LINK02 勇気を振り絞る

俺は既に何かに巻き込まれてしまったのかもしれない。

あの日以来、白杖の少女が俺の生活区域に頻繁に表れる。


俺が歩道橋の上から白杖をかざしながら歩く彼女を見つけると、彼女はまぶたを開き青白い目で俺を見返すのだ。

俺はその不気味さに彼女を見つけるとすぐにきびすを返すこともあった。


ほんの16歳くらいの女の子に俺は恐ろしさを感じている。


俺が彼女と接触を避けるのは不気味さのほかにも理由がある。

おれを監視する奴らに彼女の存在を知られてはまずい気がしたからだ。



『逃げないで....

私 ....まこ ....緑道 ....ベンチ 』


また夢にうなされ目が覚める。


「はぁ....はぁ....イテテ。何だってんだ!」


『....まこ』『緑道』『ベンチ』

この3つのワードだけはわかった。


そして言わんとしていることも想像はできた。

『....まこ』が何かはわからないが『緑道』と『ベンチ』はきっとそこで待つって事だろう。


この12年間、世間の大概のことには関わらずに生きてきた俺だ。

今回も俺自身には会う理由など見当たらない。


ただ、俺の頭に彼女の声が入ってくることはまずい状況の気がする。

それにこのまま付きまとわれるのも、困ってしまう。


俺は、明日、緑道のベンチに行ってみる。

これこそ俺にとっては『勇気を出して』という言葉が当てはまる案件だ。

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