第6話冬の国の話
~
天使協会…いつもどおりに今日も始まっていた
ミカエル「ガブリエル、あなたの家族から手紙来てるわよ」
ガブリエル「ありがとうございます」
ガブリエルが手紙を受け取ると、その場で読み始めた
ガブリエル「…ラファエルですね。彼女、今ヒダンゲにいますね」
ミカエル「ラファエルはあなたの妹で今はヒダンゲ天使協会の代表になってるわよね」
ガブリエル「はい。私よりかもっと真面目なのでこうやって手紙を出してくれるんですよ」
そう言うとガブリエルは手紙を読み始めた
ガブリエル「ふふ。字もキレイですし丁寧な言葉でかいてくれてますね」
ミカエル「たまには出張してヒダンゲに行く?」
ガブリエル「そうですね…たまには行かないといけませんしね」
ミカエル「行くには大回りして行かないとだめだし時間かかると思うけどね」
ガブリエル「はい。ただ家族のためなので行こうと思えば行きますよ」
ミカエル「まあ、それはある程度余裕できたらにしなさい。一応ネット回線でヒダンゲ天使協会にも繋がれるわ」
ガブリエル「わかりました」
ガブリエルはそのまま手紙をその場でしばらく読んでいた
ミカエル(自分の部屋に行って読めばいいと思うけど…)
相変わらず真面目だな。と思ったミカエルだった。ふと、差出人がない手紙があった
ミカエル「…ん?差出人不明の手紙あるわね?嫌な予感が…」
ミカエルが手紙を見ると…
ミカエル「げーっ!天界からの手紙!!」
~
クリスタルウィンター大学…今日も講義を受けてる学生たちがいる
相変わらずすごい人数の学生なので講義室も広く、教授はマイクを使わないと声が届かない場合がある
今日も4人は次の講義に向かうため歩いていた。もちろん大学内は広いため徒歩でも結構時間がかかる
4人は歩きながら会話をしていた
コーク「そういえばさー。最近良かった事ってない?」
コークが突然言い始めた
冬美「あら?どうしたの?」
コーク「なんかね。ボクの身の回りに幸せな事があってね。お父さん別の国に単身赴任してるんだけど、
お父さんが働きを認められて給料がアップしたって話があったんだ。しかも突然。
でね、ボクは友達の悩みを聞いてあげたら友達からお礼にって焼き肉ごちそうになったんだよ」
ミサゲ「おお良かったじゃねえか」
ギン子「そうそう!私も良い事あったわ。私の種族であるハーフアニマル、他にもいたのよ。しかもここで!
たまたま講義一緒だったんだけど、猫のハーフアニマルだったわ!講義の後、しばらく会話しちゃった!」
冬美「そうなの?」
ミサゲ「あ!そうだ私も良い事あった!部屋を掃除してたら10000Gの大金が出てきたんだ!
どこかで無くしたのか覚えてないが、ちょうど欲しいものあったし嬉しかったな!」
冬美「…」
3人は嬉しそうに話していた。冬美はふと思った
冬美(これってもしかして私が祝福の術と天使のキスをもらったから…かしら…?)
冬美はしらずしらずに周りを幸せにしてたのかと心で驚いてしまった
コーク「冬美ちゃんはなにか幸せな事があった?」
冬美「そうね…今やってるネトゲでガチャしたら高ランクアイテムが一発で手に入ったこと…ね」
ミサゲ「やっぱりそうか!アルエルのおかげかもしれんな!」
冬美「そうじゃない?だって大天使の娘だもの」
だが実際は冬美が祝福の術を受けているから周りが幸せになれてるのだろう
アルエルがどれだけ周りの人を幸せにしてるかわからないが、効果が重なってるのかもしれない
本当の事を伝えたかったが、アルエルに迷惑かけるだろうな。と思いあえて言わなかった
だが、いつか自分ももっと幸せな事が起きるのだろうか。いつまで幸せな効果があるのだろうか
『周囲に幸せが舞いこんでくる…。だから、冬美の友人たちも幸せになれるわ。もちろん、君もね』
アルエルに術をかけられたときの事を思い出した。本当に、アルエルに心から感謝したい
講義が終わりいつもどおりにサークル活動が始まる。当然アルエルもいる
今日は冬美が面白いものを持ってきたらしい
ミサゲ「なんだこりゃ?積み木のようなものだな!」
アルエル「これ、CMで見たことあるような気がしますね」
冬美「そうよ。これをすっと積み木を抜いていく。どんどん重ねるのよ」
コーク「面白そうだね」
ギン子「でもこれ崩壊したら絶対心臓に悪そうなやつね」
冬美「だから、これを崩壊させた人は罰ゲームよ」
冬美はどんと缶ジュースを置いた
アルエル「あのー…これは?」
冬美「アマリリス特産濃厚青汁よ。崩したらこれ飲んでね」
なぜアマリリスで作った缶ジュースがここにあるのかわからないが、とりあえず不味そうである
缶から不穏な雰囲気が漂っていて冬美以外全員、嫌な顔をしていた
ミサゲ「ちょ、ちょっと待て!冬美も参加するよな!」
冬美「やるわよ?もちろん、私が崩壊させたら飲むわ」
ミサゲ「というか冬美は野菜好きだからこういうの大丈夫じゃねえか!」
アルエル「もしかして私もやるのですか?」
冬美「当然よ」
ギン子「これはちょっと飲みたくないわね…気合入れてやらないと…!」
全員引き締まった顔でプレイすることになった
スッ…スッ…順調に積み木を抜いていく
しかしどんどん積み木が不安定になり今でも崩壊しそうな感じになってきた
アルエル「…私の番ですね」
アルエルがそう言うとじっと積み木を見る。抜く積み木を見極めようとしてた
アルエル「…ここです!」
積み木を抜く。そして崩壊しなかった
コーク「すごいなー。そろそろ危ないのに」
ミサゲ「なるほどな!わかったぞ!」
ギン子「え?何が?」
ミサゲが何かわかったような発言をする
ミサゲ「アルエルが抜いた場所の周りは絶対崩壊しない!見極めて抜いたからな!だからここは大丈夫!」
積み木からすっと木を外したら
ガッシャーーーン……。積み木が崩壊した…
ミサゲ「…は?」
コーク「ねえミサゲちゃん。さっきの自信って、なんだったの?」
ミサゲ「…」
無表情でミサゲは崩れた積み木を見ていた
冬美「はい。青汁飲んでね」
ミサゲ「…くそー!飲めばいいんだろ!一気に飲んでやる!」
ミサゲは缶を開け、青汁を一気に飲んだ
ミサゲ「ごく…ごく…!…う、おえええええ!?」
彼女は突然部室から出てしまった
ギン子「あれ…信じられないほど不味いのね…」
アルエル「よかった。私もあんな感じになりそうですし」
しばらくしてミサゲが戻ってきた
冬美「おかえり。美味しかった?」
ミサゲ「…あまり言いたくないがガチで戻してしまった」
ギン子「戻すほどって…」
冬美「けどこれでおしまいじゃないからね。まだあるわよ」
バッグからまた青汁をどんと出した
ギン子「まだあるの!?どんだけ買ってるのよ!」
ミサゲ「そんなに好きならお前飲めよ!」
…
結局3回ぐらいして最初はミサゲが飲み、2回めはギン子が飲みなんとか耐えて3回めは冬美が飲んだ
ちなみに冬美はノーダメージだった。しかも美味しい発言したため全員からドン引きされた
残りの青汁缶は全部冬美が持っていくことにした
ミサゲ「全く…どれだけ不味いのかわかったが冬美は味覚障害じゃねえか?」
ギン子「もう二度と飲みたくないわ。冬美はちょっと変」
冬美「失礼ね。野菜をいつも摂取してるかどうかの問題よ」
コーク「アマリリスはもっと美味しい野菜あるのになんで青汁があるんだろうね」
アルエル「飲まなくて済みました…神に感謝しないと…」
その後3人はそれぞれの道で別れた。冬美とアルエルはそのままバイトがあるため一緒に歩いていた
アルエルも実は冬美の勤務地と一緒のため、同じシフトで入ることになっていた
アルエルは二人きりになったことに喜んでいた。彼女が敬語を使うのは人前で二人きりのときはタメ口調である
アルエル「ようやく君と一緒になれたわね」
冬美「ええ。でも最初驚いたわ。あなたと一緒だったなんて」
アルエル「私も驚いたわ。何気なくシフト表見たら君の名前があったのは。でも冬美が先輩だからよろしくね」
冬美「もちろんよ。でも店長からもなかなかできるって言われてるじゃない?」
アルエル「こういうの初めてだけど、上手くできてるって思えてるの」
冬美「その自信があるならいいじゃない。あなたは立派な社会人よ」
アルエル「ふふ、ありがと。いつか私も天使協会代表になっちゃうからある程度社会経験積まないとだめね」
そう言ってるといつの間にか勤務地に着いた
まだ勤務時間ではないため控え室で二人は着替えて準備をする
アルエル「ここの制服可愛くていいわね」
冬美「そうね。ひとつ言うけど変に男に騙されないようにね」
アルエル「わかってるわ。ああいうのはスルーすれば大丈夫よね」
?「あ!二人ともおつかれ~!」
二人に声をかけたのは同じ勤務する悪魔の子だった。そしてバイン
アルエル「どうもお疲れ様です!…えーと、名前なんて言いましたっけ?」
悪魔の子「え゛っ!?忘れたの!?荒木ユウだよ!」
冬美「…あなたそんな名前だっけ?」
ユウ「冬美ちゃんも!?ひどーい!ほぼ同期じゃん!」
冬美「ごめんね。なんか名前覚えられなくって」
ユウ「冬美ちゃんクリスタルウィンター大学の人でしょ!頭いいんでしょ!?」
冬美「でも忘れるときは忘れるものよ」
ユウ「もっとひどーい!!」
悪魔の子はかなりショックを受けていた
ユウ「はぁ…まあいいや…。アタシ専門学校の生徒だから二人が行ってる大学羨ましいなーって」
アルエル「そうでもありませんよ。でもこの国で悪魔の人って珍しいですね」
悪魔は基本アマリリスにいることが多い。ユキノウエにいるのはちょっと珍しい
アマリリスにいるのは暑さに強い種族のためである。実はちょっと寒いだけでも悪魔は嫌になるとのこと
ユウ「そう?友達に悪魔いるよ。アタシここの国に生まれたから寒さは平気なんだよね」
冬美「そういえば悪魔って種族はアマリリスが多いのよね?」
ユウ「そうだよ~。いつかアマリリスに行って悪魔協会総本山に行きたいな~。代表に会いたいね」
アルエル「けど種族名じゃなくちゃんとした名前なんですね」
ユウ「いやアタシ低位悪魔だからさー。呪術のひとつも唱えられないんだよね。普通のヒューマンと変わりないよ」
冬美「そうなの。ここの国って悪魔協会あまりない気がするわね」
アルエル「実際そうですね。街にポツンポツンとあるぐらいです」
ユウ「もうちょっと多くしてもいいと思うけどねー。はぁ、アマリリスにほんとに行きたい…」
ユウ、本日二度めのため息
冬美「ここの稼ぎはいいから普通に行けるんじゃないかしら?」
ユウ「そうだけどさ…専門学校って意外と大変だから行くチャンス少ないんだよね。我慢して稼ぐしかないよ」
アルエル「いつかアマリリスの悪魔協会に行けるようにお祈りしますね」
ユウ「ありがとー!じゃ、アタシそろそろ勤務するね~」
ユウは控え室から出た。二人もそろそろ勤務の時間だ
冬美「私たちもそろそろね」
アルエル「うん。冬美、よろしくね」
勤務を終え、冬美は自宅へと帰った。アルエルの働きっぷりを見るとこっちも負けてられない気分だった
冬美「ほんとにアルエルはとても働くわね…今までバイトしたことないって思えないぐらい…
不思議ね…ここまで仲良くできたのはなにかの運命なのかしら…かたや大天使の娘なのに…
普通は高嶺の花なんて言われてなかなか難しいのに。あの時、慰めてくれたのが良かったのかもしれないわ…」
アルエルに初めて会ったときのことを思い出した
『何か、悲しいことがあったのですか?』
『…ほっといてよ!』
『いえ。私は天使なので悲しんでる人をほっておけません』
『…天使?何よ、私の悲しい気持ちを同情してくれるの!?』
『…ハンカチをどうぞ、涙で顔が濡れてますよ。それに、今の気温だと涙で顔が凍ってしまいますよ』
…そう思うと、あの時声をかけてくれたのはアルエルの優しさがあったからだろう
『…正直、あなたに会いたかったわ』
『私もこの運命の再会を神に感謝しなくてはなりません』
運命…ヒューマンがそんな事思っても似合わないが、今の状況だとその言葉が似合うかもしれない
冬美「…いつまでも、彼女と仲良くしたいわ…」
そんな事を思いつつ、冬美は寝る支度をする
冬美「おやすみ。愛しい人」
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