第2話

1.君と僕の終わらない世界


過去に戻れたら、そんなことをいつまでもずっと考えている。考えながら学校に着く。

終わらないこの世界の繰り返される授業。頬杖をついて終わることを望む時間。過ぎていく、もう二度と戻らない大切な時間。



帰り道にどうして終わらなくなったのか知りたくてそこらじゅうを歩き回った。

そうしたら、この街の外に出れなくなってることに気がついた。違う街に行こうとするとその道はこの街のどこかに繋がっていて、まるで出口のないトリックアートの絵のような世界になっていたらしい。気がついた時には、もう手遅れだった。



そんな風に歩き回る僕を凝視する少女をふいに見つけた。

幾度目か、外へ出る道に向けて歩き出したら、その少女の目の前に戻ってきてしまって僕達は2人、顔を見合わせて苦笑した。



小柄で華奢で、身長だけはある僕と並ぶと、少女の小柄さが強調されてわかる。

肌寒い季節だというのに半袖のワンピースで、そこから覗く腕は透き通る程白かった。

ただの面白みのない黒髪を短くしただけの僕とは違い、日に当たると黄金色のように輝く茶色の髪は少女の腰の辺りまで伸びて先の方が外側に跳ね上がっている。



何歳なのだろうか。終わらない世界を探検する僕に、ずっとついてくる少女に僕は疑問を持った。

そして誰なのだろうか。

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