第4話冬の国の話

クリスタルウィンターシティ、天使協会総本山…

?「代表様」

天使協会代表室にある人物が入った

ミカエル「あら、ガブリエルじゃない。どうしたの?」

ガブリエル…副代表であり大天使でもある。黒く長い髪に4枚の天使の羽がある

性格は至って真面目で真面目ですぎるのが欠点でもある

ガブリエル「代表様、ちょっとお尋ねしたいことがありますがいいでしょうか?」

ガブリエルは恐る恐るというか真面目な口調で言った

ミカエル「いいわよ。あと代表様っていうのやめてほしいわ。普通にミカエル様でいいから」

ちょっとムッとした口調で言う

ガブリエル「はい、失礼しました。ミカエル様の娘様についてですが…」

ミカエル「アルエル?それがどうかしたの?」

ガブリエル「はい…、娘様が最近遅くに帰ってきてどうしたのかと」

ミカエルはそんなことか。と思い口にした

ミカエル「あの子、最近アルバイトしてるから遅いのよ」

ガブリエル「バイト…ですか。しかしバイトはたしかやってはいけないと…」

ミカエル「それはアルエルがまだ高校生のときでしょ。大学生になったからあの子も実際社会経験しなきゃ駄目なのよ

それに、私だっていつどうなるかわからないし。アルエルが経験積まなきゃどうしようもないじゃない」

ガブリエル「は、はぁ…それは言えてますね…」

ミカエル「そういうこと。だから遅くに帰っても決して怒らないでね」

ガブリエル「承知いたしました」

ガブリエルは律儀にお辞儀する

ミカエル「話はそれだけ?」

ガブリエル「はい。それだけでございます。失礼します」

ガブリエルが代表室から出る。代表室から出るとちょっとぼやく

ガブリエル「…最近の代表は色々と寛容になってる気がする。歳をとって丸くなったのだろうか?

しかし…アルエル様がそんなことを…。何か言われそうですが少し、見張ってないと駄目ですかね…」


クリスタルウィンター大学。昼ごはん時

食堂にはたくさんの学生が集まり賑わっていた。ここの大学は一流だけあって広い

さすがに全学生は入り切らないがそれでもたくさんの学生が入れるほど広い食堂だ

冬美と3人はいつもどおりに食堂で昼ごはんを食べてた

冬美「…?ミサゲどうしたの?雑誌なんか読んで」

ミサゲがどうやら週刊誌みたいな雑誌を読みながら特盛カレーを食べてた。マナーが悪い

ミサゲ「ん?ああ、たまたま暇つぶしに雑誌買ったらよ。面白い記事があったんだ

ほんとはとっとと捨てる予定だったが気になってな」

コーク「捨てるとかもったいないよー」

ミサゲ「コーク、雑誌はかさばるから捨てるに限るぞ」

ギン子「ミサゲの性格だから適当に講義室で捨てそうね」

ミサゲ「そんなことしねえ!」

冬美「で、あんたどんなの見てたの?」

冬美に言われてミサゲはさっと読んでたページを見開く

ミサゲ「これだよ。シダレカの今の首相ってハマリュウタロウだろ?で、その弟のハマタツジ!

色々なこと書かれてるぜ。噂というか都市伝説みたいなことも書かれてるしな」

冬美「へえ?ハマタツジって遺跡調査チームの隊長でしょ?あんた遺跡興味ないじゃない?」

ミサゲ「そうだけどよ。私もハマタツジっていう奴が気になったんだ」

コーク「ふーん?ちょっと見せてミサゲちゃん」

記事の内容は…ハマタツジは実は兄のハマリュウタロウと仲が悪く、すでにシダレカにはいない。

とかハマタツジはハマ一族の中では一番性格が悪く結構悪いことをしてた。とか

本当はすでに人間を辞め、違う種族ではないかという都市伝説…などかかれていた

冬美「なるほどねえ、謎が多い人物だから良からぬことも書かれているのね」

ギン子「読めば読むほど謎が深まるばかりね」

ミサゲ「遺跡調査の隊長なのはいいがここまで書かれるとさすがに本人気の毒だな」

そんなことを言いつつふと、一番騒いでる席に目をやる

ミサゲ「ああやって何も隠し事がない純粋な奴が一番生きていて楽しいのかもな」

その一番騒いでるという席が、アルエルがいる席である

アルエルの周りに人が集まっていてアルエルと喋っている

冬美「…アルエルは、私のよ」

コーク「ん?冬美ちゃん何か言った?」

冬美「え!?いや、何も言ってないわよ」

冬美はごまかすように発言した。しかしハーフアニマルで聴力の良いギン子には聞こえていた

ギン子(私のよ。とは言ってたけどもしかして…)


夕方に近い時間。講義が終わり4人はサークル活動…というより遊ぶために集まってた

活動とは言わず遊ぶようなサークルなのでなんのサークルかよくわからない

冬美「みんな集合したわね」

ミサゲ「おう!後はアルエルだけだろ?あいつ来るのか?」

ギン子「あら、ミサゲはアルエルのこと信用してないの?」

ミサゲ「違うわ!真面目そうだからこういうサークルに真面目に来てくれるか心配しただけだ!」

そう言うと遠くから声が聞こえた

アルエル「みなさーん!ぜい、ぜい…ああ、間に合ってよかった…」

アルエルが走って登場した。冬美は姿を見てほっとする

冬美「アルエル。来てくれたわね。嬉しいわ」

アルエル「ちょっといろんな人からサークル勧誘を断ってきて…遅れました」

コーク「アルエルちゃん勧誘の誘惑から逃げたなんて偉いなあ」

アルエル「いえいえ…冬美さんのサークルに行きたいからですよ」

息を整えてアルエルは笑顔になっていた

アルエル「さあ、行きましょう。また人から勧誘されると困るので!」

冬美「ええ。サークル室へ行きましょう」

5人はサークル室へと向かった

コーク(恐らく天使学科の取り巻きから勧誘されてんだろうなあ。忙しい人なんだ…)


サークル室に入り、5人は席に座る

冬美「さあ、今日は何をしましょう」

そう言うとミサゲが提案する

ミサゲ「私、もう一度トランプ勝負がしたい!アルエルの運はどれだけかまた試したいんだ!」

アルエル「え?前にやったババ抜きのことですか?けどあれはたまたまの運で…」

ミサゲ「いや、どうしてでも実力で勝ちたいんだ!」

コーク「ありゃ。ミサゲちゃんいつの間にかアルエルちゃんをライバル視してる」

ギン子「ミサゲ、あなたはドワーフだしアルエルは天使よ。桁違いに運が違うわ」

冬美「でもいいわ。じゃあ大貧民なんてどうかしら。これは実力もあるわ。アルエル、ルール知ってるわね?」

アルエル「はい。知ってます」

ミサゲ「よし…!私は今度こそ勝つ!」

冬美「ミサゲ、ちなみに言っておくけどアルエルを泣かしたらあんた絶交よ」

ミサゲ「そこまでしねえから!」

コーク「よーし頑張ってやるぞー」

トランプを配り札を見る

冬美「あと、今回はローカルルールとかいうの無しよ。8切りはありにするわ」

ミサゲ(うわ…なんだ3ばかりあるんだよ!おいおいこれで勝ち上がるのか!)

アルエル(あら…ジョーカーもあるし2が2つぐらいありますね…)

すでにミサゲとアルエルの表情からして差が生まれていた

ゲーム開始。いつもどおり3のカードから出し、カードを重ねていく

ミサゲ(一旦8切りして3をなるべく出しておくか…)

ギン子「はい、8切りと」

ギン子は8を出し流す

ミサゲ(う…なんでここで8出すんだよギン子!)

冬美(ミサゲの顔がますます険しくなってるわね)

ギン子「じゃあ、はい。5のダブル」

コーク「うーんダブルかー。じゃあ7のダブル」

コークがすっと出す

アルエル「えーと…あれ、これしかないですね…Kのダブル」

Kのダブルを出した

ミサゲ(くっそー!なんでそんなのしか出せないんだよ!)

ミサゲが心で発言した後

ミサゲ「…パス」

仏頂面で言う。どうもミサゲは高いカードを持っていないらしい

冬美(ミサゲの表情見てるともう勝敗決まってないかしら…)

その後も順調に出していた。そして

アルエル「あ。気がついたらもう3枚になりました」

ミサゲ「その3枚なんなんだ…」

そしてミサゲが最初に出す番になった

ミサゲ「よーし!6のカード3枚!これは出せないだろ!」

意気揚々に言葉を発して3枚出す

冬美「さすがに出せないわね。パス」

コーク「うーん。ボクもパスだね」

ギン子「私もパスよ」

ミサゲ「ふふ、勝ったな」

そう言い勝ちを確信したと思ったら

アルエル「あ。2を2枚出してジョーカーがありますから出せます。私が一番でした」

2を2枚とジョーカーを出しアルエルは一番で抜けた

ミサゲ「あ!あー!!なんでそんなのがー!」

冬美「…やっぱり運いいのはアルエルね」

コーク「さすがだなあ。強いよアルエルちゃん」

ミサゲ「くそ、くそー!」

ミサゲはものすごく悔しそうだった


結局5戦ぐらいしたが毎回1位がアルエルという結果になった。運がいい

ミサゲは結局ビリに近い順位で終わった。机で突っ伏してる

ミサゲ「…」

コーク「おーいミサゲちゃーん。息してるー?」

ギン子「コーク、ミサゲ今かなり傷ついてるからそっとしておこ」

冬美「さすがねアルエル。あなたが一番。おめでとう」

アルエル「ありがとうございます。なんだか…勝っちゃいました」

冬美「はい、優勝景品シュワシュワなやつ」

と、言い炭酸飲料を渡した

アルエル「あら…こういうのあまり飲んだことないから嬉しいです。ここで飲んでいいですか?」

冬美「ええ」

アルエルは蓋を開けて飲む

アルエル「ごく…ごく…。…はぁぁ、すごい美味しい…!炭酸飲料は美味しいんですね」

アルエルはとびっきりの笑顔になった

ギン子「アルエルってそんなに飲んだことないんだ?」

アルエル「はい。炭酸飲料ってあまり飲ませてくれなかったんですよ」

ギン子「あー、家柄っていうのあるのね」

冬美「ふふ、アルエルの笑顔見たところでそろそろ終わりにしましょうか

ミサゲ、いつまで落ち込んでるの。起きなさい」

冬美は突っ伏してるミサゲの頭を叩く

ミサゲ「いてっ!…はぁ」

アルエル「あ、あのミサゲさん。ごめんなさい私がかなり勝ってしまって…」

ミサゲ「いやいいんだ…。勝負は時の運…。ともいうしな。ははは…」

冬美「時の運どころか普通に負けててドワーフのあんたはヒューマンの私以下の運ね」

ミサゲ「うっ…!」

ミサゲはまた突っ伏してしまった

コーク「あー!ミサゲちゃーん!」


夜に近い夕方の時間…5人は帰宅しようとしてた。ミサゲは相変わらず落ち込んでたが

ギン子「本当にアルエルは勝負に強いわ。その運はどこから湧いて出てくるの?」

アルエル「いえ!私は運がいいというかただの偶然ですよ」

ミサゲ「偶然だったらどうしてそんなに強いんだ~…」

冬美「いつまで落ち込んでるのよ!でもアルエルの母親が大天使なんだし運は確実にあるわね」

アルエル「大天使…そうかもしれませんね…」

コーク「大天使の血筋を受け継いでるんだー。ボクにもその運分けてくれないかな?」

アルエル「うーん残念ですけどそういう祝福の術っていうのはないんですよ」

コーク「そっかあ。あると思ったんだけどなー」

そう言うとそれぞれの家に帰る道についた

ギン子「じゃ、冬美、またあしたね」

コーク「じゃあね冬美ちゃん」

ミサゲ「じゃあなー」

3人は去っていった

冬美「またねー…ってあれ?アルエルは?」

アルエル「冬美さん…少しだけ…お話があります」

アルエルはさっきと打って変わって少し真面目な顔をした

冬美「お話?」

アルエル「あの…私と…あの…休日、一緒に遊んでくれませんか?」

冬美はドキッとした。これはもしかして…

冬美「もしかして…デート?」

その言葉を聞いてアルエルは顔を赤くした。綺麗な顔が、赤くなった

アルエル「は、はい…どう、でしょうか…」

冬美「そんなの…良いに決まってるじゃない!嬉しいわ」

冬美は喜んでOKをした

アルエル「ありがとうございます。それを言いたくて私と冬美さんの二人きりになりたかったんです」

今度はアルエルはもじもじしていた

冬美「そうだったんだ…」

アルエル「本当は携帯電話のメールにしたかったんですが、こういうのは直で会って話さないと…」

冬美「そうね。雰囲気でるからね。わかったわ、今度の休日に行きましょう」

アルエル「ありがとうございます!…そうだ、後冬美さん、ちょっといいですか?」

冬美「?」

アルエルは冬美に向かって手を向けとある言葉を言った

アルエル「汝に奇跡があらんことを…祝福!」

その言葉を言った瞬間、一瞬だが光があり、そして消えた

冬美「…!? アルエル、これは…」

アルエル「…ふふふ、祝福の術ですよ。冬美さんは運命の人なので、これぐらいしておかないと」

冬美「だってさっきできないって言ってたのに?」

アルエル「それは嘘です。私だって嘘言います。大天使の娘なので色々な祝福の術を持っているんですよ」

冬美「そう…で、さっきの術の効果は?」

アルエル「この術は運の効果と魔除けの効果があります。運は全体を通しての運。

そして魔除けは悪いものを遠ざける術でもあります。しばらくの間は持続します」

冬美「アルエル…ありがとう」

アルエルは冬美の手をとった

アルエル「…ふふ、冬美さんの手、温かいです。ヒューマンとはこんなに温かいんですね」

冬美「天使のあなたも決して冷たくないじゃない。アルエル…」

アルエル「冬美さん…」

夜になった時間。二人は手をとってその場にいた


ユキノシタの夜。柔らかい月が二人を祝福してた



ミサゲの家…

ミサゲ「ふふふ。携帯ゲーム機のソフトで大貧民とかそういう色々できるゲーム買ったぜ

これで次に大貧民するときは絶対にアルエルに勝ってやる。そして難易度は高くして

アルエルと勝負するような形で行こう。今日はこれで夜ふかしだー!」

ミサゲが気合入れてゲームしようとしてた

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