第1話冬の国の話

冬の国、ユキノウエ

首都クリスタルウィンターシティのとある公園で、一人の女性が泣いていた

「うっ…ひっく…ひっく…」

そろそろ冬のシーズンを迎える中、雪がちらちら降っていた

風も少し吹き、かなり寒くなる状態であった

…河合冬美

彼女は恋人に別れを告げられ、一人、公園のベンチで泣いていた

冬美「なんで…なんでだめなのよ…。私が…変だったっていうの…」

夕方になり夜に近い時間になった

それでも彼女は泣き続け、寒くなるのにただ座っていた

ふと、一人の女性が冬美が泣いているのを見て近寄っていた

?「あの…」

冬美「う、うう…ん?」

?「何か、悲しいことがあったのですか?」

冬美「…ほっといてよ!」

?「いえ。私は天使なので悲しんでる人をほっておけません。」

冬美「…天使?何よ、私の悲しい気持ちを同情してくれるの!?」

?「…ハンカチをどうぞ、涙で顔が濡れてますよ

それに、今の気温だと涙で顔が凍ってしまいますよ」

冬美「…」

冬美は最初拒否の反応だったが、ハンカチを手に取り

自分の顔をふいた

?「よかった。それでいいんです」

冬美「ありがと。で、もう用はないでしょ」

?「私はあなたが何を悲しんでるのかわかりませんが

ヒューマンが悲しい顔を見るのが私も辛いのです」

冬美「天使って、そういうの多いわよね

って、なんで私が種族がヒューマンだってわかったのよ」

?「私はわかるのです。一応、天使協会の代表者の娘なので」

冬美「天使協会…?天使協会の代表者ってあのミカエルっていう…」

天使協会…幸せを運ぶ天使の集まり

天使のありがたい言葉を授け、元気になる

また駆け込み寺として人を保護するときもある

?「私はディバイス・アルエル。ミカエルの娘です」

冬美「天使協会の関係者だったの…!?」

泣いていたのを忘れ、驚いてた

アルエル「はい。だからこうして悲しむ人を救おうとしたんですよ」

冬美「…名前を言ってなかったわね。私は河合冬美。ちょっと元気が出たわ。ありがとね」

アルエル「冬美さん、よかった。では、私はこれで。いつかまたお会いしましょう」

冬美「…」

アルエルは去っていった

冬美「天使協会代表者の娘…」

そろそろ夜になる時間。冬美はこんなことがあるとは。と思っていた

そんな粉雪がちらつく日


冬の国ユキノウエ。クリスタルウィンターシティにある大学。

国立クリスタルウィンター大学。

ここは4つの国の中でも屈指の一流大学で色々な種族が集まる大学

今日も冬美は大学へ向かっていた

冬のシーズンになると雪で覆われてなかなか歩行が難しいが

昨日、今日と雪が降らなかったため道が普通どおりの道だった

冬美「ほんとこの国って日中でも寒いわよね…」

こんなときは常時暖かい気候の春の国と夏の国が恋しくなる

冬美「けど、夏は夏で大変そうね」

そんなことぼやきながらてくてくと歩く

ようやく大学の校門までたどり着く。相変わらず色々な種族が多い

?「あ、おーい冬美ー!」

冬美の友人が近寄ってきた

冬美「ギン子じゃない。おはよう」

彼方ギン子。種族は珍しいハーフアニマルという半人半獣という種族

獣のような耳と尻尾がある狐の人。みたいな人間である

ギン子「おはよう冬美。どう?モトカノに振られた痛みはひいた?」

冬美「まあまあね…。けど別れたとき天使に会って少し大丈夫だったわ」

ギン子「それは聞いたわね。しかし偶然天使に会えるとか運がいいわよね!」

冬美「そもそも運が良いっていうかなんというか…」

ギン子「元々の運よ!さ、いこ!」

ギン子と冬美は今日行われる講義へと向かう


そして講義室に入るとまた友人に出会う

今日は必修科目のため色々な学科の人が集まる講義である

?「おう、冬美。今日は元気そうじゃないか」

冬美「ミサゲ。私はいつもどおりよ」

ミサゲ・フィール。種族はドワーフ。男っぽいが男ではない。女である

冬美とは長い付き合いのある友人でこの大学に入ったのも

冬美の勧めでもあった

ミサゲ「いやー講義室あっちーな!私のような体格の持ち主には辛い!」

冬美「だいたいあんたは少し脂肪を減らしなさいよ」

ミサゲ「仕方ないだろ。ドワーフっていう種族だからだよ!

あと脂肪っていうな!筋肉だ!」

冬美「また種族と体格のせいにして…」

?「あのー…ボクもいい?」

またまた友人がいた

冬美「あら、コークじゃない?いいわよ」

コーク・レイク。種族はホビットで親が心療内科の医師である

ホビットなので小さいが、雰囲気を穏やかにしてくれる能力があるため

いるだけでほんわかする子である。もちろん女である

コーク「よかった。ボクちっちゃいから講義室の黒板が

見えなかったりするから」

ミサゲ「大丈夫だぞ。私がちゃんとノートとっておくからよ」

ギン子「いや、ドワーフも結構背が短いような気がするわ」

ミサゲ「ちっちゃいいうな!」

コーク「ははは、ほんと面白いなあ」

冬美「さて。そろそろ始まるわね」

講義が始まった



だいたいの講義が終わり昼の時間

4人はいつもどおりに食堂で昼ごはんを食べてた

冬美「またカレー特盛にして!だから脂肪が減らないのよ!」

ミサゲ「これぐらい食べないと私昼過ぎは腹が減って死ぬんだよ!」

ギン子「いやー、私もミサゲみたいな種族になったらたくさん食うのかしら」

コーク「そこがミサゲちゃんの好きなとこなんだよね」

ミサゲ「お、冬美よりコークのほうが良き理解者だな!嬉しいぞ!」

冬美「あんた私との付き合い長いでしょ…」

などと色々会話をしてた

コーク「あ、冬美ちゃんそういえば今日さ…」

冬美「ああ、サークルのこと?やるわよ」

コーク「やったあ。毎日じゃないけど楽しみなんだよねボク」

ミサゲ「しかし今日は人が多いな。食堂っていつもこんな多いか?」

コーク「…?なんかあっちで人の集団ができてるよ?」

ギン子「あら、そうね。何かしら?」

ふと4人が人の塊に目をやると誰かを囲ってるような集団だった

ミサゲ「おいおいアイドルでもいるのか?全くよくわからん…」

冬美「あ、あれ…?」

その中心人物が冬美にとって見覚えのある人物だった

長い水色髪。心優しい顔。そして綺麗な羽が生えた女性

冬美「…!アルエル…!?」

アルエルとわかった瞬間、冬美は無意識にかけだしていた

ミサゲ「おい!?冬美!?」


「わーアルエルさんやさしーい」

「こんな人がいたら嬉しいよねー」

「ねえねえ、うちのサークルこない?」

アルエル「皆さんほんと優しいですね」

冬美「アルエル!」

人の集団が冬美のほうへ目を向ける

そしてアルエルも冬美のほうへ目を向ける

アルエル「あ…!もしかして…!冬美さん!?」

そして人がまたアルエルのほうへ向く

「え?アルエルさんそんな驚いて…?」

「どうしたの?何か関係あるの?」

冬美「あなた…ここの大学生だったのね…!」

アルエル「…」

アルエルは黙ったが、すぐに言葉を発した

アルエル「…すいません。今日はこの人とお話したいので

また今度、寄ってください」

「う?うん…」

「わかった…」

集団がバラけた。そして誰もいなくなってようやく

冬美とアルエルと二人になった

冬美「アルエル、私のこと覚えてるわよね?」

アルエル「当然ですよ。冬美さん」

冬美「もしかして、天使学科なの?」

アルエル「よくわかりましたね。そうです」

天使学科…天使の学科とは言うが

実際には歴史などを学ぶ学科である

学ぶ学生は天使が多いが違う種族でも学べる

冬美「ここはマンモス大学だから何がいても

おかしくはないわ」

アルエル「あなたにまた会えたこと。これは

運命でしょうか」

冬美「運命…そんな響きが今は似合うかもね…」

二人とも偶然とはいえたまたまここの大学生だと

言うことがまだ信じられなかった

冬美「何年生?」

アルエル「1年生です」

冬美「私の一つ下じゃない」

アルエル「冬美さんは、2年生ですか?」

冬美「そうよ」

アルエル「じゃあ先輩なんですね?嬉しいです」

冬美「…正直、あなたに会いたかったわ」

アルエル「私もこの運命の再会を神に感謝しなくてはなりません」

突然チャイムが鳴る

アルエル「…すいません。そろそろ次の講義があるので」

冬美「ええ…じゃ、またねアルエル」

アルエル「はい。では」

アルエルは静かにこの場を後にした

冬美「…アルエル…」

冬美は何か心から湧いてくる気持ちがあった



全ての講義がだいたい終わり、そろそろサークル活動の時間

冬美たち4人はサークル室へと入る

ミサゲ「待ってたぜー!この時間帯!」

ギン子「心からウキウキするわ!」

コーク「ボクも嬉しい!」

冬美「じゃあ、今日のテーマは、と」

ミサゲ「ところでよ、冬美が会った天使ってどんな奴なんだ?」

冬美「彼女?アルエルは私を慰めてくれた、優しい人よ」

コーク「そういえばアルエルさんってあのミカエルさんの

娘だっていうね。」

ミサゲ「天使協会代表者の娘か!この大学にいたなんてな」

ギン子「バカみたいに人数の多い大学だから可能性としてはあり得たのね」

冬美「ま、とりあえずそんな感じよ」

その時、サークル室のドアに人影が見えた

ミサゲ「…ん?誰かいるのか?」

冬美「顧問かしら。はーい」

ドアを開けると…

そこにはアルエルが立っていた

冬美「…!?アルエル!」

アルエル「あっ、どうも冬美さん。

ちょっとここを通ったら冬美さんの声がして…

この部屋で何をしてるのかなーって」

冬美「また偶然ね…ちょっと入ってみる?」

アルエル「はい。お邪魔します」

アルエルがサークル室に入る

ミサゲ「おー!冬美の言ってた天使か!べっぴんさんだな!おい!」

ギン子「なるほど。とても美人でなおかつ可愛いわ」

コーク「こんな綺麗な人、見たことないよ」

アルエル「あ、ありがとうございます」

冬美「アルエル、この人たち私の友人だから

友達になってもいいわよ」

アルエル「はい!」

アルエルも一緒にサークル室の座席についた

ミサゲ「さて、今日の遊びはなんだ?」

アルエル「…?遊び?」

冬美「今日はトランプゲームやりましょう」

アルエル「トランプ?」

コーク「アルエルちゃん。ここは色々遊ぶサークルだよ」

アルエル「色々遊ぶサークル?」

ギン子「アナログゲーム主体で遊んで色々と楽しむわけよ」

アルエル「な、なるほど…」

冬美「アルエル、そもそもトランプゲームってできるの?」

アルエル「え?あっ、はい、多少はできますが…」

面白いサークルすぎて若干コミュ障のような返事してしまった

冬美「なら簡単にババ抜きでもしましょう」

ミサゲ「よっしゃ負けないぜ!」

ギン子「ババ抜きに関しては自信あるのよね私」

冬美「できる?アルエル?」

アルエル「はい。それならやります」

ミサゲ「一回戦目!」


だいたい8回戦ぐらいやってた

ミサゲ「くぅ~!勝てない!アルエルが強すぎる!」

コーク「まいったねほんと。ボク、アルエルさんの

運の良さにびっくりだよ…」

ギン子「天使っていつもこんな感じなの!?」

冬美「私何度もジョーカー引いて運が…」

アルエル「あのー。元々運が良いほうではありませんが…」

ミサゲ「なんでだー!」

8回戦中、7回もいちぬけでアルエルが勝ってしまってる

冬美「これ以上やりたいけど…そろそろ日が暮れてきたから

やめにしましょう」

コーク「そうだね。アルエルさんのつよさがわかったよ」

アルエル「皆さん今日はありがとうございました」

冬美「アルエルって他にサークル参加してないの?」

アルエル「はい。何も入ってませんよ」

冬美「ちょうどいいわ。アルエル、入りなさい」

アルエル「え!?えーとまずお母様に許可をとらないと…

大丈夫だったかしら…」

さすがに今すぐでは入れないようだ

冬美「今すぐじゃなくてもいつかでいいわ

いつでも待ってるわよ」

アルエル「…はい!」


4人と別れ、冬美は自宅へと帰宅する

冬美「…今日は本当に驚いたわ

アルエルに会えて、運命だったと思う

明日も会えるのかしら。そしたらまた

サークルに呼んで一緒に遊びたいわ

さて、明日の支度するか…」

明日の支度をしようとするが

冬美「あ、その前にネトゲにログインしないと」

パソコンを起動してログインをした

冬美「ライトちゃんと最近出会ったヒッサーに挨拶しないとね

えーとキャラクター選択はウィンで…」



また粉雪が舞い散る夜。今日はとても嬉しい気分だった





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