第7話秋の国の話

ヒダンゲ天使協会…ここはユキノウエ天使協会総本山とは負けない威厳を保つ場所であった

ヒダンゲは天使協会が多い。それゆえか天使も多く、天使協会で働きたいという天使が多い

そしてここは天使協会のお祈りをする場所。代表ラファエルはいつもどおり今日も一日頑張ろうとしてた

お祈りが終わった。ラファエルはステンドガラスのある窓を見上げていた

ラファエル「さて。今日も張り切っていきましょう。神よ、そしてミカエル様、ガブリエル。今日一日守ってください」

そう言うとどこからか慌ただしい声が届いた

?「代表様~!代表様どこですか~!」

ラファエルがその言葉を聞くとその方向に振り向く。慌ただしい天使が来ていた

ラファエル「ニケ?」

ニケ。とりあえずヒダンゲ天使協会副代表である。仕事はきちんとするがいつも慌ただしい性格が難でもある

ニケもユキノウエ出身だがラファエルの優しさに憧れ、そのままこのヒダンゲへと行った

ニケ「あ~!いました代表様!ラファエル様!あのですね!あのー!」

代表様なのかラファエル様なのかはっきりしてほしいところ。ラファエルは冷静にニケに言う

ラファエル「落ち着きなさい。何がありました?」

ニケ「あ、はい!実はですね~。えーと…遺跡研究チーム?がここに来るそうですよ」

ラファエルがその言葉を聞くと軽く微笑んだ

実はこのヒダンゲ天使協会の裏には遺跡がある。それを調査したいとのことで来るそうだ

遺跡と言っても大したことはない。とラファエルは言う

ラファエル「あら…意外と早かったですね。たくさん来ます?それとも少人数?」

ニケ「はい。えー…どうやら一人で来るみたいです」

ラファエル「一人?でも、裏にある遺跡はそこまで大きいわけではありませんが」

ニケ「でも、電話では一人で来るって言ってました!」

ラファエル「そうですか…わかりました。時間は?」

ニケ「えーと…確か午前中のとこかで来るそうです」

ラファエル「なるほど」

午前中のどこかって言われてもどこなんだってツッコミを考えたが早いならちょうどいい

ラファエル「了解しました。ニケ、あなたはいつもどおり仕事をしていなさい」

ニケ「はい!代表様!」

ニケはまた慌ただしく向かった。いちいち走るから体力いるんじゃないかと思うほど

仕事はできる人なんだけどねえとラファエルは思ってた


ヒダンゲの秋。そろそろ紅葉の季節だ。涼しくなったため一気に落葉樹が赤、黄色に色づく

涼しく、気持ちのいい季節。だからこそこの国を愛してやまない種族がいる

そんなゲッカシティ中学校の門。ここでしいなとマーガレットとシャニオンは集合しようとしていた

今日は遺跡ではなくマーガレットの希望でヒダンゲ天使協会へ行こうとしてた

もちろん、マーガレットがラファエルに会いたいからだ。覚えてくれてるかどうか…

ちなみに、天使協会は何もしなければ自由に入っていい場所でもある。そこが悪魔協会とは違うところ

3人は私服のまま、門に居た。しいなは集合時間に5分ほど遅れていた

マーガレット「なんでお前は時間にルーズなんだ」

しいな「でも5分程度なら遅刻じゃないでしょ?」

マーガレット「遅刻は遅刻だろ!集合時間10分前に来たシャニオンを見習えよ!あとだいたい学校でも言えるのか!」

シャニオン「まあまあ先輩…大丈夫ですよこのぐらいの遅刻なら」

マーガレット「シャニオンもある程度この遅刻魔に言わないと駄目だぞ」

しいな「じゃ、行きましょう!」

マーガレット「話を折るな」

しいながさっさと行くものだからマーガレットとシャニオンは慌てて付いていった

ゲッカシティ中心部…ここは道路はきちんとアスファルトで舗装されており石は転がってない

車も当然走る。3人は歩道を歩き、向かっている

しいな「でもふと思ったけど、マーガレットちゃん天使なんだから一回は天使協会行ってるでしょ?」

マーガレット「そうだ。とは言っても俺の家の近くの小さい天使協会しか行ってないぞ」

しいな「ならラファエルさんが代表になったっていうニュースも届くんじゃ?」

マーガレット「そうだなあ。だが他の天使の話を聞いたことあるが代表がどうたらって話を聞くだけで

ラファエルさんって人名が出てこなかったな。だからわからなかったんだよ」

しいな「そっか~。そうだよね。もしラファエルさんって言葉が出たらマーガレットちゃんすぐに行ったもんね」

マーガレット「だな。真っ先に行ってたかもな」

シャニオン「基本、天使協会もそうですけど悪魔協会も代表呼びですからね」

会話をしつつしいなは地図を見ながら天使協会へと向かっている

さすがのしいなも方向音痴ではないため地図を見ながら向かうことは可能だ

しばらく歩くと天使協会っぽい場所が見えてきた。白い建物。間違いなくそれだった

しいな「あれ、天使協会じゃない?」

3人は天使協会前へとたどり着く。果たして何階建てかと思うほどビルに近い建物だった

シャニオン「悪魔協会じゃないですけど、天使協会も威厳のある建物で一言で言うとすごいですね…」

マーガレット「正直総本山のほうがもっとでかいけどな。記憶のある限りでは」

しいな「とりあえず、入りましょう」

3人は門を抜け、扉を開ける

扉を開けると真っ先に目に飛び込んできたのは綺麗な内装であった

しいな「わぁ…!初めて来たけどこんな綺麗なんて…!」

ユキノウエ総本山と同じぐらい、協会としては大規模な場所だった

シャニオン「あれ?誰か喋ってますよ?」

お祈りする場所で誰か喋っていた。一人はラファエルだろう。もう一人は後ろの姿でポニーテールの女性だった

だが、しいなはすぐに誰かというのがわかった

しいな「…牧さん!」

そう言うとしいなは走って2人の元へと向かう

牧はその言葉に反応してしいなのほうを向く。もちろん、ラファエルもしいなに向く

ラファエル「しいなちゃん?ようこそ天使協会へ」

牧「あら!しいなちゃん!こんなとこにどうして?」

しいな「実はね。マーガレットちゃんの希望でここに来たのよ!」

牧「マーガレットちゃんの?」

マーガレットとシャニオンは2人の元にたどり着く。ラファエルはマーガレットの姿を見て驚いた

ラファエル「…もしかしてマーガレット、ちゃん?」

マーガレット「そうだよ俺!マーガレットだよ!ラファエルさん、俺のことわかる?」

彼女がそう言うとラファエルはすぐに笑顔になった

ラファエル「まあ…!以前会ったときよりマーガレットちゃんすっかり大きくなって…!もちろん覚えてますよ」

マーガレット「よかった。俺のこと忘れてたかここに来るまで心配だったんだよ…!」

ラファエル「忘れるわけありません。何せミカエル様、娘様の親族ですからね。よく来てくれました」

牧「え?ラファエルさんとマーガレットちゃん知り合いだったの?」

マーガレットが牧のほうに顔をあわせる

マーガレット「そうだぜ。前に俺が総本山に行ったときに会ったからな。はぁ~よかった」

マーガレットがそう言うと一安心したのか笑顔になってた

しいな「よかったねマーガレットちゃん」

シャニオン「代表様がマーガレット先輩覚えてくれてウチも一安心です」

しいな「じゃあ、会ったとこでそろそろ帰ろうか」

3人は後ろに振り向こうとしたら

牧「あ!待って3人!ちょうどいいタイミングで来たわね!」

3人はもう一度牧の方向に振り向く

しいな「? ちょうどいいタイミング?」

しいなは疑問の顔をした

牧「実はね。ここのヒダンゲ天使協会の裏庭に遺跡があるのよ。そこまで大きい規模じゃないけど、調べる?

私はこの遺跡を調査したいって話でここに来たの。」

ラファエル「そうです。だから遺跡調査の人を呼んだのですよ」

牧がそう言うとしいなは喜ぶ顔をした

しいな「え!?天使協会に遺跡あるの!?これは意外な話…!シャニオンちゃん?」

彼女が言うとシャニオンはカメラを用意した

シャニオン「はい。念の為に持ってますよ」

マーガレット「シャニオン、お前は未来を読めるのか」

シャニオン「たまたまですよ。先輩」

しいな「いいの?」

牧「あなたたちなら別にいいわよ。忘れた?遺跡部の支援をするって言ったじゃない」

ラファエル「どうぞ。ご自由に見学してください」

しいな「ありがとう!ラファエルさんもありがとう!」

3人は喜ぶ。そしてラファエルは呼び出そうとする

ラファエル「とりあえず呼びますかね…ニケ!」

ラファエルが彼女の言葉を言うと天使らしい人物が飛んでやってきた

ニケ「はーい!およびですかー!」

慌ただしくニケが来た

ラファエル「私はこれから仕事をします。あなたは遺跡を案内しなさい」

ニケ「遺跡ですね?はい!かしこまりました!」

ラファエル「紹介しますね。こちらはニケ。副代表です。質問があるならなんなりと言ってくださいね」

ニケ「皆さんよろしくおねがいします!」

4人はニケに連れられ、裏庭へと向かう


裏庭へと廊下を歩く。ニケは言う

ニケ「マーガレットさん。私、あなたのこと知ってますよ」

ニケがそう言うとマーガレットは驚く

マーガレット「え!?だってニケさん俺と会うの初めてじゃ?」

ニケ「いえいえ、あなたの名前は知ってますよ。ちょうどミカエル様とWebカメラで会議してたときにあなたの名前が出まして…

そして、まだマーガレットさんが幼いときの写真も見ました。だから、わかってるんですよ」

しいな「やっぱりマーガレットちゃん天使協会から色々と名が知られてんだねえ」

マーガレット「いやーこれは意外だな。ここへ早く行けばよかったぜ」

牧「よかったわねマーガレットちゃん。安心していつでも来れるわね」

ニケ「これから向かうとこは厳重に鍵を閉めていて普段は立ち寄れない場所で…」

ニケがそう言うと小さいテーブルに足の小指をぶつける

ニケ「いったーい!!あ、いてて…」

シャニオン「だ、大丈夫ですか!?」

ニケ「いてて…大丈夫です」

マーガレットは思ったが意外とおっちょこちょいかもしれないこの副代表…と

裏庭へと着く。ニケが持参してた鍵を開け、遺跡へと入る

ニケ「ここが裏庭の遺跡です」

規模としては中位と言った遺跡だった。ここにも壁画があるのだろうか。4人は早速入る

しいな「失礼しまーす…」

マーガレット「なんだかそう言いたくなるな失礼します…」

シャニオン「ウチもそう言います。失礼します…」

牧「そこまでかしこまることないと思うけど」

4人の目に飛び込んできたのはやはり壁画だった

しかし、その壁画は何か戦ってる風景が目につく。そしてこれは何かの戦争だとわかった

しいな「な、なにこれ…!?今までの壁画と全然違うわ…!」

3人はその絵を見て驚愕するしかなかった。巫女の壁画とは違う、何かの戦争

牧はそれを見て冷静に分析をしていた

牧「ふむふむ…なるほど…こんな壁画だったとはね…」

牧は持参してたノートに文字をかく。しいなは牧に言う

しいな「こんな壁画?牧さん、これなんだかわかるの?」

牧は言われるとしいなに顔を向ける

牧「しいなちゃん。これは天魔戦争よ。まだあなたたちは学校で学ばないかもしれないけど、相当昔にあった戦争…

悪魔たちと天使たちが戦った戦争よ。天使が大陸を水没させて天使が勝ったっていうやつ。その壁画ね

しかしちょっと驚いたわ。ヒダンゲにこんな壁画があるなんて…まだまだ壁画でも色々あるわね」

マーガレット「すげー戦争だな…。巫女たちが活躍した戦争とはまた違うのか」

マーガレットが言っても牧はノートに普通にかいていた

牧「あれは元々しっかり本でかかれてるから多少はわかるんだけどね。でも天魔戦争は相当昔だからある程度しかわからないの

この天魔戦争のこと言うと悪魔と天使は怒るときあるからうかつに言わないようにね。ダークロード戦争は大丈夫よ

けど天魔戦争の壁画って新しいわね…もっと早く来るべきだったわ」

牧はそう言うと更にノートにかいていた

シャニオン「どうしましょう。写真、撮りますかね?」

しいな「うーん…これは…」

牧「大丈夫じゃないかしら?早くに天魔戦争知ればもしかしたら先生に褒められるかもしれないし」

シャニオン「じゃあ、カメラに…と」

シャニオンは写真を撮った

マーガレット「も、もう離れないか?この壁画…今までよりか最高に怖いぜ…」

牧「ノートにバッチリかいたから行きましょう」

牧以外、3人は怖がりながら遺跡を後にした


ニケ「どうでした?天魔戦争の壁画なんですよ」

牧は普通の顔をしてるがしいな除く2人は無表情だった

マーガレット「げっそりした…」

しいな「まだまだ遺跡はこれからも調査しないと駄目ね!」

シャニオン「しいな先輩元気ですね…」

牧「ありがとう。調査してわかったわ」

牧が言うと、ニケは牧に話す

ニケ「基本、巫女の壁画が多いんですがここだけは天魔戦争の壁画です。…あれ、大丈夫ですか?」

しいな「私は大丈夫よ!貴重な壁画を見せてもらってありがとう!」

牧「私からも。ありがとう」

ニケ「よかった!調査の人も、遺跡部?の人もお疲れ様でした!」

ニケが嬉しそうに発言するがマーガレットとシャニオンはあまり嬉しくなかった

マーガレット「もう、こういうのは嫌だな…」

天使協会玄関口。ニケが4人を見送った。ニケはまた足をぶつけるドジをしてたがほぼスルーだった

牧「さて、3人さん。これからどうするの?」

しいな「私は満足だよ!マーガレットちゃんにシャニオンちゃんそろそろ元気だそうよ!」

マーガレット「ま、まあそうだな…。元気出すか」

シャニオン「ウチは衝撃受けましたけど、今は大丈夫です」

牧「ああいうのは一部のみだから心配しなくていいわよ。そろそろお昼時だからどこか食べにいこうか」

しいな「あ!そうしよ!牧さんおすすめのとこで食事したいわ!」

牧「オッケー。ゲッカシティには色々な食事できる場所あるからね。行きましょう」

4人は天使協会を離れ、食事できる場所へと向かった


ヒダンゲの昼どきは心地よい風が吹いていた


ミカエル「ラファエル、元気かしら?」

ラファエルが代表室でWebカメラでミカエルと通信をしてた

ラファエル「はい。とても元気です」

ミカエル「あなたがそう言うなら元気ね。ニケは相変わらずドジしてる?」

ラファエル「ニケは相変わらずです。しかし急にどうしました?」

ミカエル「実はね。ちょっと探してほしい人がいるのよ」

ラファエル「探してほしい、人?」

ミカエル「ええ。人見轢沙子っていう人物を探していてね。前に天界へ行って巫女たちと話してたの

その人、どうも元々天界にいた人物らしくて、記憶喪失になって下界に行ったらしいの

その人見轢沙子って名前、どこかで聞いたことない?」

ラファエル「人見、轢沙子…うーん…一度も聞いたことないですね…」

ミカエル「そう。わかった。じゃあヒダンゲにはいないことは確定かもね」

ラファエル「でも、ミカエル様の要望でしたら、私も探してみますよ」

ミカエル「ほんと?お願いするわね」

ラファエル「はい。代表の申すことならなんなりと」

ミカエル「あなたのそういうとこ、ヒダンゲの代表にしてよかったと思うわ」

ラファエル「いえいえとんでもない。姉よりもまだまだですよ」

ミカエル「そんなことないわ。じゃ、よろしくね」

ラファエル「はい。失礼します!」

ラファエルはWebカメラを閉じた

ラファエル「人見轢沙子…記憶喪失になって下界へ降りた…不思議な人がいるものですね」



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