第9話冬の国の話

天使協会総本山…

今日もいつもどおりの日常を送っていた

代表室にミカエルとガブリエルがいた。ミカエルは机に座り、書類処理を。ガブリエルはそのサポートと言った感じ

ミカエルが書類をある程度終わらせるとつぶやく

ミカエル「ふー、この書類っていうのめんどくさいわねえ。ガブリエル、少しかいてもらえないかしら」

そう言うとガブリエルは否定するような言葉を言う

ガブリエル「いえ、ミカエル様。その書類はミカエル様でないと駄目なので…私では難しいです」

ミカエル「そうよねえ~。私じゃなきゃいけない書類だものね」

ミカエルがそう言うとふと、書類をかくことをやめてガブリエルに言う

ミカエル「ねえ、ガブリエル。ちょっと話すことがあるんだけど」

ガブリエル「はい。なんでしょう」

ミカエル「あなた、大天使の血ってわかるかしら?」

そう言うとガブリエルはどこかで知ったのかわかるように発言する

ガブリエル「知ってますよ。私だって大天使の一人ですし、血はあります」

ミカエル「そうなんだけどね。前にラファエルがいた時、ちょっとした騒動あったじゃない?」

ガブリエル「ええ、わかります。ラファエルが血を出して、一部ヒューマンがその血を舐めようとしたんですよね」

細かい話はこうだ。ラファエルが不意の事故、というか血出してしまったことがある

そしたらその血を求めて信者がラファエルの血を舐めようとして一斉に群がったことがあった

スタッフが止めようとして大騒ぎになったことがある。しまいには警察が来るほどなかなか止められなかった

その日以来、ラファエルは気をつけて血を出さないようにした。もちろん、ミカエルもガブリエルも注意するようになった

ミカエル「大天使の血って、ちょっとでも摂取すると祝福の術ができるようになったり大天使と同じ種族になってり、色々よ」

そう言うとミカエルは自分の手を見ていた

ガブリエル「そうですねえ…この場所に通ってるヒューマンがそんなことしだすのはびっくりですよね」

ミカエル「どうでもいいけど悪魔の血は不味いらしいんだけどね」

そう言うと、ぴしっとした顔でガブリエルに言う

ミカエル「とにかく、ガブリエル。あなたも間違っても血を出すようなことをしないでね」

ガブリエル「かしこまりました。注意します!」

そう言うと引き続き仕事をした

ミカエル(まさかアルエルは恋人に血をあげてないでしょうね…いや、そこは大丈夫かしらね…)

ユキノウエ…クリスタルウィンター大学付近…

今日は雪が降っていてかなり寒い日であった。吹雪ではないためある程度過ごしやすいが、それでも寒いことには変わりない

今日も冬美は大学へ向かっていた。かなりの厚着をしないと寒くなるぐらいには今日は寒い

降り積もった雪を踏みながら歩いている。こんな日はさっさと大学へ行き暖まりたいが、雪が邪魔をしてなかなか行けない

冬美は人間なのでこの寒さに耐えながら歩いていた

冬美「うー!寒いわね!全く。この国ってどうして確実に雪が降って積もるのかしら!」

そんな愚痴を言いながら進む。ふと、思ったことを言う

冬美「…今日はアルエルいないわね?早く大学へ来たのかしら…」

前のように突然抱きつかれることもなく、いつの間にか大学へ着いた

大学へ着くと、冬美は講義室へと向かう。しかし、周りの様子が変だ。冬美をチラチラ見る人が多い

特に見る人は天使だらけだ。学生の天使が冬美に向けて何かヒソヒソと話してることが多かった

冬美「…?なんで私を見てるのかしら」

しかし、意味がわからないため冬美は無視して進んだ


昼…今日も食堂にはにぎやかで学生が多かった

冬美はとりあえずいつもどおりに椅子に座る。そして友人を待っていた

やはり、どうも怪しい。やけに視線が冬美のほうへ向けられている。特に、天使には

冬美「私何かやったかしら。天使の学生に見られている…」

そう思うと、一人の天使が冬美に近寄った

天使「あのー、すいません」

冬美「…?何かしら?」

その学生が冬美に話しかけるとこう言う

天使「あなた、天使ですか?私たちが見る限りでは、ただの天使ではないようなオーラが漂ってます」

冬美「『ただの天使ではないオーラ』??」

そう言うと、天使は更に言う

天使「はい。ちょっと、手をかざしてもらえませんか?」

冬美「う、うん」

冬美は相手の手に手をかざした。すると…

なんと、冬美の手から光が出た。冬美はびっくりしている。これは一体なんなのか

冬美「…!?」

冬美がびっくりしてる間にその天使は言う

天使「やっぱり!あなたは天使なんですね!この光は祝福の光…。大天使、でしょうか?」

冬美は更に仰天する。自分がこんなことができるようになったなんて…。意味がわからない。一体いつの間に?

冬美「いや、私はただの人間で…こんなことできるはすないのに…!」

そこまで言うとふと、前にアルエルから術の話を思い出した

「…実はね、もっと簡単な方法で術を覚えることができるのよ」

「え?それって何?」

「それはね…」

もしかして…!?

ここまで思い出したらもはやアルエルに聞くしかない。アルエルは今どこにいるか…!

冬美は座ってる椅子から立ち、さっきまで話してた天使に言う

冬美「ごめん!ちょっと用事できたわ!それじゃ!」

冬美はそう言うと駆け足で食堂を出ようとしていた

天使「あ!ちょっと!」

そんなことを言っても冬美はさっさと行った

食堂から出ようするとき、ちょうど友人の3人が来ていた

ギン子「あら、冬美…」

冬美「ごめん!」

3人を無視して、冬美は食堂を出た

コーク「冬美ちゃんやたらと急いでたね?」

ミサゲ「どうしたんだ冬美?」

コークとミサゲはのほほんと冬美を見ていたが、ギン子は何かあったと感じていた

ギン子はハーフアニマルなのでこういう緊急事態はある程度感じる力を持っている

ギン子「…確実に何かあったわね。ミサゲ、コーク、追いかけるわよ!」


冬美は構内を疾走していた。アルエルはどこか。それを求めるかのように走っていた

階段を上り、ちょうど天使がいた。冬美は尋ねる

冬美「ちょっと、そこのあなた!」

そう言うと天使は冬美に向ける

天使「はい。なんですか?」

その言葉を言った後、早口で冬美は言う

冬美「アルエルいなかった!?」

天使は答える

天使「アルエルちゃんなら上に行きましたね。こんなに雪が降ってるのに、何してるんでしょうか?」

上…そう思うと屋上にいると感じた。気の所為か頭の回転も早かった

冬美「わかった!ありがとう!」

さっさと冬美は上へと上がっていった

冬美は屋上へと辿り着く。屋上のドアを開けた。人がいないか確認もする

そしたらやはり居た。アルエルらしい天使が雪が降っているのに外を眺めるように見ていた

雪の降って、その身体は少々積もっている。そんなことを感じないようにアルエルは微動だにしなかった

冬美はその姿を見たら一安心するどころかアルエルへと近寄っていった

今の時間帯は雪が降り、寒かったがそんなこと関係無しである

アルエルの側へと着いた。そして、彼女が口を開いた

アルエル「…冬美…君に謝りたいことがあるの」

冬美「…わかってるわ。なぜか天使にジロジロ見られていること。何か、私にしたんでしょ?」

冬美が嫌味はなく言うと、アルエルはようやく冬美の顔を見て言う

アルエル「…私ね。君に血を輸血したの。前に一緒に寝たじゃない?君が寝てるときに、私が血を出して君の口に血を垂らしたの。

大天使の血ってね、輸血するだけでオーラが巡って大天使と同じ力になれるの。この前話したとおり、君は大天使の一人になったのよ。

私…今思うととんでもないことしたなって…いくらなんでも好きな君に…衝動的になっちゃった…」

冬美「…アルエル…」

冬美がそう言うと、アルエルはいつの間にか涙を流していた。雪は更に降り続けていた

アルエル「ごめん…冬美…私、大天使の娘失格だわ…!」

アルエルは泣いている。少しの間だけ2人の会話が途切れる。そんなアルエルに冬美は静かに抱きしめていた

冬美「…アルエル…大丈夫よ」

抱きしめられたことにアルエルは驚いたが冬美は言う

冬美「あなたのやったこと、私は平気よ。最初は驚いたけどあなたのやったことなら、大丈夫だから。

だから…涙を拭いてアルエル。それで嫌いになったりしないわ。あなたのことが好きよ」

冬美はそう言うとアルエルの口にキスをした。短いキスだったが、アルエルはどこか安らかな気分になった

アルエル「冬美…ありがとう…優しい君を好きになってよかったわ…」

アルエルは涙を拭き、笑顔になった。まだ雪は降っているが、あまり関係はなかった

冬美「いつまでも…ずっと…あなたといたいわ」

もうこれはプロポーズに近いセリフであった。もちろん、アルエルもそれに答える

アルエル「愛してる…冬美…」

もう一回キスをしようとしたら後ろで声が出た

ギン子「やっぱり…あなたたち付き合ってたのね」

冬美とアルエルははっと気づき、その声に顔を向ける。ギン子、ミサゲ、コークがいた

冬美「あっ、ギン子たち!?」

アルエル「はっ!?いや、これはですね…!」

どうにかして説明しようと思ったらすでにバレバレなカップルになっている

コーク「冬美ちゃん、アルエルちゃん、もう隠さなくていいんじゃないかな?」

ミサゲ「おう、2人が付き合ってんのは私も予感はしてたぞ。ほんとだぞ」

ギン子「私は前から気づいてたけど、こうして見るとお似合いじゃない?」

3人は2人の関係を否定せず、むしろ肯定的になってた

ギン子「まあ、否定はしないし強いて言うならサークル内で2人の世界にならなきゃそれでいいわ。あなたたちを応援するわよ」

ギン子が言うとそれに続きコークとミサゲが言う

コーク「お幸せにね!冬美ちゃんアルエルちゃん!」

ミサゲ「全く。こんなカップル見たことねえや。しかたないな!」

そう言われると冬美とアルエルが抱きつくのを止めてアルエルはお辞儀をしながら言う

アルエル「ありがとうございます!どうか見守って…ください!」

アルエルが言うとコークが寒そうに発言する

コーク「ね、ねえそろそろ室内に入ろう…だんだん寒くなってきたし風邪ひきそうだよ…」

冬美「そ、そうね…」

冬美とアルエルは3人のもとへと行く

ミサゲ「しかしなんで私が好きにならなかったんだ冬美~?私ほど美人はいないぞ?」

ミサゲが冗談っぽく言うと冬美は答える

冬美「アンタ、美人じゃなくてブサイクじゃない。ドワーフだし」

ミサゲ「な…!?私はブサイクじゃねー!」

ギン子「ミサゲ、諦めなさい。冬美とアルエルというカップルに入りこむことはできないわよ」

ミサゲ「く、くそー!」

5人は仲良く屋上を後にした


また天使協会総本山…ミカエルはまだまだ書類の処理をしていた

相変わらず多いがミカエルでなきゃ整理はできないため一人でやっている。ガブリエルは別の場所にいる

ちょっと休憩してからまたやろう。そう思い今はのんびりコーヒーを飲んでゆっくりしていた

そうしてたら携帯電話から着信が鳴った。誰だろうと思って携帯電話を見ると…

ミカエル「…ルシファーじゃない」

親友というか友達というかそんな微妙なラインの友の着信であった。無視はできないため通話する

ミカエル「もしもしルシファー?」

ルシファー「ミカエルやっほー。今日も元気かしら?」

ミカエル「あのね。今私が書類処理にめんどくさってたのにこんな時に通話しないでくれる?」

ルシファー「あらあら。書類とか大変ねー」

ミカエル「全く。で、なんのよう?」

ルシファー「実は私、これからアマリリスに向かうのよ~。ちょっと出張するの!」

ちょっと?アマリリスはユキノウエとは正反対の国なのにちょっととは言いがたいが…

ミカエル「そんな遠くの国に行くの?何をしに?」

ルシファー「悪魔協会の視察にね~。あとついでにアザトースの顔も見ようかと思ってね!」

ミカエル「出た…アザトース…。あの人の話、全然知らないけどあなたと彼女って仲が良いのよね?」

ちなみにミカエルはアザトースの存在を知っている

ルシファー「そうよ~。とても良いお友達なの!喋ってみると割と面白いわよアザトース」

ミカエル「ふーん。邪神だしアマリリス以外には行かなそうな感じするわね」

ルシファー「アマリリスが好きだから別の国には行こうとしないだけよ!」

そんなものなのだろうか。むしろ堕天使なのにあっちこっちの国に行くルシファーのほうが変わってるような…

ミカエル「わかったわ。気をつけて行きなさい。アマリリス暑い国だから熱中症にはならないでね」

ルシファー「今の季節なら大丈夫よ~。んじゃあ、行ってくるわね~」

通話が終わる。たかだか出張するために通話してくるルシファーのなんと丁寧なところ…

ミカエルが通話終了のボタンを押すと、ルシファーの顔を思い浮かべる

ミカエル「アマリリスね…あそこは暑い国だから私たち天使じゃあ暑すぎて下手に行動できない場所だわ」

そう言うとちらっと窓を見る。今日は雪が降ってるため一面が白い世界になっている

ミカエル「寒いからこそ、いいのよね。ところでヒダンゲにいるラファエルは元気かしら」

まだ書類はあるがとりあえずラファエルにパソコンを通じて連絡をとろうとしていた


ユキノウエは大雪ですべての土地に雪が積もっていた

だが冬美とアルエルの仲は更に深まっていた


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