外伝3話

「ねーねー」

「なにー?」

「おおきくなったら、なにになりたい?」

「もちろん、パパみたいなでっかいあくまになることだよ」

「アタシもいっしょー!おとうさんのようなひとになりたいー!」

「わたしとおなじだね!はやくおおきくならないとー」

「アタシたち、ずっとともだちでいようね!」

「うん!それでおおきくなろー!」


アーク「…ん?夢を見てたのか」

アークデーモンはふと目を開ける。昔懐かしい夢を見ていた。あれは…まだ子供だったころか

しかしアークデーモンは思う。椅子で寝てしまうなど少し疲れているのか?

だが、そんなことはないはず。昨日もしっかり寝た。最近暖かいからぼんやりしてたのだろう

仮眠をとるのも時間としてはそんな気分でもない

ここはアークデーモンの個室。そして代表室。少しアロマが香る室内だ

アーク「さて、見回りするか」

アークデーモンは腰を上げる。さっきの眠たさはないようだ。室内を出て、様子を見る

最初の懺悔人がいる場所へと向かった。ここでは相変わらず懺悔人が懺悔してる

ここに来て懺悔をしても基本刑務所行きなのでその後に犯罪を起こさないようにするだけだ

そんな様子を見ていたら部下の不死がアークデーモンに話しかける

不死「アークデーモン様」

アーク「なんだ」

不死「今日は懺悔人が4人です。これからまた増える様子です」

アーク「そうか。まあまあの数だな」

不死「警察とも提携してますが、今の季節は凶悪犯罪はないようですね」

アーク「それでも油断するな。いつどこで起きるかわからんからな」

不死「ははっ。おっしゃるとおりでございます」

アーク「それとお前もそうだがほどほどに休めよ。変わりはいるからな」

不死「有難き幸せ!では、失礼します」

不死はその場を去った

アークデーモンは次に談話室へと向かった。その間の廊下でも部下たちが顔を見るとお辞儀をしてた

それぐらい代表というのはかなり上の存在である。ましてや悪魔のトップだからだ

当然、ヴァンパイアロードも不死のトップなので不死絡みの直近の部下もいたりする。さっきの不死もそう

談話室へ入る。そこには休憩中の亡霊たちがいた。入ると亡霊たちがすぐに立ち上がり、お辞儀する

この亡霊たちはアークデーモン直近の部下だ

亡霊「アークデーモン様!いかがいたしました?」

アーク「ただの見回りだ。何か食べてたのか?」

そう言うと亡霊がその食べ物を見せる

亡霊「はい。近くのコンビニの食品ですよ。最近のコンビニは美味しいものばかりで我々亡霊も美味しくいただけるんですよ」

アーク「ほう。コンビニなぞ一切行かないからわからんな」

亡霊「ひとつどうです?美味しいですよ」

アーク「別に今はお腹はすいてない。お前たちが買ってきたのだろう。お前たちが食べるといい」

亡霊「はっ!この食事が終わったらすぐに仕事につきます」

アーク「ああ」

特に変わったことはなかったためアークデーモンはすぐに談話室を出た

アークデーモンが外に出るとふと思い出した

アーク「孤児室…そう言えば子供は元気なのか?」

アークデーモンがその場所へ向かう

孤児の引き取りも悪魔協会の仕事のひとつだ。もちろんアマリリスには孤児院はあるが、悪魔協会もあることはある

孤児室に着き、ドアを開ける。そこには元気な子供たちが遊んでいた

一人、子供がアークデーモンを来たのを反応して近寄った

子供「わー!アークデーモン様だ!」

そう言うと遊んでた子供たちがアークデーモンに近寄る。20人近くだろうか

アーク「お前たち、元気で何よりだ。…おや、この室内の主は?」

子供「ヴァンパイアお姉ちゃん今なんか飲んでるー!」

子供がそう言うと慌ててヴァンパイアが来た

ヴァンパイア「ご、ごめんなさいアークデーモン様!すぐに気づかなかった私をお許しください!」

ちなみにこのヴァンパイア、女性であり子供の世話を任された。彼女もヴァンパイアロードの直近の部下だ

直近の部下。と言ってもヴァンパイアロードのみ命令に従うのではなくきちんとアークデーモンでも普通に命令に従う

あまり部下としての壁はない。アークデーモン直近でもヴァンパイアロード直近でも部下は部下である

アーク「大丈夫だ。何か飲んでたのか」

ヴァンパイア「ちょっと休憩してました。でも、急に来て何かありましたか?」

アーク「ただの見回りだ。あと子供たちは元気だろうかと思って来ただけだ」

ヴァンパイア「そうですか。はい、子供は全員元気です。ささ、みんな遊んでていいよ!」

子供「はーい!」

子供たちがまた散り散りになって遊んだ

アーク「誰か風邪になったとか怪我したとかないな?」

ヴァンパイア「はい!一切ございません!」

アーク「お前の手腕はたしかだな。今後も気をつけて世話をしろ」

ヴァンパイア「ありがとうございます!生命をかけてお守りします!」

アークデーモンもヴァンパイアは遊んでいる子供たちを見ていた

アーク「そう言えば孤児を引き取る家族はいるか?」

ヴァンパイア「そうですね…昨日でしたか。一人引き取りたいという家族が現れました」

アーク「ほう。種族はどうなってる」

ヴァンパイア「悪魔家族でした。悪魔の家庭が引き取りたいというのが多いですね」

アーク「それならいい。一人、元気に旅立つとは嬉しい報告だ」

ヴァンパイア「はい。ある程度手続きが終わりました。お迎えを待つのみです」

アーク「わかった。引き続きお前が管理をしろ。まあヴァンパイアロードも同じことを言うだろうが」

ヴァンパイア「ははーアークデーモン様」

アークデーモンが孤児室を出る。ドアの後ろでヴァンパイアが「あー!引っ張らないでー!」と言ってたが無視した

次はどこに…そうだ庭園の畑を見に行こう。毎日欠かさず行ってるが相手は自然なのでいつ何か起こるかわからない

畑へと行った。そこは夏野菜を中心に育てている。アークデーモンの部下が管理をしていた

アークデーモンの姿を見るとすぐにかけつけた

悪魔「アークデーモン様。野菜に何も異常はありません」

アーク「そうか、ご苦労だ」

悪魔「そう言えばビニールハウスで育てているアスパラガスが結構な頻度で収穫できました。どうしますか?」

実はビニールハウスで春野菜も育てている

アーク「出荷して売っておけ。ある程度金になればいいだろう。お前たちは食べないだろうしな」

悪魔「いや私は…わかりました。では出荷しておきます。引き続き作業します」

悪魔が畑へと戻った。ある程度優秀だ。ちょくちょく来なくても大丈夫だろう

そろそろ自分の部屋へ戻ろうと思ったら持っていた携帯電話からメールが届く

アーク「ん?なんのメールだ?」

アークデーモンがその内容を見る。そのメール主はヴァンパイアロードだった

アーク「ちょっとアタシの部屋に来て。だと?そんなこと、直接喋ればいいものの」

アークデーモンはヴァンパイアロードの自室へと向かった

ヴァンパイアロードの自室に入ろうとドアをノックする。しかし、反応が無かったためドアを開けた

アークデーモンが部屋を見る。アークデーモンと同じような大きさの部屋で何よりもバラの香りがする部屋だ

ヴァンパイアロードはバラが好きでいつもバラの香りのする香水を身体につけている

そして当の本人はベッドで座りながら何か本を読んでいた。いや、本というより大きさ的にアルバムだろうか

アークデーモンは何かを察してヴァンパイアロードの側に座った。そしてヴァンパイアロードは口を開いた

ロード「…アークちゃん。懐かしいわね。デスちゃんとかデュラハンくんがいたとき。写真を見てたのよ」

アーク「そんな懐かしさを報告しに私にメールしたのか?」

アークデーモンは無表情でつぶやく

ロード「…時々ね。寂しくなるの。デスちゃんのお墓見て泣いちゃったし、デュラハンくんがシダレカに行っちゃったとき…

不死のトップなのに、こうやって弱いところがあるのはちょっとどうなのかなって」

アーク「…別に気にしなくていいだろうが。お前は立派なトップだ。そして副代表としての存在もある」

ロード「アークちゃん、アタシ…部下の前ではなるべく強気でいたいけど…こういう悲しいときはどうしたらいいかなって…」

ロードがアルバムを閉じる。そしてアークデーモンをじっと見つめる

ロード「アークちゃん…!」

ヴァンパイアロードがアークデーモンにギュッと抱きしめる。バラの香りがふわっとする

アークデーモンはそれを嫌ともせず、ヴァンパイアロードの頭をなでなでした

アーク「そう言えばな。今日夢を見たんだ。ヴァンパイアロードと子供のころの夢を。2人で誓ったよな。ずっと一緒にいるって

だが、お前はまだ若いと思うぞ。そしてふと訪れた寂しい気持ちになったんだな。大丈夫だ。私はずっといるぞ」

ヴァンパイアロードでも、不死のトップでも、悲しい気持ちが急にやってくる。それは人間としての心があるからだ

ロード「アークちゃんの身体暖かい…まるで天使のような暖かさ。だからずっと側にいて正解だったんだなって…

最初は面白そうだったから付いていったけど、今思うの。アークちゃんの側にいるのがアタシの本当の気持ちよ」

これは愛の囁きなのか?いや、そうだろう。アークデーモンでも愛というものはわかっている

アーク「心配するな、ロード。どんなことがあってもお前とは離れないからな」

ロード「アークちゃん…嬉しい…!」

ヴァンパイアロードが更にアークデーモンの身体を抱きしめる。そして2人は顔が近くなった

いつでもキスの状態になりそうだった。そしてヴァンパイアロードは言う

ロード「ねえ…アークちゃん…アタシのこと、好き?」

アーク「ああ。好きだ」

ロード「じゃあ…愛してる?」

アーク「愛してるぞ」

その言葉に嘘は混じってない。本当の愛だった。2人がそう言うといつの間にかキスをしてた。目をつぶり、長いキスだった

キスが終わるとヴァンパイアロードはクスクスしだす

ロード「ふふふ…今度、手をつないでデートしましょう?」

アーク「なんだ?悪魔協会すっぽかして2人でか?」

ロード「たまにはアークちゃんの私服がみたいの。大丈夫よ数時間ぐらいなら」

アーク「そうか。じゃあ、たまには行こう」

ロード「嬉しい…ありがとうアークちゃん」

2人は愛を言いながら夕方を迎えていた

プープー…いきなり電話が鳴った。これは呼び出しの音である

アーク「…ロード、電話が鳴ってるぞ。…ロード?」

ロード「嫌よ。しばらくアークちゃんの暖かさを感じてたいわ」

アーク「…全く、わがままな姫だな」

電話音を無視しながら、2人は抱き合ったままだった


悪魔「おかしいなあ…普段ならすぐに出るはずだけどな…」

ピットフィーンド「2人、出張してるわけじゃないよな」

悪魔「いやいや、今日は2人ともここにいるが…どこかいるのだろうか」

ピットフィーンド「ふーん?だがむやみに2階には上がれないし困ったな」

悪魔「一応どこかにいるか、探してみようか」

ピットフィーンド「そうだな。どこ行ったんだ代表と副代表…」

ピットフィーンドが用事で来てた。が、今2人は愛の空間を作っていてすべてを一切無視していた


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