第8話

7.君と僕の終わらない世界


窓の外から聞こえる、小鳥のさえずりで目が覚めた。


時計に目をやるといつもの時間より30分遅れて起きたらしい。


急いで散らばったままの課題とノートをカバンにしまうと、リビングに顔を出した。


父親はもうすでに出ていったのか、部屋は綺麗に片付けられていた。


母親に「おはよう」を言うと、


「最近なんだか幸せそうね。順調なの」


と尋ねられた。


自分にはそんな自覚がなかったので少し戸惑いぎみに


「いや、変わったことはないよ」


とやっと声に出した。


無意識に頭をいた。



少女はまた今日も僕のことを待っていてくれるだろうか。


すると気がついた。


少女のことを考えているとき、僕は無意識の内に笑顔になっている。


ニヤけが止められない自分。


本当に僕はどうかしてしまったらしい。


いつも頭にあるのは、別のことのようで、結局は少女のことだ。


最後には、少女はどんなことが好きなのか、とか、どんな人に惹かれるのか、とか、こんな時、少女はどんな顔をするのか、とか、僕のことをどう思ってる、のか、とかを考えている。


僕は今日も少女に会ってたくさん話をする気持ちでいっぱいでいた。


少女は終わることのないこの世界で、取り柄のない僕の人生で、唯一、誇れる希望のような存在になっていた。


流れていく月日。


君と何度同じ1ヶ月を繰り返したかわからない。



そして、ある日、少女は来なかった。

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