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昨日。ついに僕はセックスをしてしまった。いや、してしまったなんて言い方は宗像さんに失礼だろう。僕は自分の意思でセックスしたのだ。
とても素晴らしく、そして気持ち良い体験だった。
世の中にはこんなにも素晴らしいことがあるのに、なぜエロはダメだ、悪いことだ、みたいなことを言う人がいるのだろう?はっきり言って理解に苦しむ。
一番わけがわからないのが、エロがまるで殺人や暴力よりも悪いことみたいに見なされる風潮だ。
なぜエロは暴力と比べて表現が厳しいのだろう?まるでエロいことは暴力より悪いことみたいじゃないか。わけがわからないね。
こんなにも素晴らしいことがあるのならば、なぜもっと早く教えてくれないのだろうか?
ヤリチンと呼ばれる人たちはこんなにも気持ち良いことを毎日やっているのか?そりゃ周りからの評判が悪かったとしても、ヤリチンになりたがる気持ち、わかるってもんだよ。
もちろん、彼女がいるのに他の女とやるというのは道徳的に悪いことだ。それはもう重大な裏切りだと言っても過言ではない。それが普通の恋人同士の関係ならば尚更だ。
でも僕と壬生さんの関係は、どう控えめに見ても普通ではない。というか、壬生さん本人が僕と宗像さんがエッチするように仕向けてきたのだ。
そう、僕と宗像さんは彼女公認でエッチする関係になった。それどころか宗像さんにご主人様と呼ばせる関係にまで発展したほどだ。
一体なぜ?わけがわからない。だがとても良い気分ではある。
学校でもトップクラスの巨乳の美少女と彼女公認でエッチができる、まさに僕の人生は順風満帆のバラ色だった。しかし良いことばかりではない。
宗像さんとエッチをするにあたり、壬生さんは僕に注文をつけた。
エッチの練習をしろ、エッチが上手になれ、そして自分を抱くときは満足させろ、それができなかったら、他の男とやる、と。
そうなのだ。確かに僕は宗像さんとエッチができる関係になったのだが、決してそれは良いことばかりではない。その対価として、エッチ上手になることを強要されている。
それも壬生さんを満足させられるレベルでのテクがないと、大事な恋人が寝取られてしまう。一体なぜこんなことに?
とにかく、今の僕にはやらなばならないことがある。
まずはセックスの技術を上達させること。
そして宗像さんを毎日抱くこと。でないと宗像さんもまた、別の男に抱かれてしまう。
…それは別にいいのか?いや、よくないか。
昨日、宗像さんを抱いたことで、僕の宗像さんに対する好感度は一気に跳ね上がった。もはや彼女は僕にとって第二の恋人といっても過言ではない。
もちろん、最低なことを言っている自覚はある。すでに壬生さんという彼女がいるくせに、もう一人彼女を作ろうとか頭おかしいのかって言われても仕方がないだろう。
でも好きなものは好きなのだ。もう彼女が他の男に寝取られるだなんて、考えただけで気が狂いそうだ。そして同時に興奮もしていた。
勘違いしてはいけないのは、決して壬生さんを嫌いになったというわけではないということだ。
むしろ壬生さんに対する愛情度は今も上昇している最中だ。というか抱きたい、なにがなんでも壬生さんを抱きたい、と思っているくらいだ。
もはや僕の人生において、壬生さんを捨てて他の女に行こうという思いは微塵も存在しない。
だからこそ、やり遂げなければならない。
今年の夏休みのどこかで、壬生さんは僕とエッチしても良いといった。まだ詳しい日付までは教えてもらっていないが、とにかく夏休みのうちのどこかの時点で抱けるのは確定なのだろう。
その日までに、僕はエッチを上達させなければならない。でないと最愛の彼女が寝取られてしまう。
それだけはなんとしてでも阻止せねば!たとえ本音では壬生さんが他の男に抱かれるだなんてラッキーだぜ!と思っていたとしても!
寝取られなんて絶対ダメ!最愛の彼女を、壬生さんを他の男に抱かせるもんか!
…でも、ちょっと見てみたいなあ、と思う自分の頬にビンタをし、僕は正気を取り戻した。
さて、正気を取り戻したついで、もう一度確認しておこう。
僕が今やらないといけないことは、とにかくエッチを上達させること。その上で宗像さんにも協力してもらいたい、と思っている。
なんかこういう言い方をすると、まるで宗像さんを道具として扱っているみたいだが、決してそんなことはない。僕は宗像さんも大好きなのだ。
もしも彼女が本心ではやりたくないというのであれば、その時は彼女の意思を優先したい。
いくらエッチをする関係になかったからといって、相手の意思を軽んじてまでやるつもりはないのだ。
ぴろん♪スマホが鳴った。画面を見れば宗像さんだった。
『ご主人様。今日は部活があるので学校に行くね。ご主人様が来てくれたら、テニスウェアでエッチできるよ』
…よし、今日は学校に行くか。
確かに宗像さんがやりたくないならやらないと言った。しかし本人がノリノリでやりたいというのであれば、やるしかないよね!
あの巨乳美少女の宗像さんがテニスウェアを着るだと!そんなの絶対エッチなやつじゃん。
僕は夏休みだというのに制服に着替え、鞄を持って学校へ向かった。親には学校で受験の勉強をするためと言い訳をした。
外の日差しは暑く、一分でも外にいればその暑さのせいで一瞬で体中から汗が湧き出る。こんな暑い中を出歩くぐらいなら、クーラーが効いた部屋で勉強でもした方がマシかもしれない。
しかし今の僕には目的がある。壬生さんのため、そして宗像さんのために、僕は暑さに負けじと学校へ向かった。
時刻は午前10時。夏の日差しに照らされる学校のグラウンドには、部活動に明け暮れる生徒たちがいる。
本来、どこの部活にも所属していない帰宅部の僕と運動部だなんて縁もゆかりもない。それがまさか、女子テニス部の美少女とエッチをするためだけに学校に来るだなんて、僕も偉くなったものだ。これではもうヤリチンである。
さて、宗像さんはどこだろう?
僕はスマホで彼女に連絡を取ろうとした。そんな時…
「ご、しゅ、じ、ん、さ、ま💓」
と背後より声をかけられた。この広い地球上で僕みたいなただの学生にご主人様と声をかけてくれる女性なんて一人しかいない。
見れば、壬生さんだった。やっべ、あやうく彼女を別の女の名前で呼ぶところだった。
「むな…、壬生さん!どうしたの!」
「今、誰と間違えたの?」
「ええ!間違えてないよ!もしそう思うならそれはきっと気のせいだよ!」
「そう?なんだか怪しいね」
壬生さんはじーっと疑わしそうな視線を向けてくる。そんな彼女なのだが、今日は服装がいつもと違って、テニスウェアだった。
「そ、それより今日は雰囲気違うね」
「うん?ああ、新しいテニスウェアが届いたから、試着してるの。どう?似合う?」
「うん、すごく似合うよ!」
壬生さんはくるんとその場で一回転。するとテニスウェアの短いスカートがふわりと舞って、丸々としたお尻が見えそうになる。動くたびにチラチラと見えるおへそもキュートでそそられた。
くぅ、ただでさえ可愛い美少女なのに、テニスウエアなんて着たらもっと可愛くなるじゃないか。
「ふふ、ありがと。ところで…」
——杏も同じテニスウェアを着てるよ、と壬生さんは僕の耳元で囁いた。
「え!」
「根東くん。私、楽しいことって大好きなの」
壬生さんは僕の腕に自分の腕を絡めて密着してくる。女の子の甘い香りが鼻孔をくすぐり、テニスウェア越しに彼女の胸の感触が伝わってくる。
「エッチができる高校生活と、エッチできない高校生活、どうせなら上手なエッチができる高校生活の方がよっぽど楽しいって思わない?」
「え、それは…」
本音を言えば、思う。当たり前だ。エッチなしよりエッチありの高校生活の方が楽しいに決まっている。なぜそんな当たり前のことを?
「せっかく彼氏がいても下手くそだったら意味ないでしょ?どうせなら、最高のエッチができる高校生活を送ってみたいの。だからね、ちゃーんと練習して、エッチのスキル、磨いてきてね」
——でないと私、他の男に寝取られちゃうよ、と壬生さんは脅し文句までしっかり付け加えてくる。
これは間違いなく、本気だ。壬生さんを満足させられるだけのテクがないと、ガチで壬生さんは他の男とエッチするつもりだ。
それだけはなんとしてでも阻止しないと!
「じゃあ私、練習があるから、またね。杏ならその辺で休んでると思うよ」
「え、そうなの。わかった。壬生さん、また後でね」
「うん、またね」
そう言って壬生さんは踵を返すと、僕に手を振りながらテニスコートへ戻って行く。
なんだか機嫌が良さそうだな。
壬生さんは僕が他の女とエッチをすると、気分は最悪だと言っていた。きっとそれはそれで本当なのだろう。
しかしそれ以上に、勝負に勝ったことが嬉しいのかもしれない。
これが普通の女の子ならば、勝負ごとよりも彼氏が他の女とエッチすることに気を揉むことだろう。しかし、壬生さんは違うのだ。
壬生さんにとって、彼氏の貞操云々よりも、自分が気持ちよくなれるか否かの方が重要なのだろう。
だからこそ、僕に負けたことを根に持ち、あれほどまでに感情的になったのだ。
…それって逆に言えば、もしも僕が負けていたら、気持ち良く他の男に寝取られていたということなのだろうか?
う、ありえる。壬生さんなら十分にそれ、あり得るぞ!
よかった、勝って。本当によかった。
いまさらになって過去の勝利に安堵しつつ、僕は目的を思い出す。そうだ、宗像さんを探さないと。
まあ、スマホで聞けば済む話なんだけどね。
僕は宗像さんに電話してみた。
トゥルルル、トゥルル、ガチャ。通話が始まる。
「あ、もしもし、宗像さん?」
『……………ん💓』
…え、なに今の喘ぎ声?
『あ……ん…もう、やだ💓』
ちょ、ちょっと待って宗像さん、君は一体なにをやってるんだ!
どくん。突然の事態に僕の心臓が大きく鼓動した。まずい、寝取らレーダーが反応を示す。
『ちょ、今はダメ…あ、ご主人様?…ん、どうしたの?』
「いや、どうしたのって宗像さんこそ、今なにしているの?」
『え?…あん…その、うん、それダメ💓、…なにもしてないよ💓』
いやいやいやいや、それは無いでしょ!だって絶対なにかやってるよね!そんなバレバレの嘘ある?
「え、もしかして、誰か近くにいるの?」
『…ちゅ…💓💓』
え、今の音、なに?
『…誰も、いないよ』
じゃあなんでそんな艶っぽい声を出すの?ねえ嘘でしょ?宗像さん、違うよね!
「杏、今すぐ会いたいよ。どこにいるの?」
『ふふ、そんなに会いたい?』
なぜ焦らす?
「うん」
『あ……💓💓💓』
え、なにがあった?なんで急に黙るの?ちょっと止めてよ!違うよね、杏、違うって否定してよ!
ブツ、ツー、ツー。
急に通話が切れた。
え、嘘、なんで?だって杏、言ったじゃないか。もし抱かなかったら他の男に抱かれるって。それって僕が抱いている限り、他の男に抱かれることはないってことでしょ!
まだ約束破ってないじゃないか。そんなの、そんなのって無いよ!
ぴろん♪
スマホにメッセージが来る。
『ご主人様。校舎裏の木陰で休んでるよ。早く来て。でないと…』
でないとどうなるの!
どくんどくんと心臓が早鐘を打って止まらない。焦りと不安、恐怖、そして僕の大好きな杏が他の男に寝取られているかもしれないという興奮のせいで僕の脳が破裂しそうだった。
杏は、杏は僕の女だぞ!他の男に取られてたまるか!
僕は駆け足で校舎裏に向かう。あの辺りは桜の木が植えてあるので、おそらくそこで休んでいるのだろう。
校庭を横切るようにして駆け抜けていく。すると、途中で百崎さんを見つけた。彼女もテニスウェアを着ていた。
「お、司じゃねえか。へへ、今日も来てくれたんだな…なあ、これどう…」
「ごめん!今急いでて!また後でね!」
「え、お、おう。…なんだよ…」
百崎さんは表情を赤く染め、なにか言おうとしていたのだが、今はそれどころではなかっただけに、僕はおざなりな対応をして百崎さんを横切っていった。
待ってて、待ってて、杏!絶対に助けに行くからね!
急げば間に合うはず!きっと杏が他の男にいやらしいことをされ、寝取られている姿に間に合うはず!
…いや、違うから。そんなの期待してないからね!僕は決して寝取られる姿を見たくて必死に走ってるわけじゃないからね。
杏が他の男に取られるのを防ぐために走ってるんだから。そこのところ勘違いしないでよね!
壬生さんと違って杏とはすでにエッチをしている関係なだけに、嫌でも想像してしまう。ガチで寝取られているのでは、という想像が。
しょせん、どこまでいっても疑惑でしかない壬生さんとは違うのだ。嫌だよ、本当に寝取られるだなんて、嫌だよ!嫌なのに、なんでこんなにも僕は興奮してるんだろう?
やがて校庭を抜けて校舎裏に回り込み、桜の木々が植えられている場所へ向かう。そこにはテニスウェアの杏がいた。
「ご主人様、みーつけた」
木の幹にもたれるようにして杏は僕に笑みを向ける。
彼女以外に人はいない。どうやら、あれは演技だったみたいだ。そうだと信じたい。
「あれ、えっと、杏だけ?」
「うん、そうだよ」
——それとも、私以外の人がいた方が良かった?と杏が囁く。僕はそれを否定した。
「ううん、そんなことないよ」
「本当に?ご主人様は寝取られが大好きだから、怪しいね」
「そんなことないよ」
僕はそっと杏に近寄り、彼女を抱きしめる。彼女のサラサラとした肌の感触とむっちりとした媚肉の質感、そして甘い香りが伝わってくる。
「あらあら、どうしたの?」
「杏、今からエッチしよ」
「そんなことしたら、部活をサボることになるけど、いいのかしら?」
「僕のためにサボってほしい」
ふふ、と嬉しそうな笑い声がすぐ近くで聞こえた。
「畏まりました、ご主人様。私の体、存分にお使いください💓」
もう興奮が止められない。僕は強く杏を抱きしめると、その柔らかな唇にキスをした。
「ふふ」
杏が悪そうな笑い方をする。
「ご主人様、今日もエッチの勉強しましょうね💓」
「うん」
こうして僕たちはエッチをすることにした。場所は、「今ならテニス部の部室が空いてるよ」と言われたのでそこに移動した。
そこで僕らはやろうとしたのだが、「がっついちゃダメ。ちゃんと私のこと、気持ち良くしてね」と忠告を受けたので、優しく愛情を込めて杏を抱いた。
一時間後。
室内といってもクーラーもない女子テニス部の部室はとても暑く、その室温のせいで汗だくになった僕と杏。汗でべとべとになっているせいか、彼女の恍惚とした表情はとても色っぽく、さんざん抱いた後だというのにもう一度抱きたくなる。
テニスなんてしてないのに杏のテニスウェアは濡れていて、彼女の形の良いおっぱいのラインがはっきりとわかる。短いスカートは乱れ、その桃みたいなお尻も見えていた。
「はあ、はあ、ご主人様…すごく良かった…もう気持ち良すぎて、私、ダメになっちゃいそう。…あ💓」
「杏、もう一度抱くよ。いいね」
「もう💓…鬼畜なんだから…はい、ご主人様💓」
そして再び彼女を抱きしめ、もう一度しようとしたその時…
ガチャ。扉が開く音がした。
「ったく杏の奴、どこに…おい、なにしてんだ?」
百崎さんに見られた。
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