LINK38 本当に伝えたかった言葉
「中尾さん、モバイルは持っていないですか? 俺たちは持ち歩いてないんです」
「悪いな。電池切れだ」
「 ..じゃ、車のナビゲーションシステムは?」
「いや、それよりもホテルのパソコンを借りればいいだろ」
「あ、そうですね」
本当は真心に頼めばきっとその場所や現在のリアルタイムの映像もわかるのだろうが、俺はあまり真心の目を使わせたくなかった。
彼女がそれを好まなかった経緯もあるが、もしかしたら、そのまま『
・・・・・・
・・
ホテルに帰ると早速、ロビーに置いてあるパソコンで「『35.977696 140.22292』をMAP検索してみた。
そこは牛久大仏に近い『延命寺』の横にある一軒のログハウスを指示していた。
なるほど『少女の命を延ばす』の一節はこの寺の名前か。
そして『延命寺』から一番近い川は『
「中尾さん、明日ここに行こうと思います」
「わかった」
・・
・・・・・・
―真心の部屋前
彼女はまだ寝ているのだろうか。
ノックをすべきか。
迷っていると中からドアが開けられた。
「なんでわかったんだ?」
そう聞くと真心は廊下の防犯カメラを指さした。
「また目を開けたのか?」
「うん。何となくコツもつかめた。自分の目の前じゃないものも見ることができる」
「あまり使っちゃだめだ」
そう、この力は使うことに
だから俺たちはなるべく使わない方法を見つけるべきなんだ。
「ごめんね。でも『数字』のことも知ってるよ」
「何で?」
「月人さん、さっきどこかで凄く心動いたでしょ。そのとき見えたから」
さっき暗号を鮮やかに解き明かす中尾さんに俺は物凄く感心した。そんな些細な心の動きからも俺の目を通して、見ることができるのか。彼女は力を使うことに抵抗がなくなっているのかもしれない。
「そっか。今、その事を話にきたんだ。だから知ってしまったことは別にいいんだ。ただ、俺は真心にあまり力を使ってほしくない。俺は今のままの真心がいいんだ」
「うん。わかった。ありがとう」
俺は意識して最後の言葉を変えてしまった。
『俺は今のままの真心がいいんだ』か....
言葉にすると、どこかの誰かさんが俺の前からその大切なものを奪い去ってしまう気がしてならないかった。
ああ、その通りだ。認めるよ。ただ照れ臭くて言えなかっただけだ。
俺は今まで吸ったこともないタバコを吸ってみたい気持ちになった。
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