第2話 「小岩井農場」の「あらすじ」(前半)
【パート一】
主人公は小岩井の駅で汽車からおりる。
知り合い(同僚?)によく似たひとがいて、そのひとのほうが先に汽車から降りた。駅の外で上等の馬をつないだ馬車が待っていて、そのひとは軽々と馬車に乗ってしまう。
主人公は、農場を越えたくらかけ山(鞍掛山)のあたりで時間に余裕を持たせたいので、その馬車に乗せてほしいと一瞬思う。でも、主人公は馬車から声をかけられることもなく、馬車は先に行ってしまう。駅のまわりの新開地風の場所から主人公は歩き始める。
まわりの畑では黒い馬が二ひき
【パート二】
主人公は今日は雨は降らないと考える。
馬車はまだ見えていて、主人公は「いままでたってやっとあすこまで」しか行っていない、と思う。
主人公は明るい空のなかをひばりが鳴きながら舞っているのに主人公はしばらく気を奪われる。
そんなところに、五月の春の盛りに黒いオーバーを着た医者らしい男が後ろからやって来る。主人公は、一本道を行くときには、そういう男が後ろに現れるのは「ごくありふれたことなのだ」だと考える。
主人公は再び冬に来たときのことを思い出す。そのときにも、黒いインバネスを着た男が来て、「(小岩井農場の)本部へはこれでいいんですか」と主人公にきいた。主人公はぶっきらぼうに「ああ」と答えただけだったので、相手の男がとてもかわいそうだと思った。
今日の黒いオーバーの男はもっと遠くから来ている。
【パート三】
主人公は小岩井農場の入り口に到着する。そこがいつもと変わらない様子であることを確かめて農場に入り、小さい沢(小川)と木立ちを通り過ぎる。
白樺が生えているのに目を留めた主人公は、白樺が生えるのは、小岩井駅とは違う鉄道(現在のいわて銀河鉄道)に近い
鳥がいっぱい鳴いている。主人公は、鳥が多いのはここが禁猟区だからだろうと考えるが、それに対して鳥が「禁猟区だからではない」(「禁猟区のためでない」)と答えたのを主人公は感じる。
道沿いの木立ちが並木のようになるところに荷馬車がとまっている。木立ちは桜の並木になり、主人公は「こんなしずかなめまぐるしさ」と思う。そのうち一台の荷馬車の馬の年老いた様子に、主人公までいたたまれない気分になる。
荷馬車の「馬車
桜の木は
【パート四】
主人公は小岩井農場の本部に到達する。ここで、主人公は、駅から農場まで来た馬車と、そのあと後ろに現れたオーバーの男のことを思い出すが、どちらの姿もいまは見えない。
主人公はまた冬に来たときのことを思い出す。そのときには、氷結した池で子どもたちが「氷滑り」をしながら大きな声で笑っていた。
主人公は、
主人公の前を
太陽の前を黒雲が横切ると、主人公は、そこがジュラ紀・白亜紀(恐竜が栄えた時代)の森で、
主人公は自分が地質時代の森の中で自分が一人だけであるという幻想におちいる。「いまこそおれはさびしくない」「たったひとりで生きて行く」と考える。
その考えが続いて行きそうになったので、「そんな先まで考えないでいい」と思考にブレーキをかけるために主人公は力いっぱい口笛を吹く。すると
また口笛を吹くと、主人公の意識は春の日へと飛ぶ。太陽コロナを感じ、ここは「太陽系の春」だと感じながら農作業の実習をした日だ(この部分は「イーハトーボ農学校の春」という別作品に描かれていて、それを引用するかたちになっています。「イーハトーボ農学校の春」は、学校での農業の実習として生徒たちとこやしを運ぶ場面をとても詩的に描いた作品で、私は一種の「怪作」だと思っています。「怪作」というのは、もちろん、だから低い評価しか与えられない、という意味ではありません)。
その思い出から、瓔珞をつけた子どもたちのうちだれかが吹いた笛によって引き戻される。引き戻された先も幻想だ。主人公はさっき見た桜のことも思い出すが、自分が、実際の小岩井農場の空間にいても幻想の空間にいてもいいような、「地球の気圏の春」のとてもハッピーな気分につつまれる。
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