第4話

 トーマはそのバグを除けば、本当に完璧だった。


 特に彼の作るオムライスは絶品だった。

 いや、ロボットなのだから得手不得手はないはずだ。つまり彼がどこかから入手したレシピで作ったオムライスが、私の好みだったということなのだろう。

 でもそんなのどうでもよかった。

 彼がおいしいオムライスを作ってくれる。イケメンで不愛想な彼が、私のためにオムライスを作ってくれている。

 それだけで私は十分に幸せなのだった。 

「トーマお水もらっていい?」

「嫌です」

「ありがとう」

 彼は水の入ったコップを差し出し、私はそれを受け取る。

 口では嫌だと言いながら結局私のお願いを聞いてくれる。なんだかこれはこれでツンデレというか、素直じゃない感じで可愛いな。私はそんなことを思い始めていた。

「マスター、ケチャップがついています」

「ん」

 トーマがティッシュで私の唇の端を優しく拭ってくれる。

「……んふふ」

 イケメンとの共同生活最高!

 心の中で私は叫んだ。

 給料4ヶ月分とボーナス1回分で手に入れたロボットライフ。幸せに満ちた夢のような生活。

 しかしそれは、長くは続かなかった。

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