第四章
第三十七話「要請」
始帝国首都ヴァーテック
ジンの執務室の扉が開き都市長統括アルトリアが入ってくる。
「おはようございます。ジン様」
「あはよう。アルトリア」
ジンは笑顔でアルトリアを迎える。
「ジン様は今日もお早いですね」
「朝早く起きるのは癖になっててね、治らないんだよ」
「そうでしたか、私としては早く起きれるのは羨ましいですね」
「アルトリアだって十分早いじゃないか」
「ジン様と比べたら遅いですよ」
「そうかもね。じゃあ話はこれぐらいにしておいて、仕事を始めようか」
「わかりました」
ジンの仕事は量が多いものの簡単なものが殆どで、資料に目を通して許可の印を押したり
何かあったら言うぐらいのものだ。
「最近はアルトリアにほとんど任せてたけど大丈夫だったかな?」
「はい、都市長達に手伝ってもらっていたので大きな問題は起きませんでした。行政面は
都市長のルインが手伝ってくれましたし、司法はアーサーやルーラが担当してくれました」
「そうだったんだね、後でみんなにもお礼を言っておくよ」
「それは、皆喜ぶと思います。そして、ジン様。こちらが最後です。終戦会談への参加願いが共生国家が帝国と連名で届けられました」
「終戦会談?」
「はい、共生国家との物ですね」
そう、共生国家との戦争はいまだに続いてたのだ。といっても大きな戦いではなく、小競り合いを度々国境線で続けていた。
こちらへの被害は皆無で毎回共生国家側が敗走していくだけなので、ジンも大して気にしてなかったのだ。
「どこで行うんだい?」
「仲介役の帝国で行うそうです」
「それは共生国家も参加すると?」
「はい、そのようですね。といっても発案は共生国家の五老公からだそうです」
「へぇ、いいだろう。こちらも終戦時の要求をまとめておくとしようか。それにしても敗戦宣言をして属国になると思ったのに終戦ねぇ、こちらの要求も高いものにしよう」
「わかりました」
「また、楽しくなってきたね」
「そうですね」
ジンが不敵に笑う。アルトリアはそんな人に見惚れていた。
こうして、多種族共生国家との終戦に向けての会談が決定した。
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