。我はアークデーモン殿の支援をするぞ」
それを聞くとルシファーはまた一気に酒を飲んだ。どれだけ飲めば気が済むのだろうか
ルシファー「おっけーおっけー大丈夫よ~!はぁ~今日は移動したから疲れた~。アザトースの胸に飛び込みたいわ~」
そう言うとアザトースは「??」という顔になる
アザトース「ルシファー…飲みすぎだ…そろそろ休め」
ルシファー「そうね~…久しぶりに友人に会ったからちょっとペースあげちゃった。あ~ねむ…」
ルシファーはねむねむモードになってる。そろそろ彼女用にベッドを敷かないと駄目らしい
アザトース「わかった。我の部屋で布団を敷いてやる」
アザトースは自分の部屋に行き布団を用意する。あらかた終わってリビングに行くと…
アザトース「ルシファー。布団を用意したぞ。…ルシファー?」
ルシファーは机にうつ伏せになって寝ていた。どうやら飲みすぎて自然に眠たくなり寝たらしい
アザトース「…全く。世話を焼く堕天使だな。結局5本もの酒を飲んでたのか」
アザトースは静かにルシファーの身体を持ち上げて自室にある布団にルシファーを寝かせた
ハイペースで飲んでたから酔いが回って眠たくなったのだろう。酒豪とは言えいくらなんでも飲みすぎである
アザトース「…我も寝るか」
そう思いつつ、アザトースは自分のベッドに寝ようとした
ベッドに寝ようとするときにすでに寝ているルシファーの顔を見た。綺麗な顔をしている
アザトース「…ルシファー。今日はありがとう。お主に会えて、我も嬉しかったぞ。静かに眠れ」
2人は寝ようとした
アマリリス。夜は涼しいが、また明日も暑くなるだろう
ルシファーとアザトースの絆は、これからも続く
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