第10話

9.君と僕の終わらない世界



起きたら、数日前の空が嘘のように、曇っていた。


今にも空が泣き出してしまいそうで、学校へ行く準備をしている途中、僕は気にしていないていを何度も取り繕った。


変わらない世界はこんなにも喜怒哀楽の激しい風景だったか。


なんとなく重たい心を引きずるようにして玄関を開けた。


今日も少女は玄関の外にはいなかった。



数日前まで、少女と笑顔で歩いていた歩道を進む。


今の僕は下を向く、無表情で愛想のない扱いにくい人間だろう。


仕方がないのだが。


少女に出会えたのは僕には所詮、終わる、幸せだったのだ。


結局その考えに辿りついた。


この先に、少し前までは咲いていなかった綺麗な花の木がある。


なんとなく僕は顔を見上げた。


別に文句を言ってやろうとかそういう気持ちではないけれど。



見上げた先に、オレンジの小花柄のベージュのワンピースの女の子。


その木にたくさんついている綺麗なオレンジの金木犀がついたみたいなその子は、もっと寒くなったこの季節にやはり、未だ半袖だった。


僕の知ってる、待っていた少女だった。


少女は近づいてくる僕に気がつくと気まずそうな顔が浮かんだように見えたが、すぐに笑顔になって手を振った。



「今まで、どこに行っていたの」


僕は消え入りそうな声でそう聞いた。


歩くのさえ、覚束無おぼつかなくなりそうだ。


少女は近く言葉を選んでいるようだったが、少しして


「ごめんなさい」

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