第4話居酒屋にて
業務部の課長の大倉と会社近くの赤提灯で飲んでいた。今日あった出来事を話した。
「パパ係長でも、いいんじゃない?」
「なんか、舐められてる感がある」
大倉は枝豆を口の中に入れて、モグモグしながら、
「堀江は怖いイメージがあったから、イメチェンできるんじゃない?」
「もう、43よ、43!」
「歳は関係ねえ」
堀江は大倉の言葉を聞いて、生ビールを一気飲み干した。
「いま、パパ係長だから、そのうちパパになるな」
「もう、覚悟は出来ておる」
2人は22時まで飲んだ。
翌朝
「おはようございます、パパ」
ムッ
「お、おはよう田中」
「あら~、おはようパパ」
ムムッ
「柴崎課長まで、オレをパパって呼ぶの?」
「当たり前じゃない。私はあなたの上司。部下とのスキンシップもね?パパ」
「バ、ババア!」
「お~、クワバラクワバラ」
堀江はデスクに着くと、メールの確認をした。
下らない業務連絡ばかりであった。
そこへ、今年の春に新卒で入社してきた池田がデスクの前に来た。
「あ、あのう。パパ、お話が……」
「深刻な話しか?」
「はい」
堀江は小会議室へ池田を連れて行った。
「池田、なんの話しだい?」
「……会社辞めようと思っています」
「理由は?」
「パパ、私、妊娠しちゃった」
「えぇ~、相手は誰だ!」
「協力会社の方です」
堀江は落胆した。池田は有名女子大学を卒業後この会社に入社し、6月には妊娠。
親御さんも落胆されたかもしれない。自分だって落胆しているのだから。
「分かった。池田。おめでとう。手続きはする。仕事の引き継ぎは頼むよ」
「はい、パパ。パパ結婚式よびますね」
「ありがとう。課長のババアにはオレから話しておくよ」
「お願いします」
池田は楽になったのか表情が明るくなった。
産休を申請しないところをみて、寿退社だろうと初っぱなから分かっていた。
パパも色んな仕事、頑張ってるんだよ!
わが息子の洋太よ!
40代中年パパの場合 羽弦トリス @September-0919
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