第三十六話「十二使徒」


そこは、殆どの者が知らない空間。


真っ白なドーム状の空間となっていて、中央に巨大な手の像が建てられている。

像は何かに祈る様な形をしており、まるで生きている様な精巧な作りだった。


その空間に現れたのは。元々、黎春リーチュンと言う名で社会に紛れてた。十二使徒のフィリポだった。


「あれ?俺が一番乗りかな?みんなまだかよ〜寂しいじゃんか」

現れたフィリポはトボトボと歩いて中央に向かう。


すると中央に翼の生えた男が現れた。その者はローブを深く被っており顔までは窺い知れない。

「あれ?イアコフじゃんか!久しぶりー」

「なんだ、お前。失敗したくせに逃げ帰って来たのか?」

「えー!辛辣っ!俺も苦労して帰って来たんだよー少しは労ってくれよ〜」


「そうですよ兄上、フィリポさんもきっと大変だったのでしょう」

フィリポの後ろにもローブを深く被って顔が見えない翼の生えた少年がいた。


「おっ!ヨハネくーん!」

フィリポはヨハネと呼んだ少年に抱きつこうと飛び込んだがスルリと避けられる。


そして、大袈裟にフィリポは転んだ。

「いやーこんなことされてもヨハネくんは優しいから許しちゃうな〜」

「おいヨハネこんな、チャランポランした奴なんか甘やかすな。こんな何も成果なく帰ってくる奴など、これくらいの対応でよい」

「チャランポラン…でも!成果は残念ながらあるんだよな〜」

「なんだと!?」

「どうだ!チャランポランでもやる時はやるんだよな〜」


とフィリポがドヤ顔をしてイアコフが悔しそうな態度とる。


「で、どういうことだ?」

「それがね…」

とフィリポはイアコフとヨハネの耳元で今回の騒動で得た情報を話す。


「なんだと!」

「フィリポさんはすごいですね」

話を聞いたイアコフは大袈裟に驚き、ヨハネは驚いてフィリポを褒めている。


「どうだ〜すごいだろ〜」

「今回に関しては私も驚いた。フィリポのくせに、よくやったではないか」

「なんか褒められた気がしない…」


「でも、この情報はあの方をとても喜ばせるものになりますね」

「そうだな…」

「僕褒められるかな?」


そして、フィリポとイアコフ、ヨハネの3人は中央の祈る手の像を見た。

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