第5話冬の国の話

天使協会、代表室でいつもどおり手紙を読んでる天使がいた。ミカエルである

その内容は悩みを聞いてすっきりした。有り難い言葉を聞いて頑張れる気持ちになった…などといった内容

ミカエル「ふふ、ヒューマンやその他種族が元気になってくれれば私も嬉しいのよ」

そんな手紙を読んでいたら目につく手紙があった

ミカエル「あら…親戚のマーガレットちゃんじゃない」

マーガレット…秋の国にいる天使である。しいなとシャニオンとともに遺跡部で活動してる天使である

大天使ミカエルとアルエルの親戚でもありマーガレットも一応大天使の血筋の一人でもある

ミカエル「なになに…最近部活で遺跡を回ることをしてるんです。だって!

遺跡ねー。私も遺跡には興味あるけどユキノウエってそもそも遺跡が少ないからねー

ヒダンゲってそういえば遺跡が結構ある国だって聞いたわ。ネタが付きなさそうね!

卒業するまで頑張りなさいよ。でも、ハツラツな子だから頑張れそうね」

早速返事の手紙をかこうとしてふと、テレビを見た

ミカエル「ん?速報?なになに…『4つの国、全ての遺跡に再び徹底調査と研究、始める』?

…何をやらかすのかしら…」


ユキノウエ、ようやく冬のシーズンが終わりいよいよ夏に近い季節となった

前の冬はそこまで雪が積もらず不思議な季節だったが、人々は雪かきせずに済んだため嬉しがっている

ただ、このあまりに少ない雪で中には温暖化だーと言ってる人もいる。それは別の問題

そんなよく晴れた青空の中、一人、駅の前でわくわくしながら立っている女性がいる

アルエルである

アルエル「ふふふ…今日は冬美さんとのデート…こんなにわくわくしちゃう日が来るなんて!」

彼女がわくわくしてると携帯電話のメールが鳴った

アルエル「あ!冬美さん!えーと…そろそろ着くから待っててね。ですって!」

更にわくわくしてしまう。そろそろ来るなんて。アルエルはとびっきりの笑顔で迎える予定だ

そして…

冬美「おーい!ごめん!遅れちゃったー!」

冬美が走ってアルエルの近くに駆け寄る。待ち合わせ時間にはちょうどぴったりの時間だが

アルエル「冬美さん!会えて嬉しいです!」

冬美「ごめんねー。時間、間違ってないわよね?」

アルエル「大丈夫ですよ。私は居ても立っても居られない状態で待ち合わせ時間より早く来ました!」

冬美「ははは…真面目ねあなた」

アルエル「ふふふ」

2人はニコニコと笑い合っていた

冬美「…そうだ。アルエル、今日はどこに行きたいの?メールではそのこと言わなかったけど」

アルエル「あ!はい、実は…」

アルエルが少し呼吸を整えてから発言した

アルエル「実は、オニキス工業地帯へ行きたいんです!」

冬美「オニキス工業地帯?あそこ、工業地帯で何もないような気がするわ?」

アルエル「いえ、あそこは色々な店があって、ガラス製品を取り扱ってるんですよ。

私、ガラス製品が好きで一人じゃ寂しいから冬美さんと行きたかったんです!」

冬美「へー…それは知らなかったわね…」

冬美はクリスタルウィンターシティ以外はあまり行ったことがない

アルエル「はい。だめでしょうか…?」

アルエルはもじもじしながら高い身長なのに上目遣いをしてた

そんな行動して否定は一切できず冬美は答える

冬美「いいわね行きましょう!さ。早速電車に乗るわよ」

アルエル「はい!ありがとうございます!」

2人は仲良く電車に乗る


電車内…冬美とアルエルは座席に座り、談笑しあってた

冬美「私驚いたわよ。あなたがデートに誘ってくれるなんて」

アルエル「いえ、冬美さんが気になって仕方なかったから勇気だして誘ったんですよ」

冬美「アルエルったら…今日のアルエルの服装、いつもより可愛いわ」

アルエル「ありがとうございます。ちょっと頑張ってコーデしてみました」

冬美「一段と可愛くなったわね。それに良い香りするわね?」

アルエル「はい、香水なんですが、変わった花の香りでここだけの話…母からのお下がりだったりします」

冬美「お下がりでもいいじゃない。もうちょっと香りをかぎたいから近寄るわよ」

冬美が少しアルエルに近寄ろうとする

アルエル「あっ…冬美さん」

冬美「いいじゃないあなたの香り、とてもいいわね…」

アルエル「んもう…冬美さんったら…」

正直周りの人が嫉妬しそうなほど勝手にラブラブ空間を作ってた


そんなこんなでオニキス工業地帯に着いた

シダレカにあるフジサク工業地帯という似たようなものがあるがあれは木材加工中心である

オニキス工業地帯はガラスや鉄を加工するものが中心でそれをユキノウエだけではなく各国に輸出している

それゆえ、ガラス製品の加工品が店で直入荷しており店も多くある

アルエルはそれをすでに知ってるのかガラス製品を買いたいと思ってたらしい

冬美「へー…イメージ的に工場が多いだけと思ったけど店がたくさん並んでるのね」

アルエル「そうなんです。ここが目当てだったりします」

冬美「で、早速店に行くの?」

アルエル「まずは工場に行ってみましょうか?」

冬美「え?だって工場って一般人は入れないんじゃ?」

アルエル「実は見学ルートっていうのあるんですよ。行きましょう!」

冬美「そうなの?まあついていくわ」

オニキス工業地帯にもフジサク工業地帯と同じく見学ルートがある

見学ルートを通った。フジサク工業地帯の工場は木材加工中心なのでうるさいがここの工場はうるさくない

ガラスと鉄を溶かしているのでその熱気が少し感じる程度である

冬美「わー。あの溶かした鉄の色、暑そうね!」

アルエル「はい、従業員は鉄に触らないように厳重体制で作業してるんですよ」

冬美「あんなの浴びたら命の保証はないわね」

アルエル「さすがにないですね」

アルエルは笑いながら言う

アルエル「さ、次行きましょう」

冬美「次はどこに?」

アルエル「見学ルートを超えて、工場のパイプを見たいんです」

冬美「ぱ、パイプ??あなたそういうの好きなの?」

アルエル「大好きです!」

アルエルがとびっきりの笑顔で言った。冬美はこの子…変わった趣味してるわ…と心で思った


見学ルートを後にして2人は工場をよく見通せる場所へと向かった

ちょうど工場のパイプラインが見える場所である。色々見える

アルエル「すごいパイプラインですね!これを見たかったんです!」

確かにすごいパイプラインだ。工場の大動脈、と言った感じか

アルエルは早速自分の携帯電話のカメラで写真を撮っていた

ちなみに冬美はあまり興味がなかったが、アルエルが喜んでいるので冬美もなんとなく写真を写した

冬美「面白いわね。パイプラインがうねうねしてて飽きないわ」

アルエル「そうなんですよ~。いつかフジサク工業地帯にも行きたいと思ってます!」

冬美「シダレカにある工業地帯ね。そこも工場だらけだからね」

アルエル「きっとこことは違う工場でしょうしパイプラインもすごいと思います!」

冬美「今日のアルエルとっても生き生きしてるわね」

元気そうなアルエルを見るだけでも十分嬉しい冬美がいた


その後2人は店に入った。ガラス製品中心の品揃えでアルエルはやっぱり嬉しがっていた

アルエル「わー!綺麗なガラス製品!どれも全部買いたいですね!」

冬美「いや、ちょっと高いような気が…なに?コップで15000G?丈夫でしょうけど…」

アルエル「ふふふー。どんなものしようかしらー」

アルエルは喜んで店内を見渡す。冬美もアルエルの後をついていく

アルエル「あ!花柄のついたグラス!可愛くて最高ですね!これで飲み物を飲みたいですね!」

冬美「アルエル…これ20000Gっていうとんでもなく高いグラス…ってもうレジに行ってる!」

速攻で決まったのかアルエルはそのグラスを持ってレジへと向かった

冬美「アルエルのお金の使い方がものすごいわね…大天使の娘だからお金あるのかしら…」

お金にうるさい冬美だがこのときはアルエルのお金の使い方に仰天するしかなかった


アルエル「わーい!いいグラス買っちゃったー!満足です!」

アルエルはその後また新しガラス製品を買い果たしていくら使ったかわからないほど購入していた

冬美「は、ははは…あなたお金の使い方凄まじくて私、ちょっとついていけなかったわ…」

冬美はとりあえずまだ安いほうのワゴンセールしてたコップを購入した。それでも4000G。高い

そしてアルエルは冬美のほうに振り返る

アルエル「冬美さん。お腹すきました。どこか食べましょう!」

冬美「あら、そんな時間だったの?じゃあ飲食店を探しましょう」

アルエル「実はもうリサーチ済みです!行きましょう!」

冬美「え?リサーチ済みって?」

アルエルはどんどん先へ向かった。後を追う冬美。どちらかというとエスコートしてるのはアルエルだ

2人が向かった先はパスタの店。オニキス工業地帯の近くにあるが美味しいと評判の店である

アルエルはアラビアータパスタを、冬美はカルボナーラを頼んだ

冬美「パスタ来るまで楽しみね」

アルエル「はい!けど時間かかりそうですね?お客さんが結構いますし」

冬美「そうねえ…まあ待つのは大丈夫よ」

2人は料理が来るまで待つことにした

アルエル「冬美さん」

冬美「なに?アルエル」

アルエル「私は天使協会の次期代表になるのですが、天使協会って色々なことしてるんですよ」

冬美「悪魔協会より天使協会のほうが色々やってそうなイメージあるわね」

アルエル「そうです。例えば…有り難い言葉を協会の中でいうのが普通なんですが…」

冬美「他にもあるの?」

アルエル「他には一人になってしまった孤児を迎えたり、赤ちゃんポスト、なんいうのもやってるんですよ」

冬美「善意ある姿勢ね…」

アルエル「けど実は悪魔協会も同じようなこと、してるんですよ」

冬美「孤児の保護と赤ちゃんポスト?」

アルエル「そうです。悪魔協会代表アークデーモンさんとお母様が提携してるんです。悪魔協会と天使協会仲いいですから」

冬美「あまり代表のこと知らないけど、悪魔協会ってちゃんとしてそうだしね」

アルエル「はい。実際テレビ通話からでしたがアークデーモンさんは良い人です。昔敵対だったっていうのがわからないほど」

冬美「まあ今は種族差別なんていうのはだめだしね。前に天魔戦争の話聞いたとき天使を差別しちゃったけど」

アルエル「それは大丈夫ですよ。あと、アークデーモンさんの他にヴァンパイアロードさんもいてその人は明るくて良い人です」

冬美「その人知らないわね。けど良い人なら安心じゃない」

アルエル「でも…お母様が言ってたんですが、実はもう一人、アークデーモンさんの左腕みたいな人がいたみたいです」

冬美「左腕?悪魔協会にもう一人いたの?」

アルエル「えーと確か名前が…亡霊の頂点で…えーと…シンプルな名前で…」

店員「おまたせしました~。アラビアータとカルボナーラです~」

話をしてたらちょうど食事が来たみたいだ

アルエル「来ましたね。食べましょう」

冬美「え?うん、食べましょうか」

冬美はなんとなく亡霊の頂点の名前というのが気になったが今は食べることに集中した


食事を終え、2人は工業地帯近くの公園にいた

オニキス工業地帯とフジサク工業地帯は憩いの場。という形でちょっと大きい公園があったりする

2人はベンチに座り、空と海を見ていた

アルエル「冬美さん、色々ありがとうございます。今日は冬美さんがいたからこそ、楽しいデートでした」

冬美「こっちも楽しかったわよ。アルエルが色々な趣味が見れて面白かったわ」

アルエル「いえいえ…私が勇気を持って誘ったから私も楽しくなれました」

冬美「…ねえアルエル。その敬語口調やめない?私、敬語じゃないアルエルが聞いてみたいわ」

アルエル「え?けど冬美さんは大学で先輩ですし…」

冬美「別にいいわよ。もっと仲良くなりたいわ。敬語はまだ仲良くないときに使う言葉よ。あとさん付けしなくていいから」


アルエル「…いいの?冬…美?」


冬美「そうよ。そういう感じでいいのよ。そしたら、もっと仲良くなれるわ」

アルエル「…ありがとね。冬美。私も君と仲良くなりたいから敬語やめてタメで話すわね」

冬美「その感じよ。ますますアルエルが気に入ったわ」

アルエル「冬美s…冬美、よかったら今度、君を天使協会に誘いたいわ。お母様に紹介したいの」

冬美「いいけど…大丈夫なの?」

アルエル「大丈夫よ。お母様案外誰連れても何も言ってこないから。きっと上手くいくわ。…あ、ただガブリエルどうかしら…」

冬美「ガブリエルって副代表の人、なの?」

アルエル「ええ。真面目すぎるし硬い人だから…何か言ってくるかも…。けど私なら粛清できると思うし大丈夫だとは思うわね」

冬美「そ、そう…」

やっぱり代表の娘とはいえアルエルの権限は強いものだな。と冬美は思った

アルエル「ねえ冬美、手を出して」

冬美「手?こう?」

冬美が手を出すとすっと、アルエルは冬美の手の甲にキスをした

冬美「なっ…!」

アルエル「天使のキッスって知ってる?これも術のひとつよ。この術を受けたとき、君は天使のような存在になるわ」

冬美「天使の存在…私、天使になれるの?」

アルエル「周囲に幸せが舞いこんでくる…。だから、冬美の友人たちも幸せになれるわ。もちろん、君もね」

冬美「アルエル…色々ありがとう…嬉しいわ」

アルエル「私は冬美に会えて幸せよ。冬美が泣いてたとき…声をかけて正解だったわ」

冬美「アルエル…ありがとう…」


気がつけば夕方に近い時間

2人は更に仲良くなり、欠かせない存在となった




天使協会…ガブリエルは電話をしてた

ガブリエル「…んんー。娘様に連絡しようにも電波が届かないだの通話できませんだのですね

娘様今どこにいるんでしょうか。もしかしたら携帯電話の電源切ってるんですかね?

そろそろ夕方に近いから連絡してるんですが…。諦めず連続で電話かけるしかありませんね」

ガブリエルはアルエルに何度も連絡をとろうとしてた

もちろん、アルエルは携帯電話の電源を切っていた

無意味な行動をしてるガブリエルであった






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