第3話春の国の話

とある家。2人は出かけようとしてた

その2人というのはリリとネネの2人である

ネネ「今日はサクラ漁港へ行くんだよね?」

リリ「そうよ。轢沙子も今日暇なら一緒にお出かけしたいわね」

ネネがいるリリは普通の喋り方をする

ネネ「轢沙子さん今日はいるかな?」

リリ「確か彼女は土日祝日は仕事休みだったと聞くから大丈夫ね」

ネネ「あ!そうだ。カイさんと由美子さんも一緒にどう?」

リリ「あら。いいわね。じゃあ私から連絡入れて誘ってみるわ」

早速リリは携帯電話を取り出し2人に連絡のメールをしてみる

由美子は携帯電話を持っているが妖魔であるカイも携帯電話を持っている

恐らく2人は恋人同士なのだから連絡手段を持ってないといけないからだろう

リリ「…2人から返事が来たわ。うん。大丈夫そう。カイなんかノリノリのメールね」

ネネ「やったー!じゃあ後は轢沙子さんだけね」

リリ「さてと。彼女は起きてるかしら?」

2人は轢沙子の家へ早速向かう


ジリリりり!!

轢沙子の部屋に目覚まし時計のアラームが鳴る

アラームなら携帯電話でももちろん代用できるが携帯電話だと少し音量が小さいためか

轢沙子は普通の目覚まし時計を使っている。こっちのほうが起きられるからだ

轢沙子「…」

轢沙子は目覚まし時計のアラームを止める。起きてからなのでぼーっとしてる

轢沙子「今日は…あの夢…見なかったわね…」

あの夢…そう、連日で巫女が出てくる夢。今日はなぜかその夢を見なかった

あの夢はもう見なくなるのか?それともただ偶然見てないだけ?記憶になかっただけ?

轢沙子「悪夢じゃないんだけど…夢を見るのはあんまり寝れてないって証拠らしいし…」

もしかして仕事の疲れで身体と精神がおかしくなってるのでは?

もしそうなら仕事場にあるカウンセリング室へ向かおうか?

そんなことを考える。疑問は尽きない

轢沙子「あー…今日は休日だからゆっくりしてよ…」

轢沙子はふと携帯電話を見る

轢沙子「ん?リリからメール来てるじゃない?えーと…」

さっき届いたメールの内容を読む

轢沙子「サクラ漁港に行けないかしらぁ?今日はカイも由美子もいるわぁ。だって。

うーん。友人の誘いだし断るわけにはいかないから…わかったわ。行きましょう」

メールの返信をして早速準備を整えることにした


数十分後、リリとネネは轢沙子のアパートまで来た

彼女のアパートは小さいがそれなりに最低限のものは揃っている

築何年の建物で、まだ新しく思える。もちろん色々な種族が住んでいる

リリ「起きてるかしらね?」

ネネ「大丈夫だよ起きてるよ」

2人は轢沙子の部屋の玄関までたどり着く。インターホンを押す

ピンポーン

2人の轢沙子の反応を待つ。ガチャ…ドアがゆっくりと開いた

轢沙子「ああ、リリとネネ。おはよう」

リリ「おはよー!準備できたかしらぁ?」

ネネ「おはようございます轢沙子さん」

轢沙子「ええ。できてるわ。もう行くわね」

轢沙子は外出の準備ができてたので靴を履き、玄関を出た。もちろん鍵もしっかり閉めて…

3人は駅まで歩く

轢沙子は今日はあの夢を見てないせいか気持ちが穏やかであった

轢沙子「サクラ漁港なんて久しぶりね。あそこの市場はいつも賑わうからね」

リリ「しかもねぇ!サンマの祭りやってみるみたいなのよぉ!」

轢沙子「もうそんなシーズンなのね。確か無償配布だっけ?」

ネネ「そうですよ!サクラ漁港で捕れるサンマは美味しいって評判ですし!」

轢沙子「なるほどね。いまからお腹すいてしまうわ」

リリ「バリバリ食ってしまうわぁ」

轢沙子「まあリリの食欲ならサンマの骨ごと食ってしまいそうね…」

轢沙子は笑う。リリも笑っていたため結構本当の話である

リリは肉が好きだが魚も結構好きである。その際魚の骨も関係なく胃袋に収める



3人はシダレカ鉄道に乗る前にカイと由美子の待ち合わせをしてた

待ち合わせ場所は駅すぐそばにある遺跡

果たして遺跡といえるかわからないほど小さな遺跡ではあるが街に人にとってはちょうどいい場所

国をあげての解析チームもここはすぐに研究が終わってしまったほど

轢沙子「ところでシダレカ鉄道より地下鉄のほうがいいんじゃない?」

リリ「そうなんだけどぉ、サクラ漁港に行くなら地上の鉄道に乗ったほうが早いのよぉ!」

轢沙子「あら?そうだったの?サクラ漁港なんて1年に行くか行かないか程度だし」

ネネ「確かに。けど、今は結構賑わってますよ」

そうこうしてる内にカイと由美子が来た

カイ「やふー!3人とも!」

由美子「今日は誘ってくれてありがとうな」

カイと由美子はリリとネネをもちろん知っている

カイに至っては新鮮な魚介類をリリの家まで送ってくれるほどの仲である

そのことに関してリリは非常に感謝してる。ちなみに、たまにだが轢沙子の家に魚介類を送るときもある

また、由美子の勤めている駄菓子屋はネネにとって常連であって学校帰りにほぼ毎日立ち寄ってる

由美子「しかし5人が集まるのは久しぶりじゃないか?」

カイ「あ!言われてみれば~」

リリ「ここんとこ忙しかったからねぇ!やっぱり5人で行くのは楽しくなるわぁ!」

ネネ「私もカイさんと由美子さんに会えるだけでも嬉しいです」

轢沙子「さあ、電車に乗りましょう」

5人は意気揚々に電車に乗る


ガタンゴトン…ガタンゴトン…

シダレカ地上鉄道は急がずに進んでいった。晴れの日。心地良い天気

シダレカ鉄道の電車はかっこいい車両が多く、写真映えする電車ばかり

そのためめか撮り鉄がたくさんいることが多い。特に他の国からの撮り鉄が多い

車両の中は人がまあまあいたが座れる程度の人だったのでリリ、ネネ、カイは座った

ちなみに立ってるのは轢沙子と由美子

サクラ漁港への駅はその鉄道の終点である

轢沙子「今日はのんびりしようかと思ったけど誘われたから来たわ」

カイ「カイも一緒ね!」

由美子「アタシもそうだねえ。けど美味しそうなイベントがあるなら行きたいからな」

そうこうしてる内にとある駅に着くと人がどどっと入ってきた

ネネ「わぁ、たくさん人が来た」

リリ「みんなきっとサクラ漁港へ行くのねぇ!目的は同じだわぁ!」

由美子「行ったのはいいが祭りが早く終わったらよくないな」

カイ「由美子、心配いらないわ。サンマはめちゃあるから大丈夫よ」

リリ「カイの言う通りよぉ。数千人来ても大丈夫なほどサンマは尽きないわぁ!」

由美子「そうか。なら安心だな」

そう言いつつ電車は終点まで向かう


車掌「次はサクラ漁港ー サクラ漁港ー 終点です」

サクラ漁港の駅に着いた。人がたくさん降りる

5人は駅を出ると早速サクラ漁港へと向かう。今日は祭りだからか人がものすごい多い

漁港と言うだけあって店も多い。また人が住む家もある

すでにサンマ目当てなのか人が祭り会場に向けて集まっていた

5人はその光景に驚いていた

轢沙子「すごい人ね!リョクジシティの人混み並じゃない?」

リリ「似てるわぁ!…ネネ、離れちゃダメよ?」

ネネ「大丈夫だよー。私小さくないしー」

轢沙子「大切な子供なんだから心配してくれてるのよ」

ネネ「私そこまで子供じゃないし!」

カイ「ネネはまだ中学生だからね」

ネネ「そ、そっかー」

5人は人混みの中会場に向かう

店員「サンマ祭り会場、こちらへ進んでくださーい。整理券を配りまーす!そしてそろそろサンマが焼けまーす!」

5人は整理券を渡され行列を待つことに

カイ「なんだかサンマが焼けるいいかおりがしてきたわ」

リリ「いいにおいねぇ!美味しいサンマが食べられるとなるとお腹すいてくるわぁ!」

そして突然ぐ~っと音がなる。轢沙子のほうからだった

轢沙子「…そういえば朝何も食べていないんだった…」

由美子「おいおい朝はきちんと食べろよ」

ネネ「何かダイエットしてるんですか?」

轢沙子「いやいやあのメール来てから食べてないのよ」

リリ「朝昼晩はきっちり食べる!基本よぉ!」

リリが声を大にして言った

轢沙子「わかってるわよ…大きい声で言わなくてもよろしい」

列が動いた。配布されたらしい

カイ「列が動いたわね。いよいよね」

人が次々とサンマをもらう。5人は焼いたサンマを手渡され用意されたであろう椅子に座る

ネネ「わー!美味しそう!いただきまーす!」

リリ「ネネ、ゆっくり食べなさい」

ネネ「いや、お母さんこそいきなり頭から食べようとしないで。ちゃんと割り箸使って」

轢沙子「まるでたいやきを頭から食う派かしら」

由美子「アタシはしっぽから食う派だ」

轢沙子「今関係なくない?」

カイ「とにかくいただいちゃいましょ!」

5人はサンマを食べた

リリ「ん~!!最高に美味しいわぁ!!」

轢沙子「脂が乗ってて最高ね」

ネネ「美味しい!」

カイ「これがこのシーズンの美味しさね」

由美子「かぼすをかけると更に美味しいな!」

5人は無我夢中で食べていた。ちなみにリリは頭から食べていた

そして食べ終えた

轢沙子「美味しかったわね」

リリ「うーん!最高!」

ネネ「とても美味しくよかったです」

カイ「サンマは焼き立てが一番よね」

由美子「ああ。これほどまでに美味しいとな」

サンマは美味しく、完食。5人が満足するかと思いきや…

轢沙子「…ひとつ、言いたいけどいいかしら?」

リリ「あらぁ。私も言いたいことあったわぁ」

ネネ「うん。私もです」

カイ「カイもなんとなく思ったわ」

由美子「アタシもそうだな…。轢沙子、代表して言ってみな」

轢沙子が発言する

轢沙子「これじゃあ、昼ごはんにならなくない?」

轢沙子が言うと4人はゆっくりとうなずいた

確かにサンマは美味しく十分すぎるほど美味であった

しかし、何よりも量が少ない。そもそも1人1匹である

これ以上はもらえないシステム。しかも整理券は1人1枚なので無理であった

リリ「正直言うと、私はこれじゃあ夕方になるとお腹がすくわぁ」

食べるのが少なかったせいかちょっと不満げのリリ

ネネ「中学生の私もこの量じゃ…って感じです」

由美子「おいおいどうするんだよ」

カイ「由美子安心して、この漁港はまだ店があるから、追加で食べない?」

リリ「あ!そうねぇ!そうしましょうかぁ!」

轢沙子「じゃあとりあえず一旦ここから離れて店に行きますか」

5人はサンマ会場を離れ、店を探すことにした


リリ「んんん~!!海鮮丼美味しすぎるわぁ~!!」

ネネ「よかったお母さんが笑顔になって…この海鮮丼美味しい!」

5人はちょうどすいていた店に入りそこでサクラ漁港店名物

『ハイパー海鮮丼』という丼ものを食べていた

まぐろ、サーモンといった魚がどどんと丼ぶりに入っており

食べる人はまず満足する量だった。ちなみに値段も漁港から直接仕入れており

大きいものでも800G。更に特盛でも1000Gである

轢沙子「あ~、やっと食べた気がしてきたわ…」

カイ「サンマはよかったんだけど量がね」

由美子「アタシもこれぐらい食べてちょっと体重増えないかな…」

轢沙子「あんた亡霊だしね」

由美子「そうなんだよな。亡霊になってから体重が増えないんだよ」

カイ「けどそんなことしなくても由美子は由美子のままが一番よ」

由美子「ありがとうな」

轢沙子「いちゃつくなら他所でやってね?」

轢沙子が声を低くして言う

カイ「あ。ごめん」

由美子は相変わらずノンセクシャル疑惑ある奴だな…と心でつぶやいた


カイ「市場行きましょう!」

店を出ると突然カイが言った

リリ「市場?いいわねぇ!どんなとこがいいかしらぁ?」

カイ「あのね、市場の店でカイの友人がいるの!」

由美子「友人?そう言えば前言ってた働く妖魔か」

カイ「そうなの~!行こ!」

5人は友人がいる市場へと向かった

市場は人で観光客、漁師、店員で賑わっていた

もちろん入れる場所、入れない場所はあるが5人は店があるほうへ向かった

カイ「えーと…ここだ。おーいラツナちゃーん!」

ラツナという人物を言うとちょうど店から女性が出てきた

ラツナ「あ!カイちゃんじゃん!久しぶりだね~」

カイ「そうでもないわよ!1ヶ月ぶりよ!」

轢沙子「彼女がここの店員さん?」

ラツナ「どうも!種族は妖魔で日向ラツナと言います」

ラツナは笑顔でお辞儀した

リリ「あらぁ!カイちゃんと同じぐらい可愛いわねぇ!」

ラツナ「いえいえ滅相もない…」

ラツナはちょっと顔を赤くした

カイ「ねえねえ、もちろん売るものあるよね?」

ラツナ「そりゃあるよー!今日も新鮮な魚介類多いんだから!」

新鮮な魚介類…本当に色々あって美味しそうである

轢沙子「うーん何を買うか悩むわね」

リリ「あらぁ!食べたかった魚あるじゃない!」

ネネ「わーこのホタテ美味しそう!」

轢沙子とリリとネネは興味津々だ

ラツナ「なんでもいいですよ~!」

カイ「じゃあ私の友人ってことでちょっとぐら値引きしてくれていい?」

ラツナ「え!?」

リリ「ほんとぉ!?ならこの魚と魚と貝類!」

ネネ「お母さん、ついでにホタテも買いたいよ」

リリ「んじゃそれも追加ぁ!」

轢沙子「久しぶりに魚でも焼こうかしら。この魚ください」

由美子「おーならこの捌いてる魚もらおうかな」

ラツナ「ちょっとちょ、急にそんなこと言われてもー!」

カイ「ラツナちゃんとの仲だからいいじゃん!…ね?」

カイ、ここで謎の潤んだ瞳の上目遣い

ラツナ「あー!わかりましたぁー!2割引きさせていただきますー!」

ラツナ突如叩き売りのようなセリフを言う

つまりラツナ、若干やけくそモード

リリ「まぁ!そんな安くしてくれるなら十分に買っちゃうわぁ!」

ネネ「ラツナさんありがとう!」

轢沙子「嬉しいわね。値引きされたの助かるわ」

カイ「ありがとー!あ、カイはいいから4人に買ってあげてね」

ラツナ「はいー!購入ありがとうございますー!!」


夕方

帰り道。5人は電車に乗って帰っていった

リリ「値引きしてくれたおかげで随分買えたわぁ!今日は魚料理決定ねぇ!」

ネネ「やったー!美味しい魚食べられるの嬉しい!」

由美子「つかラツナかなり無理してような感じだが大丈夫か?」

カイ「大丈夫だm…友人なんだし全然大丈夫よ」

轢沙子「ケースバイケースっていう言葉あるけど…まあいいか」

5人が乗った電車は急ぐ速さでもなく、ゆっくりと住宅街へと走っていった


シダレカの夕日。ヒダンゲとは負けるがそれでも美しい夕日だった






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