第5話秋の国の話

遺跡調査事務所…夜、牧は一人で事務作業をしていた

そもそも遺跡案内人なのでこういうのはしなくてもいいのだが次の案内をするために文章をかいていた

もちろんパソコンでうってるが牧はあまりタイピングが慣れてないため結構苦戦していた

牧「ほんとなんで私がこんなことしなきゃいけないのかしら…」

牧は独り言でブツブツ文句に近いことを言ってた。ちなみにこれは残業である

牧「だいたい何よ。4つの国全てに遺跡再調査って。こっちの負担がかかるっての。タツジさんちょっとおかしいわね」

4つの国全てに再調査というのもタツジが決定したことである。唐突に決めたらしい

牧「あと、遺跡調査研究ってはっきり言ったほうがいいのよ。何よ、遺跡調査だの遺跡研究だの。

あっちこっち言葉言っててマスコミもバラバラに言ってるじゃない。ちゃんと言葉は統一しなさいって」

正しくは遺跡調査研究なのだがどういうわけかバラバラに言われてる

牧「あーあ。そろそろ終わるけど最後の気合入れにコーヒーでも…って自販機近くになかったんだ…」

牧はため息をつく。色々と不便な国である。ちょっとだけだがシダレカにいたときは不便ではなかった

牧「なんかエナジードリンクもほしいわね…まあ、我慢して作業続けますか…」

牧は文句を言いつつ作業を続けた

よく晴れた風の涼しい日。今日もしいな、マーガレット、シャニオンは遺跡へ向かう予定だ

ヒダンゲは春夏秋冬関係なく、心地いい気候に恵まれていて気温による不快感は一切ない

実際牧場もヒダンゲのほうが一番多く、動物は心地いい場所でのんびり過ごしている

のんびりとできる気候のあるヒダンゲ。田舎だが、過ごしやすい国である

今日も休日を使って3人は遺跡へと向かう

もちろん、これを決めたのはしいなだがマーガレットとシャニオンは決してそれを否定することはない

しいな「さ!今日もゲッカシティの遺跡に行くわよ!」

マーガレット「つかゲッカシティっても今回は都市外れにある遺跡じゃないか」

シャニオン「大丈夫ですよ先輩。都市外れと言ってもバスで行ける距離です」

マーガレット「前に行ったかもしれないが記憶にねえな…」

しいな「だからこその遺跡めぐりだよ!」

マーガレット「バス代はかかるがこの国のバス代実際安いしな…あ、バス来たぞ」

3人は早速来たバスに乗り目的の遺跡へと向かう

バスを乗りながら、3人は話していた

マーガレット「どうでもいい話かもしれないが俺たちの後とか来るのか?」

しいな「後って?」

マーガレット「後輩だよ。とりあえず俺としいなはまだ2年だからいいしシャニオンは1年だから約2年は余裕あるが

万が一俺たちが卒業したらこの部活、果たして存続できるのかって話」

しいな「あ~…そうだねえ…もし遺跡部に入部希望がいたら嬉しいけど…」

シャニオン「もし先輩たちが卒業しても、ウチが部長になって後輩見つけてきますよ。安心してください」

しいな「じゃあシャニオンちゃん次期部長決定ね!」

マーガレット「次期部長はいいが入部希望を見つけないとほんとに潰れるぞこの部活」

シャニオン「先輩。ウチに任せてください」

シャニオンは自信たっぷりに言う

マーガレット「ま、シャニオンがなんとかしてくれそうだな。とりあえず気が早いが任せたぞシャニオン」

シャニオンは臆病だが優秀生なのでその後のことをなんとかしてくれそうだ

自信たっぷりな発言にしいなとマーガレットは安心をした


「次はーマスリ遺跡ーマスリ遺跡でございます」

そして目的の遺跡のあるバス停に着く

降りた先に見えたのは…。何もない、草原のある景色だった

マーガレット「あ、あれ?遺跡どこにあるんだよ」

しいな「んー?もしかして…あそこにあるの?」

しいなが指をさしたちょっと遠くにある場所に遺跡らしいとこがあった

マーガレット「歩くのかよ!ここってもしかして自然公園とかいうやつか!」

シャニオン「仕方ないですよ。歩いて遺跡へ向かいましょう」

3人は歩くことにした

幸い、遺跡への道は簡単で道が舗装されていた。距離があるが迷うことはなさそうだ

また3人は喋りながら歩いていた

マーガレット「でな、俺、自慢じゃないが大天使の親戚でもあるんだ」

しいな「すごいねそれ!大天使ってどう違うの?」

マーガレット「んー、祝福の術使えたりいるだけで幸せになれるとか…色々だな」

シャニオン「いいですねー。ウチなんかただの妖怪ですからね」

しいな「私もいうならただの人間よ」

マーガレット「俺もただの天使に近いからミカエルお義母さんとかアルエル姉ちゃんとは比べられないんだよな」

しいな「なんとも強そうな名前ね…会ったことあるの?」

マーガレット「あるぞ。だいたい10歳ぐらいに家族と一緒にユキノウエへ旅行して会った」

シャニオン「そう言えばユキノウエに天使協会総本山があるんでしたっけ」

マーガレット「そうだ。とても優しい人だ。ミカエルお義母さんに祝福の術をしてくれたりアルエル姉ちゃんに遊んでもらったぞ」

しいな「いいなあ祝福の術。私もかけてもらいたいな」

マーガレット「しかし祝福の術は誰にでもやっていいわけじゃないそうだな。特別な人にのみ術をかけていいみたいだ」

シャニオン「大天使の親戚と一緒だなんてウチ幸せです」

しいな「マーガレットちゃんすごいよね。例の一族って呼んでいい?」

マーガレット「なんだそのとんでもない言い方は!あと親戚なだけで強いわけじゃないぞ!」

その後、マーガレットはぼそっと小さい声で言う

マーガレット「俺、女としての身体はちょっと違和感感じるんだよな…」

しいな「ん?マーガレットちゃんなにか言った?」

マーガレット「いや、何も言ってないぞ」

3人は歩いてようやく遺跡へとたどり着いた


マスリ遺跡にたどり着く。規模としては前に行った公園にある遺跡とは変わらない

3人がまず目に付いたのは少し、人がいることだった

しいな「着いたけど…人がいるね?」

シャニオン「そうですね。あれ?この人たち遺跡調査の人たちじゃないですか?」

しいな「…あ!牧さんがいる!」

しいなが見かけたのは牧とその他数人の遺跡調査の人たちだった

牧「…ん?あの3人…あ、しいなちゃんたちじゃない!」

しいな「こんにちは牧さん!」

シャニオン「牧さん。こんにちは」

マーガレット「牧さんじゃん。こんにちは」

3人は笑顔で挨拶をする

牧「こんにちは。今日も遺跡めぐりしてるの?」

しいな「そうよ!」

牧「元気ね。活動が活発でこっちも嬉しいわ」

しいな「ところで何をしてるの?」

牧「ああ、そう言えばあなたたちニュース見た?4つの国の全ての遺跡の再調査をすることになったのよ」

シャニオン「あ!ニュースで見ました!」

マーガレット「そうだ…そんなニュースがあったな…」

2人は知ってたようだ。だが

しいな「ん?そのニュース見てたけど忘れちゃった」

牧はズッコケそうになった。しいなちゃん…あなたって人は…ほんとに中心人物なのかしら…と心で思った

牧「え、えーとね。今シダレカ、アマリリス、ユキノウエ、ヒダンゲ、全ての遺跡の再調査を同時進行に開始して

今、調査チームが駆け巡ってるわけ。調査をしてるアマリリスももう一回ほぼ全て調査をしてるのよ

だから今、ヒダンゲももちろん調査をして、私たちはここにいるの」

3人はこれを聞き驚いた

しいな「え!じゃあ私たち遺跡部関係なくなるの!?」

牧はそれを聞き答えた

牧「そのことなんだけどね、しいなちゃん。あなた、タツジさんとアヤメ神社で話してたらしいわね?

タツジさんはしいなちゃんの遺跡部っていうの大いに関心して実際喜んでたらしいわよ?

だから、タツジさんはもし遺跡部の人がいて質問があったら教えてほしいと言ってたわ

安心して。遺跡部の妨害をすることは一切ないわ。あなたたちの行動、全てを支援するって言ってるわよ」

3人はその言葉を聞きほっと一安心した

マーガレット「嬉しいな。調査の人たちに支援してもらえるなんて」

シャニオン「ウチらのやってることは、決して無駄じゃないんですね」

しいな「私、タツジさんに気に入られたの?やったー!嬉しいなー!」

牧「ええ。だから今日はここの遺跡来たのでしょう?私たちは気にしないでいいわ」

しいな「じゃあ、この遺跡に入っていい?」

牧「いいわよ。ゆっくり調査してね」


3人は遺跡の中に入った

とは言えど遺跡の中身はこれまで遺跡を巡ったものと変わらない感じではあった

マーガレット「巫女っぽいのがいる…これは変わらない感じだな」

シャニオン「巫女と遺跡。どういう関係でしょうか?」

しいな「あ。他のものとは違うとこ発見したよ」

マーガレット「どれどれ?これは…」

しいなが発見したのは巫女が雲の上から地上を見てるような壁画だった

しいな「これってさ。前に紙芝居の最後のほうで見たのと似てるね?」

マーガレット「けど、あれは確か死んだ妖怪が天国に行って地上を見てた…とかいうやつじゃなかったか?」

シャニオン「とりあえず、これは写真を写しましょうか」

シャニオンは写真を撮った

しいな「もしかしたら、巫女って特殊だったんだろうけど結局は人間だから寿命で亡くなって

これは想像だけど天国に行った巫女たちが世界を天国で見てた…ってことかしら」

マーガレット「そうだろうか…」

シャニオン「先に亡くなった妖怪と一緒に見てたんでしょうかね」

しいな「そう思うとほんとに天国ってあるのかな。別世界ってイメージしかないよ」

マーガレット「死んだらわかるってやつか?これも全て想像でかいたのかよ」

しいな「そう言えば天国の逆で地獄っていうのあるけどそれを表したものないね」

マーガレット「ないだろうな」

シャニオン「そもそも地獄の話は今の所ないですねえ」

そういうと入り口から声が来た

牧「天国を象徴してる壁画が多いから地獄の壁画はほとんどないわよ」

しいな「あ、牧さん」

いつの間にか牧が3人の様子を覗いてたみたいだ

マーガレット「牧さん。天国があることはわかったけど地獄ってあるんですか?」

牧は答える

牧「そうねえ…天国と地獄。なんていう言葉があるけどほとんど天国の壁画だらけだからね

…あ、思い出した。アマリリスには地獄を表したような壁画があるって聞いたわ。悪魔が多い国だからかもね

ヒダンゲは一応天使が多い国だから地獄のことは一切ないのかも」

シャニオン「なるほど。確かに天使が多い国ですね。この国の天使協会と悪魔協会、比率としては天使協会が多いです」

しいな「それも関係してるのかな?」

マーガレット「俺としては天使協会が多いほうが安心するけどな」

牧「そうだ。アマリリスに友人がいて地獄の壁画などを聞いてみるわ。その人の電話番号とメールアドレス知ってるから。

聞いてみて写真があったら送るわ。それで遺跡部の話のネタにしてくれればいいわ」

その友人というのはシェリルのことである

マーガレット「牧さんありがとうございます」

しいな「とりあえず…今日はこのぐらいかな?牧さんいつもありがとう」

牧「いいのよ別に」


3人は遺跡を離れ、まだ残る牧たち調査チームに別れをした

今日の収穫としては新しい壁画の写真程度だろうか。だが十分に話としては満足であった

シャニオンもいつの間にか他の写真を撮っており、レポートをかけるほどであった

3人はバス停まで着き、バスが来るのを待っていた

しいな「結構面白い情報手に入れたわね」

マーガレット「ああ。壁画の新情報はそこまでなかったが地獄の話は面白そうだな」

シャニオン「牧さん結構早く情報仕入れてくれるからすぐに情報が来るでしょうね」

しいな「たまには違う話をレポートにするのも面白いからね。…あー、お腹すいたー」

マーガレット「そういや昼過ぎになってるな。ゲッカシティ着いたら飯でも食うか」

シャニオン「どこにしましょうか?ウチとしては手頃な中華を食べたいです」

しいな「あ!いいね決定!そこにしよ!」

マーガレット「ちょっと待てよ。このバス停の時間…」

シャニオン「…あれ。よく見たら次のバス来る時間後20分ぐらいやん…」

しいな「…えー」

お腹すきながらバスを待つ3人であった


プルルル…プルルル…

ガチャ

牧「あ、もしもしシェリルさん。久しぶりね。牧よ」

シェリル「牧さん久しぶりです。どうしました?」

牧「今日さ、遺跡部っていう私と仲いい3人が来てね。アマリリスにある地獄の壁画の情報が聞きたかったのよ」

シェリル「遺跡の壁画ですか?それなら私の住む場所から近くにありますよ」

牧「ほんと!そこって壁画とかある?」

シェリル「はい。ありますよ。ただそこが地獄の壁画だったかどうかはちょっとわからないですが」

牧「そう…。知り合い3人が地獄の話してたからあるかなーって思ってたの」

シェリル「そうですか。わかりました。一応カメラがあるのでそこの写真を撮ってきますよ」

牧「ありがとうシェリルさん!…そのカメラデジカメ?」

シェリル「そうですデジカメですよ。その地獄の壁画を撮ってきたら牧さんのPCのアドレスに送りますね」

牧「色々ありがとね!」

シェリル「いえいえ。…え?どうしましたピットフィーンド様?悪魔協会から私宛てに知り合いが来た?

ごめんなさい!用事ができたのでもう切りますね!」

牧「いいわ。とりあえずよろしくね!」

シェリル「はい。では失礼します」

プツン

牧「さて…後は待ってみるのみね…」



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