才能世界とルリカ。

如月彩凪

第1話

僕には何の取り柄もないことを知った。

それは18歳のとある夜だった。



そうわかったその日から月日は同じ1ヶ月を繰り返している。同じ10月が、終わることなく続いている。この世界は変わることがなくなった。



14歳のころ、僕、鳴鳥なとり蒼空そらは夢を見た。

僕に不思議な力があって何もかも思い通りでこの世界を変えられる力があると思っていた。

あの日の僕は何も無くても幸せだった。

これから手に入る希望を待っていられなくてうずうずしていた。飛び込んだ。



鮮烈な程、痛みを知った。

どう足掻いても近づけない、空の上の世界があることを知った。

叶わない世界があることを思い知った。



だから聞いてほしいと思った。

僕の暗い部分から底知れない希望のような感情までぶつけてみたいと思った。

この道がいつか描いた世界に繋がってないことは、もうわかっている。



それでもどうか最後まで綴った僕の文章で、僕の思う世界で、この終わらない世界を変えたいと思った。



終わらない、変わらないこの世界の中で、足掻くこれは僕の最後の物語だ。

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