第1話夏の国の話

光「いや!離して!!」

塩谷光は男に掴まれ、危険な状態になってた

男「へへ、いい女じゃねえか。ちょっと遊ぼうぜ」

光「いや!あんたなんか男に付いていかない!」

叫んでも男は強引に腕を引っ張ろうとする

男「なにを、ちょっとついていくだけでいいんだぜ」

光「やだ!!助けて!!」

そう言うと、後ろから声が響いた

?「やめな!それ以上女に手を出したらぶっ倒すぞ!」

男「あ?なんだ?」

そこにいるのは小さい、黒い羽が生えた少女だった

?「今すぐにその子を離せ。でないと承知しない」

男「あー?なんなんだてめぇ。やる気か?」

?「貴様のような変態に負けるもんでもないがな」

男「ふざけやがって!」

男はすぐにその少女を襲った…が、少女はすぐに

拳を振り上げ男の顔面を殴る

ドコン!!

男「がっ…!う、ううう…」

あまりの強さだったのか、男は一発で倒れもがく

男「くっ…!くううううう!!」

男は情けない声を出しながら全速力で走って逃げていった

?「ふん。弱いな。私が悪魔だと知らないからこうなったんだ」

少女はそう言うと光の姿を見ようと優しい顔になって振り向いた

?「大丈夫か?ああいう奴はすぐに逃げるのが一番だぞ」

光「あ…あ、ありがとうございます!なんてお礼を言ったらいいか…!」

?「お礼なんかいらないよ。私は弱い者いじめが大嫌いだからな」

光「本当にありがとうございます…!」

?「いいから。家まで戻れるか?」

光「はい…!」

?「ならいい。じゃあな」

少女は立ち去ろうとしてた

光「あ、あの!」

?「なんだ?」

光は尋ねてみた

光「名前を…お聞きしたいです!」

?「…私はピットフィーンド。高位悪魔さ」

光「ピットフィーンドさん…!ありがとう!」



光は目が覚めた。自室にいて今でもぼーっとしてる

何か、リアルな夢を見てた。けど、決して悪夢ではなく

思い出のひとつの夢?みたいな感じだった

光「ピットちゃんに救われた夢だったなー…」

そして時計をふと見てみる

光「おっと!?ちょっと寝坊じゃん!すぐに着替えないと!」

慌てて着替え朝ごはんを済ますことに


夏の国アマリリス、今日も穏やかで暑い日が始まる


光は家を出るとすぐに自転車に乗り高校へと向かった

中学生のときに偶然自転車で通えるような高校を見つけ

ちょっと偏差値は高かったが頑張って受験勉強をして

現在では単位も落とさず無事に高校2年まで進級できた

光「あー遅刻しそうだけど大丈夫そうだー!」

光はひたすら自転車を漕いで高校まで向かった

ようやく高校まで辿り着いたが、校門でふと見知った顔がいた

光「…ん?あの黒い羽…?もしかしてピットちゃん?」

ピットフィーンド。その姿は正に悪魔の姿だった

光「ピットちゃん!私だよ!」

ピット「お!光!なんだ元気そうだな!」

光「元気だよ~!ピットちゃんこそ何してるの?」

ピット「おう、ちょっとな」

光「そうなんだ。ピットちゃん、今日夢でピットちゃんに

助けられた夢があったよ!」

ピット「ほう、あの時のことか」

光「ほんとにあの時は嬉しかったんだから!それで

ピットちゃんにこんな仲良くなれたことも嬉しいし!」

ピット「ははは。よかったな。ところで話が変わるが

光の友人の鬼二人はもう学校にいるか?」

光「あいりちゃんとこうみちゃん?あの二人は…

もう学校にいるかもね」

ピット「そうか…私は無許可で学校に入れないしな…」

最近学校のニュースで不審者が入ることが多かったため

怪しまれる可能性がある

光「代わりに伝えておく?」

ピット「あ、いやいいんだ急な用事でもないからな」

光「そう?じゃあそろそろ学校に行くね!ばいばい!」

ピット「ああ、またな」

光が校門を抜け学校にはいるまでピットは優しい目で見送ってた


光は教室に入り友人のこうみに挨拶する

光「おはようこうみちゃん!」

こうみ「…おはよう光。てっきり遅刻かと思ったわ」

山城こうみ。種族は鬼。おでこから二本の角が生えている

光「まだホームルーム始まってないよね!よかった~」

こうみ「…ええ。始まってないわ。…何か嬉しそうな顔してるわね」

光「ピットちゃんに会ったんだ~!」

こうみ「…ピット?別に学校関係者でもないのに何しに来たのかしら」

光「なんだろうね?そういえばこうみちゃんとあいりちゃんに話があるって」

こうみ「…私と姉さんに?なんの用事かしらね?」

光「わかんない。急な用事じゃないからって言ってたけど」

こうみ「…悪魔協会?ピット、協会の関係者だし」

悪魔協会…罪人が懺悔する協会である。関係者は悪魔が多い

悪魔協会の総本山はここ、アマリリスにある

光「あーそうかも!なんだろう?勧誘かな?」

こうみ「…悪魔協会自体は別に怪しくはないけどあそこに就職するとは思ってもないわ」

光「あそこはねー。怪しくはないしピットちゃんいるからいいけど

よくわからない不死とか変な亡霊とか怖い悪魔がたくさんいるからねー」

ちなみに悪魔協会関係者は不死や亡霊も参加してる

こうみ「…罪人や物好きでもない限り来ないとこよ」

ちょうど言い終えると学校のチャイムが鳴った

こうみ「…そろそろホームルームね」

光「今日も勉強がんばろ!」

こうみと光は席に着く



午前の授業が終わり、昼ごはん

光「待ってました!昼ごはん~!」

こうみ「…ほんとテンションの上がり方半端ないわね」

光とこうみは一緒の席で昼ごはんの弁当を食べようとした。その時

?「おーい!二人ともー!」

突然でかい声が教室に響きわたる

光「あ!あいりちゃん!」

山城あいり。こうみの姉で種族は鬼。一本角を持つ

こう見えて3年の先輩でもある

光の先輩ではあるが敬語は使っていない関係

あいり「いやー今日もほんと授業大変…」

こうみ「…姉さんもともと勉強苦手でしょ」

あいり「いやいや、アタシだって結構頑張ってるんだぞ」

光「そして相変わらず学年下の教室に堂々と入る図々しさもあるね」

あいり「図々しいとはなんだー!可愛い後輩を見にきたんだぞ!」

光「それ言われると嬉しくは感じるよね」

あいり「だろ~?嬉しく思えよ」

こうみ「…また調子に乗って」

3人で昼ごはんを食べていた


光「そういえばあいりちゃん」

ふと思い出した

あいり「ん?」

光「ピットちゃんからね。こうみちゃんもそうだけど

あいりちゃんに用事があるって言ってたんだ」

あいり「あのピットから?いったいなんだよ?」

こうみ「…私もわからないけど、恐らく勧誘じゃないかって」

あいり「えー!もしかして仕事の勧誘!?アタシ別の職業に付きたいんだが!」

光「けどあくまでも用事ってだけで勧誘じゃなさそうな気がするけど…」

あいり「ふうん?まあ別にどうでもいいか」

こうみ「…どうでもいいかで済ます姉だわ…ん?光何やってるの?」

光「ちょっと携帯電話でネット友達にメール!」

いつの間にか携帯電話を取り出しいじいじしてた

あいり「ほー!ネット友達か!どんな奴なんだ?」

光「とても優しくてまるでお姉さんみたいな人!轢沙子さんって言うの!」

あいり「ひ、ひさこ…?」

光「人見轢沙子さん。轢くに沙とかいて子!」

あいり「ちょっとむずかしい名前だな…。轢くの轢ってなんでややこしい漢字なんだよ…」

こうみ「…ここの国出身じゃないわよね?」

光「春の国だよ!」

あいり「春の国かー。春の国ったらここより都会だからな。住んでる人がうらやましいぜ」

夏の国と春の国は若干遠い

こうみ「…いつかいきたいと思うの?」

光「いきたいね!いつか轢沙子さんに会いたい気分だよ!」

あいり「水を差す言い方だがもし会えたとしても悪い人じゃないといいがな」

光「轢沙子さんは悪い人じゃないよ!」

と、反論したはいいが考えてみると轢沙子さんは妖怪なのでそこはわからないな

とは一瞬考えてしまった光であった


すべての授業が終わり、放課後。

光、あいり、こうみは帰ろうとしてた

あいり「今日の授業はハードだったぜ…」

こうみ「…姉さんいつも授業がハードだって言ってない?」

光「今日も楽しかったよ!」

あいり「楽しいとか言う言葉が言えたらいいんだがなー」

こうみ「…そもそも姉さんは肉体労働好きでしょ。

体育の場合すごいテンションで授業受けてるじゃない」

あいり「体育は好きだな!つかあれが一番最高!」

光「私はどんなものでも大丈夫だよ」

あいり「それを言いたいよ…」

そんな会話をして校門まで行ったら顔見知りの人物がいた

光「あれ?あの人…?もしかしてシェリルさん?」

長い金髪のちょっと背の高い人物がいた

光「シェリルさん!光だよ!」

光はその人物まで近寄った

シェリル「光さん。こんにちは。今日もご苦労さまです」

シェリルは笑顔で対応する

シェリル・アイボ。彼女はピットフィーンドの使用人であり

種族は不死。人間から生き返った人物である

こうみ「…シェリルじゃない。こんなとこでいったい?」

シェリル「さっき、というか朝ピットフィーンド様が

ここにいらっしゃいましたよね?」

光「うん。ピットちゃんいたね」

あいり「いよいよ勧誘か…」

あいりはちょっぴり不安ではあった

シェリル「いえ、前に3人が館へ遊びにいったときに

あいりさん、こうみさんこれをお忘れではありませんでしたか?」

シェリルは自分のカバンからすっと2つのハンカチを渡した

あいり「あ!アタシのハンカチ!無くしたと思ったら

ピットの館で忘れてたんだ!」

こうみ「…あら、私忘れてたのね」

シェリル「よかった。実はこの忘れ物を渡そうと

ピットフィーンド様、朝から校門にいたんですよ」

あいり「そうかー!いやーありがとう!助かった!」

こうみ「…ありがとう。感謝してるわ」

シェリルは二人にハンカチを手渡す

シェリル「こちらもよかったです」

光「シェリルさん、これ渡したらもう帰るの?」

シェリル「いえ、買い物があるのでスーパーへいきます」

こうみ「…そう。私たちはこれから帰るわね」

あいり「ありがとうな!シェリル!」

シェリル「はい、では帰り道気をつけてくださいね」

シェリルは去った


光はその後あいりとこうみと別れ自宅に着いていた

光「ふー…、なんだか今日も色々あったなあ…」

ピットとシェリルに会ったこと。いつもの鬼姉妹

いつもどおりの日常だが決して退屈ではない

光「あの4人に出会えるだけで私幸せ…」

特にピットフィーンドに関してはもう恋のような感覚である

あの時助けてくれたことは今でも感謝しきれない

光「…さ、今日も晩ごはん食べたらネトゲにログインしないとね」


今日も夜が更けていく





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