第2話秋の国の話

紺田牧はツアー客に説明をしてた。もちろん遺跡のことである

大人数でツアー客が押し寄せたのだから牧は大声で説明をする

牧「…ここはいつ作られたのかはわかりませんが国が作られる前から存在したと言われる遺跡です

そして不思議な模様、謎の石、よくわからない地形にここは存在しています

最近の研究では先住民族が作られたのではないかと言われています」

ツアー客は半数が真剣に聞き、半数がお喋りに夢中だった

牧(はぁ、全然聞いてない客いるわね。困ったわ…私の声がよくないのかしら…)

牧はこころの中でため息をついた


ゲッカシティ中学校、放課後

しいな、マーガレット、シャニオンは生徒会室へ向かう途中だった

この前、遺跡めぐりの部活を作ろうと話していたからだ

しいな「今日は絶対部活を作るわ!」

マーガレット「しかし、部活なんてそう簡単につくれるのか?ましてやマイナーな部活を」

シャニオン「ウチはできると思っています。だって今までにない部活ですから」

しいなは意気揚々。マーガレットは不安。シャニオンは自信満々

生徒会室に着いた

しいな「さあ、開けるよ!」

マーガレット「お、おう。静かにな」

静かにと言ったのにしいなはバン!と扉を開けた

しいな「たのもーーーーーーーーー!!」

マーガレット「お前!道場破りじゃねえぞ!!」

しいなの声とマーガレットのツッコミが同時に発した

生徒会室はちょうど会議中だったのか突然の大声に生徒会員全員3人に目が行った

生徒会長「え!?なんですか一体!?」

生徒会長、生徒会員はさすがにびっくりしていた。生徒会の担当の先生2人も驚いていた

しいな「生徒会長!頼みがあります!」

マーガレット「いや、その前に謝れって!」

しいなはずんずんと生徒会長の前に向かう。慌ててマーガレットとシャニオンは後を追う

しいな「生徒会長!私たち3人!新たな部活を作りたいです!」

生徒会長「え!?急に!?けどいきなり言われても困ります!だいたい今会議中です!」

生徒会長、ちょっとキレ気味に発言する

先生「まあまあいいじゃないか。どんな部活を作るんだい?」

先生は話を聞こうとしてた

しいな「遺跡めぐりを主体とする遺跡部を作りたいです!遺跡を巡ったらレポート作成!

それを掲示板に貼って遺跡の楽しさを生徒みんなに伝える部活です!」

しいな、勢いで言う

生徒会長「そ、それは…。あのー…先生、いかがでしょうか?」

先生「うーん。君たち。まずどういうレポートなのか、見せてみなさい?」

しいな「う…!それは…!」

マーガレット「え…?そんなのありませんが…」

いきなり図星を指されてしいなとマーガレットは困惑してしまった

先生「それがないのなら、いきなり部活を作るってことはできな…」

しかし、シャニオンはカバンから紙を取り出した

シャニオン「ウチ、突貫工事ですがレポートを作成してました。先生、どうぞ」

マーガレット「シャオニン!お前やっぱり優秀すぎる!」

しいな「ありがとうシャニオンちゃん!!」

妖怪シャオニンは優秀。しいなとマーガレットは心から感謝した

先生「…ふむふむ。つまりこの国の遺跡を巡ってこういうレポートを作るのか…ふむふむ…」

生徒会長「なるほど…これは…少しですが興味をそそられますね…」

先生、生徒会長はある程度レポートを見て、再び3人に目を向ける

先生「実に面白いじゃないか。これは面白い。だったら、部活を作ってもいいかもしれないな」

しいな「え!?ほんとですか!?」

先生「あとは顧問がいないとだめだが…」

女先生「あ、なら私が顧問になりましょうか?」

もうひとりの先生が手を上げた。社会科の先生である

先生「八代さん。いいのですか?」

八代「ええ。私も遺跡に関してかなり興味がありますし、この子たちの勢いならできそうですし」

先生「…よしわかった。人数が少ないのが気になるが、仮として遺跡部を認めよう」

生徒会長「いいんですか!?」

先生「熱意がありそうだしいいじゃないか」

しいな「やったー!!」

先生「ただし!だ」

先生は追加で言う

先生「もし、活動記録が無くなってしまったらその部は即、廃部だ!その覚悟はあるか?」

ゲッカシティ中学校は部活動の活動が無くなると即廃部になるという規則がある

それゆえたくさんの突貫部活が無くなってしまってるケースがある

しかし、しいなは動じずなぜかポーズをとり

しいな「覚悟、完 了 !」

マーガレット「お前は特撮ヒーローか」

シャニオン「ぷぷ…」

シャニオン、この時点で笑う

先生「ははは。面白い。大丈夫そうだな。ではやりやすいように部室もあげよう

しっかり部活動を忘れずにな!」


生徒会室を出て、部室の鍵を渡され向かう3人

しいな「いやー!ほんとに言ってみるもんね!これで部活動ができるわ!」

マーガレット「最初お前が道場破りみたいな入り方したとき俺、どうなるかわかんなかったな」

シャニオン「けど本格的に部活動ができるようになって、ウチ嬉しいです」

しいな「いやいや、シャニオンちゃんのファインプレーよ!レポートが無かったら…

シャニオンちゃん、好き。キスして?」

マーガレット「急に百合になるな」

シャニオン「え?…はい、優しくキスしてください」

マーガレット「シャニオンもノリに乗るな」

指定された部室のドアを明け部室に入り、ちょうどいい広さにちょっと感動する

しいな「おお…これならレポート作成も十分できるね!」

マーガレット「いや、十分すぎるだろ…これが空き部屋とは信じられねーな」

シャニオン「はい。机もありますし、これならでかいレポートも作成可能です」

八代「ふふ、なんだかいいわねこの室内」

いつの間にか社会科の先生、八代がいた

しいな「あ!八代先生!」

八代「顧問関係も安心してね。私も遺跡が好きだから顧問になりたかったし」

マーガレット「先生ありがとうございます」

八代「いいのよ。今日はもう時間が遅いから帰るといいわ。後日、また会議でもしましょう」

しいな「毎日やっちゃいますよ~!」

マーガレット「毎日はできんだろ」


帰り道、3人はいつもどおりに帰る

夕方、ヒダンゲの夕日はとても綺麗であり写真映えすると好評

別の国に例えるとアマリリスのビーチの夕日も綺麗なのだが

ヒダンゲに至ってはどこでも綺麗である

しいな「ねえねえ、部活ができた記念に牧さんが言ってたせんべい屋行かない?」

マーガレット「は?買い食い禁止だろ?」

しいな「いいじゃん!ほら、お金持ってきてる!」

マーガレット「お前なあ…。まあ、俺も金持っているしいいか」

シャニオン「ウチも持ってきてますよ」

しいな「じゃあ、いきましょう」

ゲッカシティ駅の近くにあるせんべい屋に到着する

ここは50年続くせんべい屋で人気があるという

さっそく店の中に入ると…

しいな「あれ?牧さんにレニさん!」

牧さん「おや?帰りなの?」

レニ「こんにちはしいなさんたち。今日もお疲れ様です」

ちょうど牧とレニがいた

マーガレット「牧さんとレニさん!2人もせんべい買うんですか?」

牧「ええそうよ。実はレニが行きたがってたとこなの。ねえレニ?」

レニ「そうなのよ。牧ちゃんの勧めでここに来たの」

シャニオン「2人ともせんべいが好きなんですね」

しいな「私たちもせんべい買おうとしてたの!部活ができた祝いでね!」

牧「あら!そうなの?おめでとう。これで全面協力できるわね」

レニ「それは嬉しいお知らせですね。おめでとうございます」

牧「あなたたちも買おうとしたの?なら奢ってあげるわ」

しいな「ほんとに!嬉しい!こちらこそありがとう!」

5人はせんべいを買い公園のベンチに座る

しいな「ここの国の夕日って綺麗よね」

マーガレット「そうだなあ。すぐに暗くなっちゃうけど夕日が綺麗だな」

シャニオン「ウチもこの夕日大好きです」

牧「この夕日はこの国の誇りよ」

レニ「綺麗ですよね。わたくしもこの夕日が気に入ってます」

せんべいを食べながら5人は語っている

牧「それでいつぐらいに始動するの?」

しいな「もうさっさとはじめていいって!じゃないと廃部にされちゃうから」

レニ「そういえばゲッカシティ中学校は活動がないと即廃部って聞きますわね」

マーガレット「それが怖いんですよ。熱意が無くなってしまうと…」

シャニオン「マーガレット先輩。先の不安より部活ができる喜びを噛みしめません?」

マーガレット「お、おうそうだな…。いきなりネガティブじゃだめだよな」

牧「期待できそうねえ~!あ、そうだ。遺跡に関して他の国だけど最新情報教えましょうか?」

しいな「え!なになに聞きたい!」

牧は一呼吸置いて、発言する

牧「あのね。前にアマリリスジャングルから巨大遺跡が発見されたってニュースがあったじゃない?」

しいな「うんうん。そのニュース見てたよ」

シャニオン「かなりのニュースになってましたね」

牧「更に新情報。巨大遺跡の周りを探索したら竪穴住居っぽいのが発見されてそこを調べると

遺骨みたいなのが出没したの。で、その遺骨は今から1000年前の遺骨かもしれないって!

前に言った先住民族がいたんじゃないかっていう仮説が本当になったのよ!」

マーガレット「おおーなんていうビッグニュースだ」

牧「まだ研究してるけど、これでこの大陸の新発見から先住民族がいたってことになったわね」

レニ「その情報聞いたら本当に驚きました」

しいな「わ~!けどその情報レポートにかいてもいいの?」

牧「どうせこのニュースも後でテレビで伝えられるわ。遠慮せずかいていいわ」

しいな「最新情報ありがとう!」

牧「いえいえどういたしまして」

今日は案内人に新しい情報が入ること自体嬉しい報告だった

レニ「わたくしも遺跡を巡ってみたいですわ」

しいな「レニさんも休日が重なったら行かない?」

レニ「いいのですか?嬉しいです」

マーガレット「牧さんもいれば遺跡巡り楽しくなりそうだな」

牧「タイミングがあったら、巡ってみましょう」

しいな「嬉しいなあ~楽しみ!」

せんべいを食べ終え、夜になるまで会話をしてた5人であった


帰り道、牧がふと思い出したかのように言う

牧「ねえ、連絡先交換しましょう?」

しいな「あ。ごめん。まだ携帯電話持ってないんだ…」

牧「あ…そうだったあなたたち中学生ね。中学生が携帯電話持ってないわ」

マーガレット「ごめんなさい。俺も持っていないんです」

シャニオン「ウチもです」

牧「うーん…パソコンとか持ってる?」

しいな「パソコンならあるよ。ネットも繋がってるし」

シャニオン「ウチもパソコンのメールアドレスあります」

牧「ならパソコンのメールにしましょう。アドレスはこうなってて…」

牧がメールアドレスを説明した

しいな「ありがとう!メール楽しみだな!」

牧「最新情報をいつでも送るわ。それじゃあね!」

5人は自分の家へと帰っていった



夜。牧の自宅

牧「しかしいきなり部活ができるとは思わなかったわ…

どういう経緯かしらないけど熱意と情熱が勝ったのかしら…

けど、あの3人に色々話せそう。極秘情報はちょっと無理だけど

ある程度話せることなら全部教えてしまいますか」

そんなこと言いながら明日の準備をする牧であった


ヒダンゲの夜は涼しいが、気持ちいい涼しさだった

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