第3話

2.君と僕の終わらない世界


整理しよう。この世界は終わらなくなった。それはつまり、10月の1ヶ月を繰り返しているのだ。10月が終わろうとするとまた10月の頭に戻る。同じ人間関係、同じ時間に繰り返される同じ会話。同じ内容の授業。それらが変わらない。



そして今日わかったことなのだが、終わらなくなったこの世界について気がついているのはどうやら僕だけのようだ。

それとなく、前にもこの会話したことがある、と知り合いに伝えたらそんなことはないと言われた。

僕だけが知っている。この世界が繰り返されていることを。



ふと、ついてくる少女をまじまじと見た。この子は知っているのだろうか。続くこの世界が、すでにもうどこにも行けなくなっていることに。



そして太陽が半分程地平線に落ちたころ。僕はこれ以上抗うのを辞めた。何度違う街へ出ようとしてもまた、この街に帰ってきてしまう。

その様を少女は何の言葉も発さずにじぃっと見つめていた。1日が終わってしまうため、実を言うとずっとついてこようとする少女のためにも、早めに散策を辞めたのは一理ある。

去る前に一言声をかけよう。そう思って少女に向き直る。

言葉を発そうとした瞬間。



「あなたもここからでられないの?」



そう口に出したのは、僕ではなく少女のほうだった。

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