断章2 火の熱風、湖からの風、船の陰
感傷に流されては行けない。あいつはあいつ、あの子はあの子だ。代わりになんて、なりはしない。どうやらあいつはしっかりしているようだ。常識と知識を持ち、礼節もある。きっと大切にされて育ってきたんだろう。あんな奴なら、俺の計画の種に相応しいだろう。あいつが呼ばれた小説家の家。そこでの問答を盗み聞きする。
「宗教の方々のところに居たんです。神様の使い、巫女だって」
「悪いことをしてたみたいだったので、逃げてきたんです」
納得した。俺は願いを叶える時に問題がないように、対象の名前が分かる。こいつはフィールだった。でも言ったら入江愛子だという。そういう事か。神の代わりは、神しかなれない。
ただこいつにそんな力は無い。ただの人だ。ああ畜生。この世界の人間は何回でも同じことを繰り返す。学習は知識しか更新されない。人間性はいつまで経っても欲望に忠実だ。倫理書には同じことしか書いてない。ちょっとは進歩すればいいのに。
せめて、あの子とこいつを被せるのだけはやめてくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます