第6話秋の国の話

ゲッカシティの遺跡事務所…今日もまた、牧は残業をしていた

牧「もー、相変わらず私はなんで残業してるの…他にスタッフいるでしょうが…」

一人ブツブツと愚痴を言いつつも慣れないパソコンで作業している。実際携帯電話で作業したほうがいいんじゃないかと思うほど

牧「…ん?メールが届いたわね?」

そんな時、ひとつのメールが届く。いきなり届いたので牧はなんとなく見た

牧「…あら?シェリルさんじゃない。もしかして遺跡の壁画が届いたのかしら」

メールを見る。どうやら牧の言う通りでシェリルが遺跡へ行き、壁画を撮ってくれたそうだ

その写真もキレイに加工されてあり非常にわかりやすい写真になっていた

牧「わざわざ見やすいようにしてくれたのね。ありがとうシェリルさん」

牧はすぐに返事を送り返した。そしてその写真を保存をした

牧「さて…後は彼女たちに送るだけね」

そう考えたがふと気づく。今、夜だからしいなはパソコンしてないだろうと

牧「今日残業じゃなきゃすぐに送ったのに…!」

ため息をしつつ、また作業をすることになった…

ゲッカシティ中学校…放課後、しいなたちは部室で次の張り紙を作っていた

相変わらず3人での作業だがあまり多くても難しいのでちょうどいい人数である

次に貼るのは「巫女と壁画」というテーマで作っている

しいな「あ、シャニオンちゃん、ここはちょっと太い文字のほうがいいよ」

シャニオン「はい。了解です」

しいな「マーガレットちゃん、ここはわかりやすくここにしたほうがいいよ」

マーガレット「おう、こうだな?」

しいな「あ、それとここの文字は下に線を引いて注目するように…」

マーガレット「しいな!お前口だけで手を動かしてねえじゃねえかよ!さっきから!」

しいな「えー?私だって手を動かしてるわよ?」

そう言うとしいなは両手をわきわきし始めた。まるで胸を揉むかのような動かし方だ

マーガレット「そういう手の動かし方じゃねえ!」

シャニオン「まあまあ先輩…一応しいな先輩は部長ですし…」

マーガレット「いやいや、部長だからっつっても同じことしてないと駄目に決まってるだろ」

でもほとんど完成に近く、結局しいなはあまり手を動かしてなかった

マーガレット「まあいいや…もう完成に近いしな。後は先生に見て確認してもらおう」

シャニオン「ウチが思ったんですけど、やっぱりこの巫女は何かあるんでしょうかね」

しいな「私が思うには、普通の巫女じゃないってことは確か。レニさんとは違う何かだと思うの」

マーガレット「もうちょっと遺跡を調べるか」

しいな「慣れてきたらまだ行ってない遺跡に行きましょう。遠くてもいいから」

マーガレット「でも遠くだと今度は費用がかかるからな。電車を使うか」

コンコン…

誰かが来たようだ。ある程度予想はできていた

しいな「はーい?」

ガチャ…。入ってきたのは八代先生と生徒だった

八代先生「あ、作成はかどってる?見に来たわよ?」

しいな「もうほとんど完成してますよ!」

八代先生「そう。それと、この遺跡部に興味あるって言って一人連れてきたわよ」

生徒「先輩方、お疲れ様です!」

シャニオン「あ!桜田りなちゃん!」

どうやらその一人はシャニオンの同級生であった

マーガレット「シャニオン、知り合いか?」

シャニオン「はい!一緒のクラスの友達ですよ!」

りな「はじめまして先輩!桜田りなと申します!」

丁寧におじぎする。黒髪ロングで礼儀正しい人そうだ

しいな「りなちゃんはじめまして。もしかして部員希望の人かな?」

八代先生「そうなんだけど、他の部活もやってて一応仮って形で希望してるのよ」

シャニオン「仮でもいいですよ!りなちゃん遺跡に興味あるなんて驚きやで!」

りな「先輩とシャニオンちゃん、あの遺跡のレポートみたいなので私、感動しちゃってどんなことしてるのかなって思いました!」

マーガレット「いや、けど俺たちただ遺跡に行ってるだけだがな…」

しいな「私には遺跡調査隊の牧さんというバックがいるからねー!」

マーガレット「それを今言うか」

しいながそう言うとりなはびっくりをしてしまった

りな「え?国をあげての調査隊に知り合いがいるんですか?すごーい!」

八代先生「そのことに関して、私もびっくりしてるのよね」

しいな「だからサポートは安心してね。歓迎しちゃうんだから!」

りな「はい先輩!今後ともよろしくおねがいします!」

シャニオン「ウチ、りなちゃん来てくれるの嬉しいわ~。よろしく~」

シャニオン、ちょっと珍しいタメで言ってる


帰り道…そろそろ秋に近いため虫の音が高く、どこからどこまで虫が鳴いていた

アスファルトで舗装されてない道をりなと同じ、4人は歩いていた

ゲッカシティを抜けると舗装されてない道が多くほとんど土の道が多い

国道でもない限り自然そのものの道だらけである。その中でしいなたちは暮らしている

ちなみにレポート自体は特に指摘もなくそのまま貼り出されることになっていた

りな「先輩たち、今後はどういう活動をするんですか?」

マーガレット「それも一応話してたんだが、近くだけでなく遠くにある遺跡も行くかって話になってるぜ」

りな「わ~遠くの遺跡行ってみたいです!でも活動って学校が無い休日なんですか?」

しいな「そうよ。でもりなちゃんって他の部活もしてるって話だよね?」

りな「そうですよ。でも楽しそうなんで、先輩とシャニオンちゃんと一緒に行きたいです」

シャニオン「行こうやりなちゃん。日が合えば一緒に行こう」

りな「うん!楽しみだな~」

そう言うとアヤメ神社の道へとたどり着く

しいな「あ、三人とも、私こっちの道に行くね!」

マーガレット「今日もか?おう、また明日な」

シャニオン「先輩お疲れ様です。さようなら」

しいな「じゃあね~」

しいなはアヤメ神社へ向かった

りな「あっちの道はアヤメ神社…何かあるんですか?」

マーガレット「いや、アヤメ神社にいる巫女さんに会うんだよ。レニさんって言うんだが、仲がいいんだ」

りな「あのアヤメ神社の巫女さんとも仲がいいんですか!?交友関係広くありません!?」

マーガレット「それがあいつの謎の交友関係の広さなんだよな」

シャニオン「しいな先輩すごいんやで…。だから遺跡部っていうの作ったのも当然や」

りな「すごい人…ますます付いていきたくなりますね」

マーガレット「もうちょっと真面目だったらいいんだがな…」

3人はしいなが見えなくなるまで見送ってた


アヤメ神社…夕方だが相変わらず参拝客がいたりしていた

しいなはアヤメ神社に付くと、あたりを見渡した。レニがいるか確認をしている

しいな「レニさんどこかなー…あ、いた!…あれ?誰かと話してる?」

レニはどうやらまた誰かと話していたようだ。だが、前のタツジみたいな男性ではなく、女性っぽかった

背中に天使の羽があり、身長が高い。なにを着てるのかはわからないが、恐らく天使協会関係かもしれない

しいなは近寄ってみた

?「アヤメ神社は神聖な場所ですね。あなたもとても神聖な巫女さんでとても似合ってます」

レニ「いえいえ、わたくしはただの巫女ですわ。あなたのほうが立派ですわよ」

?「でもユキノウエにいる姉よりかはまだ私はまだまだです。そしてヒダンゲのためにも働かないと駄目です」

レニ「天使協会総本山はすごい神聖な場所と聞きますからね」

しいな「なんの話?レニさん?」

しいなが近寄り言葉を言うと二人がしいなのほうに向いた

レニ「あら、しいなちゃん。こんにちは」

?「参拝客ですか?」

レニ「友達ですわ。このアヤメ神社をひいきにしてるのです」

しいな「こんにちは。あなたは誰?」

そう言うとその天使は言う

?「私はラファエル。ヒダンゲ天使協会の代表です」

しいな「天使協会代表!?あー…いや、失礼しました」

しいな、謎の謝罪

ラファエル「別にかしこまることないですよ。今の私はあくまでもただの参拝客に近いですから」

レニ「今、アヤメ神社に来て天使協会との話をしてたんですわ」

しいな「そうなの?確かに神社と天使協会ってある意味繋がりありそうな感じするけど…」

それを聞き、ラファエルは答える

ラファエル「そうです。古くから神社と天使協会は関係を保ちつつ、助け合うんですよ」

しいな「けどそうだとするならラファエルさん、前から会う機会あったよね?」

ラファエル「実はつい最近、私は代表になったのですよ。以前は双子の姉のガブリエルと代表様のミカエル様と一緒にいたのですが、

急にヒダンゲの天使協会の代表がいなくなってしまい私が天使協会総本山を離れ、ここに来ました。

姉と離れるのはちょっと寂しかったですが、ヒダンゲの自然豊かな場所はとても良いところです。

でも、悪魔協会もちゃんと関係を保っています。天使協会悪魔協会はどちらも無くてはいけませんから」

ラファエルはそう言うと笑顔になった。しいなはちょっと路線をずらした言葉を言う

しいな「じゃあ…遺跡とか、関係あるの?」

ラファエル「遺跡ですか?私は遺跡はどちらかと言うと興味ありますね。ヒダンゲの遺跡は多いと聞きます」

しいな「私、中学校の部活で遺跡を巡ってるの。3人…いや4人?でヒダンゲの遺跡を行ってるんだよ」

ラファエル「まあ!遺跡を巡ってるんですか。しかも中学生で!とても関心しちゃいます」

レニ「わたくしの友人も遺跡に関係してる仕事をしてるのですわ」

ラファエル「なるほど…私も同行したいほど興味あります。今度天使協会に来てみませんか?」

しいな「行きたいな~!その時はよろしくね!」

ラファエル「ええ。一応、私がいる天使協会の場所を教えます。こちらです」

ラファエルが紙を取り出すと、天使協会の地図をしいなに渡した

しいな「あれ?中学校に近いじゃない」

ラファエル「もしかしてゲッカシティ中学校の生徒ですか?それなら話が早いです」

しいな「わかったわ!いつか行くからね!」

ラファエル「はい!…おっと、そろそろ天使協会に戻らないと…失礼します!」

レニ「ええ。またお会いしましょう」

しいな「ラファエルさん、ばいばい」

ラファエル「では、さようなら」

ラファエルはゆっくりと神社を後にした

しいな「すごい…優しさのオーラが溢れた人…ただの天使じゃ無さそう…」

レニ「大天使ですわね。大天使となると雰囲気そのものが違うみたいです」

しいな「天使協会総本山にいたってことはマーガレットちゃんは会ったことあるのかな…」

レニ「ところでしいなちゃん今日も一緒に帰りましょうか?」

しいな「うん!一緒に帰りたいから来たのよ!」

レニ「ふふふ。嬉しいですわ。帰る支度するので一緒に帰りましょう」

レニは笑顔で帰る支度をした


夜…しいなは自宅の電話からマーガレットと話そうとしてた

ラファエルに関して話があるからだ。すぐにマーガレットの自宅に繋がった

最初はマーガレットの親が出て、すぐにマーガレットに変わった

しいな「マーガレットちゃんこんばんは。ごめんね急に」

マーガレット「どうしたしいな?何かあるのか?部活のことか?」

しいな「違うわ。今日ね、アヤメ神社に行ったらレニさんがラファエルさんと話してたの」

マーガレット「ラファエルさん!?確かラファエルさんはユキノウエにいたはずだが」

しいな「聞くとラファエルさん急にヒダンゲ天使協会の代表になったらしいの」

マーガレット「そうだったのか。ラファエルさんいきなりだな」

しいな「マーガレットちゃん前にユキノウエの天使協会総本山に行ったことあるからラファエルさん知ってるかなって」

マーガレット「もちろん会ったことあるぞ。あの人は双子で姉のガブリエルさんは真面目すぎて硬いイメージがあるが、

ラファエルさんは本当に穏やかで優しい人だぞ。どちらかというとミカエルお義母さんよりもラファエルさんが代表っぽかった。

だが、俺が行ったときはラファエルさんいなかったことが多かったな。色々と忙しい人だしな」

しいな「忙しい人…なのね。けどミカエルさんよりもラファエルさんのほうが代表って面白い言い方ね」

マーガレット「実はミカエルお義母さんって結構適当な性格があるからな。まあ、お義母さんでも代表の器があるが」

しいな「今度会ってみる?ゲッカシティ中学校の近くの天使協会にいるらしいよ」

マーガレット「マジか。うーん、俺のこと覚えているだろうか」

しいな「大丈夫じゃない?優しい人なら覚えてるよ」

マーガレット「そうだな。じゃあ今度行ってみるか」

しいな「そうしよう!遺跡に行くついでにいこ!」

マーガレット「ああ!…え、何母さん?…すまんそろそろ切るな」

しいな「うん!また明日ね!」

マーガレット「じゃあな」

しいなは電話を切った。マーガレットはラファエルのことを知ってたらしい

マーガレットもそもそもミカエルとアルエルの親戚なのでガブリエルもそうだがラファエルも会ったことがあるとのこと

しいなは思ったがあの時マーガレットのことを聞いてみたほうがよかった。ちょっとした失敗だ

しいな「じゃあ…行くことにしますか…」

そう言いながら受話器から離れ自分の部屋へ行った


しいながパソコン前に行くとメールが届いていた

しいな「うん?牧さんからだ!…あ、前に言った地獄の壁画が届いたのね!」

そのメールを見るとキレイに加工された写真の数々があった

しいな「わぁ…アマリリスに地獄の壁画があるって本当なんだ…これ…有り難く使わせていただこう」

その写真の数々は感動ものだった。これで次のレポートのネタが決まった

しいな「今…印刷して…いや…もう遅いからやめようか…いや今やらないと…眠たい…でもやらないと…」


しいなは印刷してるうちにいつの間にかパソコン前で寝落ちをしてしまった


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