第1話秋の国の話

秋の国ヒダンゲ。とある小学校

昼休み、板崎しいなはなんとなく小学校の図書室に入る

もちろん、面白そうな本を見つけるためだ

しいな「面白そうな本、あったらいいな~」

本棚めぐりをしてふと、気になる本を見つけた

しいな「ん?なにこれ?『小学生でもわかる遺跡』

…遺跡?そういえば前にニュースで見たわね?」

しいなは試しにその本を読んだ


しいな「…すごーい!すごい!遺跡ってこんな楽しいんだ!遺跡巡りしたい!したいわ!」

しいなは目を輝かせ、遺跡巡りをしたいと決心した

そんな偶然の読書


秋の国ヒダンゲ。ここは常時涼しい気候で4つの国の中でも一番過ごしやすい国とも言われている

過ごしやすいというと春の国もそうなのだが夏のシーズンが来ると一気に暑くなってしまう

それゆえシダレカの繁華街と住宅街はコンクリートジャングルに近いため結局暑い

しかしヒダンゲはコンクリート建造が少ないせいか夏は暑くなく涼しい気候になる

ヒダンゲは過ごしやすいのかテレビに出てる有名な著名人がこっそり暮らしてる

そして大きい面積の畑。何ヘクタールの牧場

農作物、畜産物、どこをとっても美味しく毎日美味しいものを食べられるのはこの国の大きな利点

ただ、4つの国の中では一番の田舎。という欠点がある。首都ゲッカシティ以外は全部村だからだ

それでも今、最も注目されている国である


昼過ぎ…中学生2年になった板崎しいなは神社へと向かう。いつもお世話になってる巫女さんに会うためだ

その巫女はエルフでありながら綺麗で素敵で心優しく、巫女にはピッタリの女性だ

しいな「いつもわくわくしちゃう!レニさんに会いたいな!」

階段を上り神社に着いた。ちょうど境内を掃き掃除してる巫女がいた

しいな「! レニさん!私だよ!しいなだよ!」

巫女はその声に反応して振り返った

レニ「あら…こんにちはしいなちゃん。遺跡めぐりはしたんですか?」

レニ・ウォーリー。エルフでありながら巫女という職業に就いてる女性

しいなとは会ったときから仲良くしてる人である

しいな「こんにちは!えーとね、これから友達と一緒に行くのよ。けどその前にレニさんに会いたかったの!」

レニ「まあ、いつもありがとうございます。会いたいだなんて嬉しいですわ」

レニは優しい顔で微笑む

しいな「ここのアヤメ神社大好きだし、レニさんも大好きだからさ!毎日いきたいからね!」

アヤメ神社…ヒダンゲの神社の中では有名な神社であり様々な種族の巫女がいる

年明けにもなると初詣で参拝する人がたくさんいる。が、レニは人混みが嫌いなためあまり気が向かない

レニ「私と神社が好きで嬉しいですわ」

しいな「うん。だからちゃんとお賽銭入れておくね!」

レニ「ありがとうございますわ」

しいなはお賽銭箱にいきお金を入れパンパンと拍手をして礼をする

しいな「終わった。じゃ、レニさんまたね!」

レニ「はい。いつもご苦労さまです」

しいなは神社を後にした


しいなは友達二人が待つ集合場所へ向かう

集合場所は駅近くのオブジェだ。時間がないから小走りで向かう

しいな「ふーようやく着きそう。あ、マーガレットとシャニオンちゃん!」

オブジェにいる二人の少女に呼びかける

マーガレット「しいなー!遅刻に近いよ!どこで油売ってたんだ!」

シャニオン「ま、まあまあ先輩、ちゃんと来たんだしいいじゃないですか」

マーガレット・バーバーコートニーとシャオニン。

マーガレットは天使でしいなの親友。天使だが活発な子だ

シャオニンは臆病だが頭脳明晰。趣味はしいなと同じ遺跡めぐりだ

しいな「言ったでしょー。神社に行ってからそっち向かうって」

マーガレット「直接来れないのかよ?まあいいか」

シャニオン「あ、あの先輩。今日はどちらに?」

しいな「今日はあの遺跡に向かうわ!」

マーガレット「いや!どこだよ!」

しいな「ニョッカ村近くの遺跡!」

マーガレット「あー。まあそこなら歩いてでもいけるね」

シャニオン「電車でも行けますけど、歩いたほうがいいですよね」

しいな「そうよ。じゃあ向かおうか!」

3人はてくてくと歩き始めた。実はそこまで時間はかからない


歩いてる道中、マーガレットがふと思った

マーガレット「あのさー前から思ったんだけどさ」

しいな「ん?」

マーガレット「私たちの遺跡巡りを部活にしてみない?だって趣味でやるのもいいけど形にしたいじゃん?」

しいな「あ!いいねそれ!前からやってみたいと思ったわ」

マーガレット「前からやってみたいと思ったならさっさと発案しろよ!」

シャニオン「まあまあ先輩たち…確かにウチもその案に賛成です」

しいな「じゃあ、学校行ったらちょっと生徒会に頼んでみよう!あとは顧問の先生だね」

マーガレット「顧問誰かいるか?まあ、規制のゆるい学校だからすんなりできたりね」

シャニオン「顧問、ウチの予想ではあの社会の先生あたりが大丈夫だと思います」

マーガレット「あの先生、顧問になれるかな」

しいな「頼んでみなきゃわからないよ!よーし、気合入るぞー!」

マーガレット「もう部活になった前提のはしゃぎ方だな…」

ゲッカシティ中学校はたくさんの部活がある

中学校自体は極端なたとえクリスタルウィンター大学ほどではないが

しっかりとした市立中学校であり子供のできることならなんでも形にしたいという方針である

シャニオン「では、もし部活になったら何をしましょうか?行った遺跡のレポート作成します?」

しいな「それけってー!あと写真バンバン貼り付けてしまおうよ!」

マーガレット「すっげーシンプルだなおい」

しいな「シンプルでいいじゃん!カメラ持っておいてよかった」

そんな会話をしながら目的地の遺跡へとたどり着く


マーガレット「着いた。ここかー…。結構シンプルな遺跡な…」

ニョッカ村近くの遺跡に着いた。ここは不思議な模様をした大きい石やどうやって乗ったかわからない

大きい石の上に石がある

しいな「まずは写真でも撮ろうかしら。シャニオンちゃんよろしく」

シャニオン「あ、はい…」

シャニオンが気になる部分の遺跡を写真に撮っていた

しいな「いえーい、シャニオンちゃん。ピース」

シャニオン「え!?」

マーガレット「しいな!ピースするのは絶対違うからやめろ!」

しいな「えー」

マーガレット「えー。じゃない!」

謎の漫才をしつつある程度写真に収めた

しいな「色々遺跡回ったけど、ここもまた他の遺跡とは違う雰囲気するわね」

マーガレット「そうだなあ。つか一つ一つの遺跡自体違うんだよな」

シャニオン「他の国…例えばシダレカだと遺跡はどうなってんでしょうか?」

シャニオンが言葉を発すると後ろから声が聞こえた

?「シダレカはほとんど街のど真ん中に遺跡があるわよ」

しいな「ん!?誰!?」

3人が振り返るとそこには高身長の女性がいた

しいな「あ!牧さんじゃん!」

牧「やあ、3人。今日も遺跡巡りご苦労さまね」

紺田牧…彼女は遺跡巡りツアーの案内人であり

3人のことはよく知っている。種族は亡霊だが基本優しい人である

巫女のレニのことは友人でありちょくちょく会ってる

マーガレット「牧さん!牧さんもここに来たんですか?」

牧「そうね。実は今度アマリリスから大量の客がここに来てツアーするっていうのよ。

だから一応確認だけしてどういうふうに案内するかなーって考えてここに来てただけ」

シャニオン「なるほど。あのー、さっき言ってたシダレカの遺跡とは?」

しいな「ねえ、牧さん。他の国とは遺跡が違うの?」

ようやく本題に入った

牧「そうよ。シダレカは繁華街や商店街のど真ん中に遺跡があるしユキノウエは雪原の中にポツンとあるし

最近の情報だとアマリリスジャングルの奥地にでかい遺跡があったって情報があるわ」

しいな「面白ーい!やっぱり国によっては遺跡のあり方が違うのね!」

マーガレット「シダレカが面白いな。街のど真ん中に遺跡あるとか迷惑すぎるだろ」

シャニオン「雪原の中に遺跡があるなんてロマンチックでたまりません」

牧の解説は続く

牧「けどね。シダレカのように建築の邪魔だからと言って取り除くことはしないって国から言われているわ

だいたい謎が多すぎるのよ。一応先住民族が作ったんじゃないかって仮説はあるんだけど

先住民族自体どこにいたかわからない状態だし謎の模様はどういう意味なのかまだ解析が進んでないのよ

それと天使か悪魔どっちかが遺跡を作ったんじゃないかって仮説もあったんだけどどちらの協会代表者に聞いても

そんなデータは残っていないって言われてこの仮説は没になってしまったわ

あと、どの国にも遺跡はたくさんあるから解析チームがあっちこっち行って研究してるの。大変なの」

3人は遺跡事情を聞きうなずいていた

しいな「そうなんだ~。勉強になるなあ」

マーガレット「おい、しいな。この事覚えておけよ」

シャニオン「いえ先輩。しっかり覚えてるので大丈夫ですよ」

マーガレット「いや、いつもシャニオンばかりに頼るのはよくないしな…」

牧「そんな感じかしらね。これも後から知った話なんだけどね」

しいな「勉強になったわ!ありがとう牧さん!」

牧「ふふ、あなたたちが満足できたなら私も解説してよかったと思うわ」

しいな「うーなんかお腹すいた」

マーガレット「ここでかよ!?」

牧「あら?だったら用意してたせんべいがあるわよ」

しいな「やったー!いただきます!」

シャニオン「手にとるの早いですね先輩…」

4人はお菓子タイムとなった



しいな「牧さんのおせんべい美味しい!どこの店のおせんべいなの?」

牧「ありがとう。ゲッカシティにあるわ。その店美味しいからいつも買ってきて

暇になったら食べてるのよ」

マーガレット「牧さんはグルメなイメージありますね」

牧「いやあ~別に好物のおせんべいを求めたいだけよ。好きな物ならなんでもいいわ」

シャニオン「好きな物なら求めたい…そんな姿勢を見習いたいです」

ふと気がつくとそろそろ夕方になっていた

しいな「あ!もうこんな時間じゃん。ここの国は夜になるの早いしなあ」

牧「あら?じゃあ車で近くまで送ってあげましょうか?」

マーガレット「ほんとですか!?いいんですか!」

牧「いいわよ~。車の人数ピッタリに乗れるしね」

しいな「やったー!」

3人は牧の乗ってる車にのりその場を後にした

夕方とは言えど、もう真っ暗になりそうな時間だ

牧「3人はこれからも遺跡巡りするの?」

しいな「うん!あと部活を作ろうかって話にもなってるし」

牧「部活ねえ。懐かしいわね。もしできたのなら全面協力してあげるわ」

マーガレット「いいんですか!?」

牧「ええ、いいわよ。専門家よりも知識はないけどある程度なら教えてあげる」

シャニオン「ありがとうございます牧さん」

しいな「牧さんが先生だったらいいのになあ」

牧「先生じゃないけどね…」

牧は苦笑してた


ゲッカシティ住宅街まで送ってもらった

しいな「今日はありがとう牧さん!」

マーガレット「牧さんのおかげでまた一つ遺跡のことがわかりました」

シャニオン「全部覚えているから安心してください」

牧「よかった。それじゃあね」

牧が運転する車はそのまま都市の中心部へ向けて走っていった

しいな「…牧さん、これから仕事あるのかな」

マーガレット「なんせツアー案内人だしな。まだあるだろ」

シャニオン「今日は色々収穫ありましたね」

しいな「そうだね!さ、みんな帰ろう!」

マーガレット「おう、じゃあまた明日学校でな。生徒会に行って部活を作ること忘れんなよ」

シャニオン「忘れてないので大丈夫です」

マーガレット「いや、しいなに言ったんだが」

3人はそれぞれの家に帰っていった


一方、レニの家

レニ「今日も何事もなくてよかったなー

けどしいなちゃんは熱心に来て挨拶してお喋りしてくれるから暇は潰せるのよね

ああいう子は…たいせつにしたいわね…

さーて、待望のネトゲよ

最近入ったギルドで楽しい人たち見つけてしまったから面白いのよねー」


ちなみにそのギルドとは轢沙子、光、冬美が入ってるギルドである


ヒダンゲの夜。肌寒い夜だがそれでも心地良い夜だった


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