第6話夏の国の話

しとしと降る雨の中、シェリルは遺跡へと向かっていた

シェリル「友人のためですし、行かないと…しかしこの雨…私の自慢の肌が濡れてしまいますね」

そもそもシェリルは不死なので肌が白く、劣化しないのだが意外とそういうのは気にするタイプである

ピットフィーンドの館の近くにほとんど手に触れられてない遺跡があり、そこへ向かっている

シェリル「着きました。さて、中身を覗いてみましょう」

遺跡に着き、早速チェックする

シェリル「うーん、どれでしたっけ…地獄がかかれている壁画…」

今日は雨で曇っていてなおかつ遺跡の中は薄暗く、ライトを照らし合わせながら見る

そしてそれっぽい壁画を見つけた

シェリル「あ!ありました!やはり地獄をかかれてた壁画でしたね」

人が炎の中で苦しんでいる壁画だった。ピットフィーンドが前に行った地獄と関係してる

シェリル「えーとカメラを用意して…ライトを照らして…」

シェリルはカメラのシャッターを押した

シェリル「念の為に色々と写真に収めますか…」

地獄の壁画の他に特に地獄っぽくない壁画も写真を撮った。何か関係がありそうだからだ

シェリル「これぐらいですかね。帰ったら牧さんに早速送りましょう。…でも遺跡部ってなんでしょうかね」

そんなこと言いつつシェリルは遺跡を後にした


アマリリス。梅雨のシーズンが到来し、ほぼ毎日雨が降っている

とはいえこの国の雨はただでさえ暑い国なので雨が降ってくれると人々が嬉しくなる

アマリリスジャングルは雨が降ると人によっては神秘的だ。という人もいる

そんなことは関係なく、光は自転車で学校は行かず徒歩で登校していた

光がふと、街の真ん中にある遺跡を見ていた。朝から遺跡調査隊が入り口を陣取っている

ここの遺跡は大して大きくはないが、全ての国を遺跡全部調査するため大きくなくとも再調査をしてた

そもそも遺跡調査隊は各国に何人いるのかわからないが、恐らく結構な人数であろう

光「遺跡の前に調査隊がいる。少人数だろうけど、入れないね」

光はそんなこと言いながら遺跡の前に陣取ってる調査隊を見ていた

光「けど色んな国の再調査…トップにいる人は一体何を考えてるんだろうね」

腕時計を見て時間を確認した

光「おっと。そろそろ行かないと遅刻しちゃう!今日は歩きだからね」

速歩きで光は学校へと向かう


学校に着いた。今日は生徒全員傘をさして登校していた。自転車登校は少なかった

光「うーん。今日はこうみちゃんいなさそうなんだよね…。風邪ひいてるし…」

光は自分のクラスに着き、ドアを開けた。すると

光「…あれ!?こうみちゃんいたの!?」

こうみ「…光、おはよう。ゲホッ」

いつもの席にこうみがいた。マスクをしてだがいつもどおり無表情で挨拶する

光「こうみちゃん…!高熱出してたのに…!大丈夫なの!?」

こうみがいたことでびっくりしながらこうみに近寄る

こうみ「…大丈夫よ。鬼の身体はやわじゃないわ。微熱程度だから安心して」

光「いや、微熱っていっても…私なら休んでしまうよ…」

鬼だから頑丈なのかわからないが、普通に来たこうみが真面目なのか…

光「でもこうみちゃん、熱が出たと感じたらすぐに保健室へ行ったほうがいいよ。無理しないで」

こうみ「…それはわかってるわ。姉さんにも言われたから。ありがと…ゲホッゲホッ」

しかし咳が酷い。喉からくる風邪じゃないかと光は思ってしまった

学校のチャイムが鳴る

光「とりあえず、無理しないでね?」

こうみ「…ええ」

光は席に着いた


昼…こうみはなんとか午前中の授業を乗り越えてた。光がちまちま見て心配したが大丈夫そうだ

当然姉のあいりが来て早速こうみを心配していた

あいり「こうみ、大丈夫か?」

こうみ「…ええ、大丈夫よ。でも今日はあまり食欲ないから少し食べる程度にするわね」

そう言うとまたこうみは咳をしてた

光「その咳が心配なんだよなー…」

あいり「一応、咳止めの薬持ってきたからこれ飲め」

こうみ「…うん。ありがと」

こうみは咳止めの薬を飲んだ

あいり「やっぱり妹が風邪だとどうしようもなく心配だ」

光「そりゃそうでしょ。私だって心配するもん」

あいり「こうみ、一応飯食ったら保健室に行って熱を確認してこい?」

こうみ「…全然大丈夫だけど、念の為に行ってくるわ」

そう言いながら3人は食事をすることにした

あいり「風邪で思い出したが、アタシほとんど風邪ひいたことないんだよな」

光「バ…でもそれすごいね」

あいり「光、お前今何言おうとした?そういえば小学生のころ、一回だけとんでもない熱だしたことあったな」

こうみ「…それ大変な高熱だったときじゃない。あげくには病院に入院するほどだったわね」

あいり「今でも思い出すほど辛かったな。ベッドで延々と寝てたしな。学校にも行けない」

光「でも一回そういう高熱出したら耐性ついてあまり風邪ひかなくなるんだっけ?」

こうみ「…そうかしらね?確かワクチンのようなものしたんだっけ姉さん?」

あいり「そうそう。ワクチンうったらやっと治ってな。久しぶりの学校が最高すぎたぜ」

光「私も親に連れられて色んなワクチンうったなー。注射針痛くて嫌だったよ」

光がふと注射針を思い出して身体がちょっとゾクッとなった

あいり「しかし…この国は実際色んなウイルスあるらしいからな。ジャングルなんか特に」

光「あまり近寄りがたいよね」

あいり「ま、近寄らないのが一番だがな。マスクつければ大丈夫だと思うぜ」

こうみ「…マスクでなんとかなるのかしらね」

そう言いながら3人は食事をとっていた


放課後…今日はあいりは部活が休みで3人で一緒に帰ろうとしてた

心配なこうみも微熱程度で収まり今日の授業は全て大丈夫だった

これも鬼の身体なのか…ヒューマンとは違い頑丈であることがわかる

光「こうみちゃん今日は大丈夫だったね?」

こうみ「…微熱程度なら全然大丈夫よ。ゲホッゲホッ」

あいり「咳が気になるが、まあよく頑張ったな。こうみ」

光「これでまた熱が上がらないといいけどね…」

こうみ「…それは大丈夫よ。明日あたりに完治しちゃうわ」

3人が学校の門を出ると、声をかけられた

?「あ!おーい!光ちゃーん!」

光「ん!?誰!?」

声をかけた人物が近寄った。その人はヴァンパイアロードだった

光「ヴァンパイアロードさん!」

ロード「久しぶり!ってほどでもないけどこんにちは光ちゃん!」

あいり「ん?ヴァンパイアロード?前に光が言ってたがもしかして悪魔協会の人か!」

こうみ「…光はいつの間に悪魔協会関係の人と仲良くなってたの?」

ロード「このお二人さんは光ちゃんの友達?」

光「そうだよ!こっちの桃色髪の人はあいりちゃん!こっちの水色髪の人はこうみちゃんだよ!二人とも種族は鬼だよ!」

あいり「はじめまして山城あいりだ」

こうみ「…私は妹のこうみよ」

ロード「わ~!鬼ってかっこいいわよね~!男女関係なくかっこいいんだから~。最高ね!

自己紹介するわね。アタシはヴァンパイアロード!悪魔協会の副代表で不死のトップ!よろしくね!」

あいり「よろしくな!ヴァンパイアロードさん!不死のトップとかすげーな!」

こうみ「…不死のトップとかシェリルさん以上の存在かしら」

ロード「光ちゃんにこんな良いお友達いるなんて良いわね~!」

ヴァンパイアロードが笑顔で二人を見ていた

というか下校中の生徒がまじまじ見ていて異質な存在である

光「でも、ロードさん一体私になにかあるの?」

ロード「あ!本題に移るわね。実はね。アークちゃんから光にお礼をしたいって言って野菜を届けようとしたのよ」

そう言うとヴァンパイアロードは袋に夏野菜たくさんのものを出した

光「え!?もしかしてアークさんと一緒に買い物したときのこと?」

あいり「アークと買い物?」

光「うん。こうみちゃんとあいりちゃんがいなくてふらっと大通りに行ったらピットちゃんとアークさんに出会って…

それで一緒に買い物してたんだ!チョコレート専門店に行ったときだよ」

こうみ「…なるほどね。買い物に付き合ったお礼ってことね」

ヴァンパイアロードは笑顔で言う

ロード「アークちゃん、ヒューマンのあなたと一緒に買い物できてよかったって言ってたのよ。

本当はアークちゃん本人からこの袋を渡したかったけど、ちょっと今忙しくてね…。代わりにアタシが来たのよ」

光「いいの?でも私そこまでアークさんにお礼されるほどじゃないし…」

ロード「いいのよ!アークちゃん結構優しいからこういうお礼したいって言ってるし!」

光「…わかった。ロードさんもありがとね」

ロード「どういたしまして。じゃ、アタシ帰るわね」

ロードは側にあったバイクにまたがりエンジンをかける

ロード「あとね、光ちゃん。あなたはアークちゃんに気に入られてるしアタシもあなたのことを気に入ってるわ

悪魔協会で全体的に光ちゃんの名が知られてるわ。よかったらいつか悪魔協会に来てね!歓迎するわ!じゃあね~」

そう言うとバイクをふかしヴァンパイアロードは走り去っていった

光「…私、そんなに気に入られてるんだ…」

あいりとこうみは驚きながら言う

あいり「光!お前すごいな!悪魔協会の代表と副代表に気に入られてるだなんて!」

こうみ「…常人では無理な話よ。悪魔協会全体に気に入られてるなんて」

光「私…でも…光って名前だし、悪魔協会には似合わないんじゃないかな?」

あいり「名前とか関係あるかよ。普通にすごいことだぞ」

光「いつか来てほしいって言ってたけど、行かないとだめだよね」

こうみ「…その時は私と姉さんも一緒に付いて行くわ。それとピットフィーンドとシェリルさんも一緒でいいじゃない」

光「…うん!そうだね!」

あいり「じゃあいつか行ってみるか!ちょっと怖いがな!」

こうみ「でもピットフィーンドとシェリルさんと一緒なら怖さが軽減できそうで大丈夫かもね」

光「悪魔協会はどんな感じか、楽しみだね!」

3人は笑顔で下校した。光は袋を大切に持って帰っていった


一方ピットフィーンドの館…

シェリルがパソコンでさっき撮った写真をわかりやすく加工していた。パソコンは基本、リビングにある

この館は電気を通っているため電化製品は普通に使えるのである

シェリル「えーと…ここをこう明るくして…わかりやすく見えるようにして…」

元々人間時代からパソコンのやり方は覚えてるため遅れないように丁寧に作業してた

その作業をピットフィーンドが見ていた

ピットフィーンド「ん?シェリル、何してんだ?」

シェリル「実は、ヒダンゲの友人に頼まれごとしてましてね。遺跡の写真を加工して送るつもりなんですよ」

ピットフィーンド「遺跡?友人ってことはサークルのやつか」

シェリル「はい。ヒダンゲの牧さんなんですが、遺跡部っていうのがあってそれにネタとして使いたいってことなんですよ」

ピットフィーンド「遺跡部とか変わった部活動だな…。でもここの国って地獄の壁画が多くて普通の人ならげんなりするぞ」

シェリル「でも、使いたいってことなのでさっき行ってカメラ写してきたんですよ」

ピットフィーンド「変わってんなあ…。ヒダンゲの遺跡って山ほどあるらしいがな」

シェリル「そうですね。とりあえずさっきは近場の遺跡に行っただけです」

ピットフィーンド「つか遺跡の壁画は結構あるぞ。もしかしてお願いされたら別の遺跡に行くのか?」

シェリル「はい。もし言われたらその予定です」

ピットフィーンド「そうか。ま、遅くならずにな」

シェリル「わかりました」

そう言うとシェリルはまたパソコンに集中した

ピットフィーンド(久しぶりにシェリルがパソコンで作業してるの見たな…これは夕飯が遅くなりそうだ…)

ピットフィーンドが思うとちょっとお腹がすいてきた

ピットフィーンド(お腹すいた…)

しばらくシェリルが集中してるせいか夕飯が遅れることが確定したようだ


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