第4話

「ああっー、くうっっ」


短い髪を激しく揺らし白い肌を赤く染めながら、山井朋美は体を震わせる。


「朋美、そろそろ、オレもいく。一緒にいこう」


男性のほうも、少し汗をかきながら必死になって腰を動かす。男性は朋美の尻をしっかりと押さえ、彼女の秘部に向かってペニスを何度も出し入れする。


ぐちゃ、ぐちゃ。


秘部からは、粘りっ気のある液体が飛び散る。コンドームをつけたペニスにもその液体がまとわりつき、白く泡立っていた。

「ああっー」と朋美が長身のスタイルのいい体をしならせ、少し上ずった声を上げる。

と同時に、男性も朋美を後ろから抱きしめ、がっくりと倒れた。

どうやら終わったようだ。

彼氏の澤田幸一とのセックスを何回かしているのだが、どうも好きになれない。

早く終われば、といつも思ってしまう。

朋美は、ベトベトに濡れているオマンコから幸一のペニスを引き抜く。幸一の分身は、まるで生気を吸い取られた木の枝のように小さく縮んできた。彼女は、添い寝してくる幸一の体を少し荒っぽく横にのかすとすぐにバスルームに向かった。


はあっー。もうなんか物足りないというのか、気分が乗らないのよね。

幸一は悪い人ではないけれど。


朋美は少しイライラしていた。友だちの風野吉郎との食事をした時から機嫌が良くない。


どうして男って女の気持ちを理解していないのかしら。

吉郎は彼氏のいる私のことをどう思っているのかなあ。


シャワーを浴びながら、自分の体、とりわけ、乳首がまだピーンと張っている乳房や秘部を丁寧に洗う。秘部からはまだ愛液が滴っているのを感じる。


セックス自体は気持ちいいのだが・・・・・・。


幸一との行為で朋美は十分、感じてはいるものの、あまり気持ち良さや幸福感を実感していないのだ。

“セックスなんかで愛情なんていうものを感じるものでない”と思っていた。だからエッチもそんなものか、と最初は思った。自分はそこまで性欲も強くないし、興味もあまりなかった。幸一と交わっても、ただ彼一人が喜んで興奮しているだけだった。

しかし・・・・・・、社会人になって、仕事をし始めたり、他の男性と話をしたりするにつれて考えが間違っていたことに気付いたのだ。あきらかに、幸一には男性としての魅力がないから自分が幸福を感じないことに。

幸一は見た目も平凡、身長も自分と同じぐらいだし、学歴も朋美と同じ大学出身。大学の二年生の時、先輩の幸一から付き合ってくれと告白され、なんとなく付き合い始める。今は、病院の正規社員として働いているが、給料も低い。

高収入、高学歴、高身長、イケメンなど朋美が求めている男性像が高すぎると周りの人から言われるかもしれない。

だが朋美にとってもっとも彼に魅力を感じない最大のことが、一緒にいて楽しくないことなのだ。

心理学的には、付き合い始めたころはドキドキや緊張がある関係で始まり、徐々に安心感や気楽さが現れるとある。だから朋美は、今、幸一に対してマンネリ感を思っているのかもしれない。それでも・・・・・・、パートナーへの不満や魅力のなさは我慢できなかった。

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