第4話秋の国の話
~
しいなはメールを見て驚いた。まさかすぐに研究が進んでいたとは思わなかった
しいな「メールだけじゃ気になる情報だらけね…そうだ!このメールだけじゃなくて
チャットもできる機能あるんだった!ちょっとメールして送ってみよ」
しいなはすぐに返信をしてチャット会話をしようとした
しいな「すぐに来た!OKだって!チャットへ移動っと」
牧としいなでチャットした
しいな「こんばんは牧さん!このメールはどういうことなの?」
牧「こんばんはしいな。土偶が発見されたんだけど、それは全部女性の形をしてるの。
そしてその土偶もどうやら何か着飾ったような形をしてね、分析をしたら、巫女みたいな形なのよ。
つまり先住民はどうも巫女を何か重要な職業として大切にされてたみたいよ」
しいな「重要な…職業…そういえば私たち巫女と妖怪の話の紙芝居を見たわ」
牧「あれは遺跡研究調査チームが子供向けに、ってことで提供した話よ
ただあくまでもあれは研究の一切れの話だから実際どうなのかわからない感じよ
それにね、何度も巫女とは言ってるけどレニみたいな普通の巫女じゃなくて
もっと人とは違う何か能力を持った特別な巫女じゃないかという話でもあるわ」
しいな「確かに紙芝居の話の巫女さんたち、特別な力を持ってる雰囲気した」
牧「そうよ。本当にこれは巫女なのか?それとも違うんじゃないか?
…って話も出てるぐらいだからまだ研究途中よ」
しいな「なるほどな~。不思議な話だなー」
牧「そうそう、昼過ぎに遺跡調査研究の隊長が来てたのよ」
しいな「隊長?というか牧さんまだ会社なのね」
牧「そうよ。しいなはハマタツジって知ってるかしら?」
しいな「いや、全然知らない」
牧「まあ言っちゃ悪いけど影が薄いからね。ヒダンゲの遺跡調査研究所に視察に来たの
どうもヒダンゲの遺跡はほったらかしにされてるから重点的に調査しないと駄目だって
シダレカとかユキノウエのような国はほとんど終わってるけどヒダンゲがね
そんなこと言いながら帰ってしまったけど」
しいな「シダレカとユキノウエは終わってるんだ?」
牧「シダレカはそもそも過去にたくさん調査した国。ユキノウエは遺跡が少ないからすぐに終わってる国。
アマリリスは今ジャングルを中心に調査してる国。そしてヒダンゲは全然手つかず。って感じなのよ」
しいな「じゃあ私たちが調査すれば有名になれるんじゃ!」
牧「ははは!まあそうかもしれないわね。けど学業を忘れちゃ駄目よ?」
しいな「さすがに勉強は忘れないよー!」
牧「よかった。それじゃあ、今日はこの辺にしておくね。また情報はいったらメールするわね」
しいな「うん!ありがとう牧さん!おやすみなさい!」
牧「おやすみ」
二人はチャットを終えた
~
ゲッカシティ中学校。放課後、また3人組と顧問の先生は話し合っていた
もちろん部活室にて…
しいな「はい!今後の予定組んでおきましょ!」
しいなは意気揚々に言う
マーガレット「そもそも俺たち過去に色々言ってるからな。部活になる前に」
シャニオン「そうですね。けどもう一回行って改めて調査するのもいいかもしれませんよ」
マーガレット「まあそうだな。…ん?シャニオン、その大きい紙はなんだ?」
マーガレットに言われてシャニオンはかばんから紙を取り出した
シャニオン「ウチ、我慢できずにレポートある程度かいちゃいました」
しいな「え!?もうかいちゃったの!?」
マーガレット「シャニオンお前な~。かくときは俺としいなもかくって言ったじゃねえか」
シャニオン「ごめんなさい先輩…」
八代先生「まあまあいいじゃない。一応目を通して修正するところがあれば修正すればいいわ」
シャニオン「はい、先生…」
シャニオンが作ったレポートを見た。しかし特に修正するところは無さそうだ
八代先生「これである程度?完璧にかいてるじゃない。後は写真を貼り付ければいいだけかしらね?」
しいな「シャニオンちゃん!さすが優等生ね!」
シャニオン「えへへ、ありがとうございます」
マーガレット「だがシャニオン、次からは俺たちもかかせてくれよ?」
シャニオン「はい。わかりました」
しいな「シャニオン大好き。キスして?」
マーガレット「また百合になるなっつーの!」
シャニオン「フレンチキスならどうぞ…」
マーガレット「お前もまたノるなっての!」
八代先生「ははは…」
八代先生、さすがにちょっと苦笑
2日後の放課後…
学校の掲示板にどどんと遺跡レポートが貼られていた
そのレポートは注目されたらしく、生徒が見ていた
「へー、遺跡ってこんな感じなんだー」
「全然見てなかったけど、たしかに注目しないと駄目だね」
「写真が綺麗だな。この壁画なんだろ?」
「俺も興味持っちゃった」
その光景を3人と先生が見ていた
しいな「ふふふ。やっぱり注目されたわね。遺跡は楽しいんですよっと」
マーガレット「だがこんな上手くいくとはな。やってみないとわからんもんだ」
シャニオン「これで興味を持ってくれればウチも作ったかいがあります」
八代先生「あなたたち頑張ったわね。顧問になって嬉しいわ」
4人は笑顔になった
八代先生「さて…次はどこにするの?」
しいな「それなんだけど一応考えてみたんです。近場の遺跡からどんどん行こうかなって」
マーガレット「一応他の村にもあるらしいけどそれは近場から終わってからにします」
八代先生「そうね。そうしたほうがいいわね。あなたたちはまだ中学生だから遠くにはいけないしね」
シャニオン「他の村となると時間と労力が必要ですし、ウチもそれに賛成です」
八代先生「決定ね。じゃあ、今日はこれぐらいにしてと」
しいな「また明日にでも会議しまーす!」
3人は八代先生と別れた
今日のヒダンゲはとてもポカポカ陽気で温かい。普通に歩くにはもってこいの日だ
3人は下校中、また色々と話してた
しいな「ほんと注目されるってとてもいい気分ね~」
マーガレット「ただいつも見てくれるとは思えないがな。ハードル上がったと思うぞ」
シャニオン「大丈夫ですよ先輩。みんな見てくれるだけでも十分です」
マーガレット「そうだといいんだが。まあ俺もあの光景見たらやる気がでてきたな」
しいな「次はどこにしようか?」
シャニオン「ゲッカシティにはまだ遺跡があります。ゲッカシティ中心から行きましょう」
マーガレット「そうだな。よし」
しいな「あ、ごめんそろそろ私行かなくちゃいけないとこあるんだ」
マーガレット「ん?そうか。じゃあなしいな」
シャニオン「またあしたです先輩」
しいな「じゃあねー!」
しいなは走って行った
マーガレット「…あんな早く行くとはな?」
シャニオン「多分あの方向だとアヤメ神社じゃないですか?」
マーガレット「あー。レニさんに会うためか。ほんとレニさん好きだよなしいな」
シャニオン「レニさん良い人ですから、会いたいんでしょう…。」
2人はしいなが消えるまで見送っていた
アヤメ神社…ここも静かに平和な日常を送っていた
しいなが神社に到着して、レニを確認する
しいな「レニさん…どこかなー…?あ、いた!」
どうもレニは参拝客なのかわからないが男性と話してたみたいである
しいな「レニさん…?誰と話してるんだろ?」
近寄ってみる
レニ「…そうですね…。確かに神社は遺跡に近い感じかもしれないですが、重要なものはないですわよ」
?「やはりそうか。巫女というから何かあるとは思ったんだが」
レニ「わたくしはあくまでもただの巫女ですわ。今日は神主さんはいませんので…」
?「仕方ない。また神主がいるときにもう一度会ってみるよ」
レニ「うーん…重要なものはないので意味はないかと思いますわ…」
何かを話してたみたいだ。しいなは声をかける
しいな「レニさーん!」
その言葉を聞いてレニと男性がしいなのほうに振り向く
レニ「まあ、しいなちゃん。今日もお疲れ様です」
?「ん?この少女と知り合いなのか?」
レニ「はい。ここの神社をひいきにしてるんですわ」
男性は…ちょっと身長高めで40、50ぐらいの年齢だろうか
服もまるで調査隊が着るような服。一体誰だろう?
しいな「こんにちは!アヤメ神社、いいでしょ?」
男性「ああ。とてもいい神社だよ。遺跡と関わってそうで尚更興味があるよ」
しいな「遺跡…?どういうことですか?」
男性「そうだそうだ。自己紹介しておこう。私はハマタツジ。遺跡調査研究チームの隊長だよ」
しいな「え!?あのハマタツジさん!?」
しいなは驚愕した。まさか牧と話してたハマタツジがここにいるなんて
タツジ「おや?私のことを知ってるのか。なら話が早い」
しいな「知ってるも何も…牧さんが言ってたハマタツジさん…」
タツジ「牧?あの遺跡案内人か。研究所で少し話したかな」
レニ「まあ、しいなちゃん知ってるのですか」
しいなは少し冷静になりハマタツジと会話しようとした
しいな「あのー…。ここでレニさんと何を話してたんですか?」
タツジは答える
タツジ「うん。ここは神社だ。意外に遺跡と近い関係にある。そして巫女の研究…
ヒダンゲにはこういう遺跡と似たような場所だあるからちょっと下見してたんだよ
ただ、今日は神主不在だからそろそろ行こうかとは思ってたんだ」
しいな「けど、レニさんは普通の巫女だよ?」
レニ「それはわたくしも言いましたわ」
タツジはさらに言う
タツジ「今、アマリリスにはジャングルの奥地に遺跡があり、それの調査をしてる
だが、ヒダンゲは全く調査されていない。しかも遺跡の案内板もかすれて見えない
どれだけ放置されてるか、わかるだろう?」
しいな「わかる!公園にある遺跡行ったら案内板の文字が見えなかったです!
私、遺跡めぐりしてる身としては困ってました!」
その言葉を聞き、タツジはふと思った
タツジ「遺跡めぐり?君、遺跡に興味あるのかい?」
しいな「私と2人で遺跡部っていうの作って、遺跡の面白さをかいてるんです
牧さんも協力してくれてゲッカシティの遺跡を中心にかけめぐろうと思ってるんです」
タツジは言葉を聞いて喜んだ
タツジ「ほう!これは嬉しい話だな!まさか少女が遺跡に興味を持ってくれるとは!
未来の遺跡調査隊か?喜んで採用するよ」
採用とか言われてしまった
レニ「けど、まだ中学生なので…あまり遠くには行けないんですのよ」
タツジ「そうか中学生か…。ただ、遺跡を巡ってくれるだけ嬉しい」
しいな「ふふ、いつかヒダンゲ全部の遺跡をめぐるんだから」
タツジ「その意気込みだ。よし!今日は嬉しいニュースあったから帰るか!」
タツジはそろそろ帰るみたいだ
タツジ「じゃあ、巫女さん。また会うことになるだろう」
レニ「ええ。ただ発掘調査とかやめてくださいね」
タツジ「ははは。さすがにそれはしない。では」
タツジは去っていった
しいな「…いやーまさかハマタツジさんに会うなんて。思わなかったわ」
レニ「隊長だから色々しつこく言ってくるのかと思いましたが…案外物腰柔らかな人でたすかりました」
しいな「確かに優しそうな人…でも…」
レニ「でも、どうかされましたか?」
しいな「なんだろ…?確かに優しそうな人だけど雰囲気?っていうのかな
単なるヒューマンじゃない気がするのよ。極端な話、種族が違うというか…」
レニ「そうですわね。鬼でもない妖怪でもない…」
しいな「…ま、私の勘違いもあるかもしれないから違うかも!」
レニ「ええ。ところでしいなちゃんはここへ何をしに?」
しいな「レニさんとお話したかったの!」
レニ「いつもありがとうございます。そろそろわたくしも帰る支度しますから、一緒に帰りながら話ましょう」
しいな「うん!」
しいなとレニは笑顔で会話してた
ヒダンゲの夕日が綺麗に沈むとき、ハマタツジは帰りながらつぶやいていた
タツジ「遺跡部…なるほどな…ああいう若い連中が遺跡をめぐるとはな…。
最近の若者は全然捨てたもんじゃない。むしろ歓迎すべきだ。
だが、私たちは負けてはいない。やはりヒダンゲを全面的に調査すべきだ。
…ふふふ、この体になって多少は無理が効くようになった。
兄はこの体を強く否定していたが別に関係はない。
私は、私でありながら生きるんだ。ヒューマンなぞ関係は一切ない」
ヒダンゲの夕日。今日も綺麗であった
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