第8話秋の国の話

ゲッカシティ中学校…今日はテストの答案を返す日

生徒それぞれが一喜一憂する日だ。しいなも当然テストが返される日をドキドキしてた

しかししいなは遺跡部顧問の社会科担当八代先生の授業は真面目にしてたしテストも頑張ってた

一人一人、テストが返され、しいなの順番になり八代先生は言う

八代先生「しいなちゃん…あなた96点だなんてすごいじゃない?よく頑張ったわね?」

八代先生が言うとしいなは嬉しそうにテストを受け取った

しいな「えへへー。やっぱり顧問ですし、勉強いっぱいしたんですよ」

しいなは笑顔で答えた。八代先生も笑顔になった

八代先生「これなら顧問としても嬉しいわ。これからも勉強に遺跡部の活動、頑張ることね!」

しいな「はーい頑張りまーす!」

しいなは自分の席へ戻った。しかし、しいなは心でこうつぶやいた

しいな「(実は他のテストは平均点ギリギリ上なのは言わなくていいわよね…)」

八代先生の授業だけは真面目にしようと思い社会のテストは真面目に頑張っただけであった

しいなが席にいると同じクラスのマーガレットが近寄る

マーガレット「おいおいしいなお前結構良い点数じゃねえか?」

しいな「ふふーん頑張ったんだよー」

マーガレット「いいよなあ俺なんかとりあえず平均点上だからなあ」

マーガレットがそう言うと少し首をかしげた。あまり良い点数ではなかったみたいだ

しいな「まあ私、部長だしね!顧問の先生の授業はきちんとしないと!」

マーガレット「ふうん。でもしいな、他のテストはどうなんだ?」

マーガレットが言うとしいなは少し慌てるような素振りを見せる

しいな「え?いや、大丈夫よ!普通に良い点数だから!うん!」

マーガレット「そうなのか?まあ、いいか…そろそろ俺自分の席に戻る」

自分の席へ戻った。しいなは危ないと思った。他のテストの点数を追求されたらまずかったなと

しかしとりあえず赤点は一切ないのでこれは親に見せても安心かもしれないなとは思った

でも八代先生のテストだけ高得点なのはちょっと不思議に思われるかもしれないが…

テストが終わればまた遺跡部の活動もできる。そう思うと心がワクワクして仕方ない。しいなは既に次の場所を考えてた

ヒダンゲ…今日は曇りのある空だった

ヒダンゲでもたまには曇りの天気があったりする。だが今回は雨はふらない

りなを含む4人でバス停で遺跡…というか古墳へ行くことになった

ヒダンゲには古墳という存在があり、意外と各地にあったりする

しいな「さ!遺跡と言うか古墳に行くわよ!」

しいなが元気に他3人に行くことを宣言する

りな「先輩方、シャニオンちゃん。今日はよろしくおねがいします」

りなが元気に発言する。この前天使協会に行くときは用事で行けなかったが今回は付いていくことになった

シャニオン「りなちゃんよろしくな~」

マーガレット「なあしいな、古墳ってなんだ?遺跡とは違うのか?」

しいな「古墳はね。昔の人のお墓って言ったらいいのかしら?ひとまとめすると遺跡のひとつだよ」

マーガレット「へー。面白そうだな」

その古墳もゲッカシティ外れにある場所なのでバスで行くことになっている

ちょっと待つと古墳へ行けるバスが来た。4人は意気揚々とバスへ乗り込んだ

古墳まで着くまでしばらく時間がかかりそうだ。4人は喋ってた

しいな「りなちゃんって種族何かしら?」

しいなが言うとりなは答える

りな「私、ハーフエルフなんですよ」

しいなは不思議に思った

しいな「ハーフエルフ…?そんな種族、いたっけ?レニさんみたいなエルフとは違うの?」

しいなが言うとシャニオンが先に発言する

シャニオン「先輩、ハーフエルフは国家にも認定されている種族ですよ」

マーガレット「それ聞いたことあるな。この国、エルフが多いからな」

そう言うとりなは笑顔で言う

りな「はい。父がヒューマン、母がエルフなんです。実はエルフの血は結構強くて子供が生まれるとエルフの特徴が出てくるんですよ

片方がエルフだったらどの種族で子供が生まれてもハーフエルフってなるんです。面白い話ですよ」

りながそう言うとしいなが納得した

しいな「なるほどね~。でも、りなちゃん耳が尖ってはいないような…?」

りな「いえいえ、私、髪の毛多いせいか耳が見えませんけどきちんと尖ってますよ。ほら」

りなは耳あたりにある髪の毛を手でとかす。すると耳が見えて尖った耳になってた

マーガレット「あ。ほんとにエルフの耳じゃねえか」

りな「はい。だからこそのハーフエルフなんです」

しいな「ハーフエルフかあ…私もハーフエルフになりたかったなあ…」

マーガレット「しいな今更そんなこと言うのかよ」

りなは更に言う

りな「実は私、名前が桜田りなって名前なんですけど、本当の名前は桜田・エージェスト・りな。なんですよ」

しいな「え!?何そのかっこいい名前!?」

しいなはその名前にびっくりした

りな「母がそう言う名前なんです。でも、別にエージェストは入れなくていいって話なので桜田りなの名前なんです」

マーガレット「…ということは桜田・E・りなってことか」

りな「はい。そんな感じです」

シャニオン「ウチもそんな名前ほしかったわ~」

マーガレット「シャニオン、そう思うのかよ…」

バスに揺られ、そろそろ目的地に着く

「次はーカワセミ古墳ーカワセミ古墳ですー」

マーガレット「…ん?ここか?」

しいな「そうよ。降りましょう」

その古墳へと着き、4人は降りた

古墳、と言っても古墳だけあるわけではなくちゃんと案内板、公衆トイレ、駐車場があった

しいなたちが大人なら駐車場で車を止めるだろうが、バスで行くほかなかった

バス停よりちょっと向こうに丘になってる場所があった。あれが古墳だろう

マーガレット「…前みたく歩かないといけないわけじゃ無さそうだな」

りな「遺跡に行くまで歩いたことがあったんですか?」

マーガレット「まあ、ちょっとな…だが今回は少しだけ歩く程度でよかったな」

しいな「さ、行きましょう」

4人は古墳へと歩きだす



古墳への道はあまりそう遠くはなかった。バス停から徒歩3~4分であろうか。あっという間に着いた

また、遺跡には追加でなぜか広い広場や公園になってることが多いが、ここは古墳のみだった

しかし、他にも人がいて既に古墳を見たのか帰る人がいた。歩いてる最中、すれ違う

古墳へ着いた。入り口もあった。そして案内板の確認をする

しいな「…かすれてるわけじゃないね。ん!?この古墳、巫女のお墓なんだって!」

マーガレット「あの散々壁画で目にした巫女たちの墓なのか!」

りな「巫女って、あのダークロード戦争で活躍した巫女さんのことですか?私も皆さんのレポートで見ました」

しいな「そうだよ。これはちょっと気合入れて見ないと!」

シャニオン「中身はどうなってるんでしょうかね?早速行きましょう」

4人は古墳の中へと入った

古墳の中は前から一般公開されていて中も明かりが付いていてわかりやすい道になってた

真っ直ぐな道で明るいのでつまずくことは無さそうだ

すぐに最深部へとたどり着く。そこは5つの石の棺がキレイに並べてあった

4人、特にしいなとマーガレットとシャニオンはこれが墓か…という気持ちになった

棺が収められてる部屋はそう窮屈しない広さになっており多人数が来ても大丈夫な部屋だ

しいな「これが…あの巫女たちの棺…」

しいなは壁画で見てきた巫女たちを思い出した。しかし、いざ棺を見るとなにか悲しい気分にもなった

しかしなぜだろう。悲しい気分になってしまうのは。別に親戚でもないのに、悲しいのは

りなが周りを見渡すと案内板を発見する

りな「先輩方、この部屋にも案内板ありますよ」

シャニオン「どれどれ…」

案内板を読むと巫女の名前もかかれていた。あの活躍した巫女たちはいつ亡くなったのは不明らしい

数百年前の話なので無理はない。いわゆる生没年不詳というかかれかたをしてる

りな「えーと…左から順に名前は…トウコ、ミホ、アユミ、サヤカ、アユ。…らしいです」

しいな「りなちゃんありがとう。なるほど…そんな名前だったんだね…」

シャニオン「意外とシンプルな名前してますね」

4人はもう一度棺を見ていた。ふと思ったがあれだけ活躍した巫女なのに死んでしまい亡骸になったら普通の棺だったんだなと

正直もうちょっと豪華な棺でもよかったはずなのに。それに一人一人古墳があってもよかったんじゃ、と

まるでギュウギュウ詰めな棺の入れ方でそれでよかったのか?とも思い始めた。しかし、しいなは思った

しいな「…この巫女さんたち、本当に仲良くて死ぬときはみんな一緒だって思ってたのかしら」

マーガレット「それはあり得る話だな。でもあの活躍した妖怪はいないな」

シャニオン「あれは天界へと行ったから無いんじゃないでしょうか」

マーガレット「そう言えばそうだったな。この巫女たちは結局普通の人間なんだな」

りな「仲良く一緒にお墓に入る…相当な絆と覚悟がないとできない古墳だと思います」

シャニオンはふと、カメラを持った。だが今回ばかりは止めようとは思った

撮影禁止云々よりもあまりにも切なくなってしまい写真を撮ろうという気持ちにはならなかった

シャニオン「どうしましょうか写真…」

しいな「とりあえず案内板だけ…でもためか」

マーガレット「一応巫女たちの名前だけ覚えておけばいいんじゃねえか?」

しいな「そうしましょうかね…」

りな「名前、メモしておきますね」

りなはメモ帳に巫女たちの名前をかいた

しいな「あれだけ私たちや牧さんが巫女のこと思ってたのにこれを見ちゃうと切なさ乱れ打ちになっちゃうわね」

マーガレット「なんだその切なさってやつは。あとなにか棺の中に装飾品とか無いのか?」

マーガレットがそう言うともう一度りなは案内板を確認した

りな「案内板見るとそれはかかれてませんね…」

マーガレット「まさかそのまま棺に遺体入ったわけじゃないよな。あまりにも適当すぎるぞ」

しいな「うーん…どうなんだろ」

しいなは思ったがこれも牧さんに聞けばある程度わかるんじゃないかと

しいな「じゃあ、そろそろ出ようか」

シャニオン「そうですね」

4人は棺の部屋から出ようとした。あまりにも悲しい、棺の部屋から

しいなも出ようとしたら、ふと後ろのほうから気配を感じた。しいなは後ろを振り返る

しいな「…?」

誰もいない。気の所為だろうか?

マーガレット「おーいしいな、行くぞ」

しいな「あ!ごめん!」

しいなはさっさと部屋を出た


誰もいなくなった棺の部屋

しいなが気配を感じてたとおり、何も見えない状態で確かにいた

天界にいる巫女の魂がここにいた。そして、その巫女が独り言を言う

?「たまにはここに行こうと思ったらなんだか感じ良さそうなグループを発見したな」

巫女は天界から降りて魂だけで棺の部屋に来ていた

?「なるほど…ああやって遺跡を巡ってる連中がいるのか?」

巫女はさっき来てた4人を思い返していた

?「面白そうだな。轢沙子では無かったが、私たち巫女をこんなに感情移入してくれるとは、嬉しいぞ」

巫女は静かに気配を消した。天界へと戻っていった


夜…しいなは多分つながるであろう牧の携帯電話へと通話しようとした

固定電話なのであまり長くはしゃべれないが、一応話してみたかったからだ

少し待つと、牧が出た

しいな「牧さん、おつかれ。しいなだよ」

牧「あらしいなちゃん。どうしたの?」

しいな「今日さ、巫女の墓に行ってきたんだよ」

牧「あの古墳に行ってきたのね。どうだった?」

しいな「うん…案内板や棺を見ちゃったらちょっと悲しい気持ちになったわ」

牧「悲しい気持ち…そうね…確かにその気持ちになっちゃうかもね」

しいな「あんな感じの棺の並び方って…ダークロード戦争であれだけ活躍したのに」

牧「わかるわ。そうだ、私自らそこへは行ってないんだけどね、あの棺、何もない状態だったのよ」

しいな「何もない状態?」

牧「そうよ。CTスキャンでね。棺の中身の様子を見たら骨すらどこにあるかわからなかったし装飾品も一切なかったのよ

不思議でしょ?普通なら骨とか遺体のための装飾品があってもいいはずなのに、それが無かったの

風化して一切無くなってたのかもしれないし、それともここは巫女の墓では無いのでは?って話があるの」

しいな「そ、そんな…!偽物だったの?」

牧「偽物ではないと思うわ。でもそこも未だにわかってな状態が多くてね…近々もう一回調べる予定になってるわ」

しいな「そうなんだ…でも名前は初めて知ったわ」

牧「そこも不思議で名前はきちんとかかれてあるのよ。けど骨が無い状態じゃあどんな人かわからないってとこも困りものよ」

しいな「うーん。一応レポートでかいておくけど、全然巫女たちの存在がわからなかったよ」

牧「まあ、仕方ないわ。こっちも巫女の研究、してるからね」

しいな「そう言えば各国の一斉遺跡調査ってあれどうなったの?」

牧「あれね。ほとんど終わったけど、あまり進展がなかったわね。アマリリスではジャングルにまた遺跡あったし

開発っていうのが遅れてるからね。まあそれもなにかわかったら連絡するわね」

しいな「うん。わかった。もうそろそろ電話切るね」

牧「ええ、それじゃあ、連絡いつでもかけてね」

しいな「おやすみなさい牧さん」

牧「おやすみ」

しいなは電話を切った。わかったことがあの古墳は巫女の墓なのかそうでないかということだった

しいな「…もーっと、遺跡を調べないとタメみたいね…」

しいなはこれからも遺跡を調べることを決意した。遠くてもいいから行くことにした


ヒダンゲの夜。曇りのある夜

涼しくて虫の音が高い、そんな夜だった



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