6日目 2人と1匹
いい匂いで目が覚めた。
ぼやけた視界のまま横を見ると、女がキッチンで朝食を作っている。
どうやら女はカセットコンロを持っていたようだ。
あのガラクタリュックも、意外と役に立つのか。
上半身だけおこし、あくびをする猫を撫でる。
まだ眠いのか、頭を手に擦り付けてまた目を閉じる。
喉が渇いた。
窓の外を見ると、洗濯物が風になびいている。
女が振り返る。
何も言わず、じっとこちらを見ている。
「、、、なに」
「食べる?」
女はフライパンを傾けて中を見せながら言った。
「何それ」
「私特製、缶詰ごちゃ混ぜ丼」
「、、、」
「しょうがないじゃん、もう缶詰くらいしか食べられるものないんだから」
「何も言ってないよ」
「、、、食べる?」
「食べる」
不安そうな顔をしていた女はパッと嬉しそうにし、皿を二つ取り出した。
フライパンの中の料理は、一人で食べるには明らかに多かった。
その日から女はよく料理を作るようになった。
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